2026年6月に、20代~40代の働く男女500人を対象にランスタッドが実施した「夏休みの働き方・暮らし方に関する意識調査」では、子育てをしていない層に比べ、子育て中の働き手のほうが、夏休みに対し不安や憂鬱、プレッシャーを感じている実態が明らかになりました。特に子育て女性の42.5%が「夏休みが怖い」と回答しており、男性の27%を大きく上回っています。
さらに細かくデータを分類したところ「小学生の子を持つ女性」の65.8%が夏休みに不安や憂鬱を感じていること、またその一方で「小学生の子を持つ男性」のうち、同じように不安や憂鬱を感じている人は40.3%に留まることが分かりました。
「(夏休みが)楽しみ」と回答した比率も全体的に男性のほうが高いことから、同じ子育て層であっても、夏休みという期間に対する捉え方には多様なグラデーションがあることが窺えます。
同調査で、子育て中の回答者から不安や憂鬱などの理由として最も多く挙げられたのが、お弁当の準備や仕事の両立など「子どもの長期休暇にともなう負担増加」です。
昨今「夏休みの壁」という言葉も広がっている通り、「子どもたちに夏休みをどう過ごさせるか」を課題に感じるワーキングペアレンツも多くなっています。こういった負担が増加する状況は、「サバイバル」と例えられることもあります。
実際に、夏休みに何らかの不安を感じている人のうち、その具体的な原因として「子どもの長期休暇にともなう実務負担」を挙げた人の割合を算出すると、男性の42.6%に対し、女性は70.6%にのぼることが分かりました。
こうした負担の偏りは、家庭ごとの役割分担や個人の状況によって異なるものの、当事者が「周囲に気を遣って1人で抱え込んでしまいがち」なため、職場でその過酷さが表面化しにくいという特徴があります。一見普通に業務をこなしているように見える社員であっても、その裏側に「見えない過密スケジュール」がある。まずはその現状を企業や周囲が正しく認識するだけでも、子育て層の心理的な負担は大きく軽減されるのではないでしょうか。
同調査で「『夏休みの壁』として保護者が感じる負担」の内容を尋ねたところ、全体での圧倒的1位は「毎日の昼食・お弁当の準備」でしたが、2位以下には心理的な負担が並びます。
さらに細かくデータを分類していくと、親の雇用形態別にランキング結果に差が出ていることが分かりました。
具体的に見ていくと、一般社員(正社員)層では「きょうだい間のケンカ対応」や「メディア・ゲーム依存への対策」など、"日中子どもたちに目が届きにくい"ことによる特有の悩みが目立っています。
一方、比較的子どもと共に過ごす時間が長いと見られるパートタイム層では、「自分の時間が取れない」、「宿題の進捗チェック」や「乱れがちな生活リズムの是正」といった、"親としての家庭運営と管理工数の増大"が精神的・物理的な負担として挙げられています。
現状、こうした「夏休みの壁」への企業が取れる対策として、「有休取得の推奨」が挙げられることも多いようです。もちろん、柔軟に休みを取れる環境はそれだけでありがたいものですが、日数の限られた有休だけで夏休み全体の負担を根本的にカバーしきるのは、現実的には難しい側面もあります。
そこで近年、一歩進んだ先進企業の事例として注目されているのが、「ワークライフインテグレーション(WLI)」という発想です。これは、全社員のパフォーマンスを維持するため「仕事の調整(ワークライフバランス)」という考え方を超え、生活面でのリアルな負担そのものを会社が仕組みでアシストし、仕事との相乗効果を狙うという考え方です。いきなり大きな制度改革を行うのは難しくても、こうした視点を取り入れたユニークな試みで、社員のパフォーマンス維持を後押しする動きが始まっています。
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ワークライフインテグレーションの視点において、具体的にはどんな仕組みや支援が考えられるのでしょうか。
同調査で「社会全体に広がってほしい仕組みや雰囲気」について尋ねてみたところ、上位3つは「職場の人手補填の仕組み」、「外部を頼ることに対する罪悪感のない空気」、「子どもが自由に過ごせる地域の居場所」といった、心理的な安心感や環境を求める声が並びました。
いきなり大規模な制度を変えることは難しくても、「職場の空気感を少し柔らかくする工夫」や「自社の強みを活かして小さく始めてみる試み」であれば、日々のマネジメントの中で取り入れられるヒントがあるかもしれません。ここでは、ランスタッドで実際に進めている社内の取り組みを、一つのアイデア集としてご紹介します。
実際、調査においても「会社に求める配慮」の第3位に「家庭の事情を気兼ねなく言い合える職場の雰囲気(71名)」が挙がっており、このERGはまさにそうした雰囲気を社内から醸成していくための役割を担っています。
ワーキングペアレンツERGが主催するウェビナーでは、外部リソースの活かし方や無料の地域ボランティア情報などのハック術を社員間でシェアしています。ほかにも「こんなときはどうすればよいか」というアドバイスや、「子どもの世話は完璧でなくてもいい」、「誰かに頼ることに罪悪感を持たなくてもいい」という心理面でのアシストも行われ、外部リソースを活用することの心理的ハードルを下げる役割も担っています。
同調査において「夏休みを乗り切るために会社に求めたい制度」を聞いたところ、具体的な配慮のトップは「柔軟なリモートワークの推奨(90名)」、そして第4位が「コアタイムなしのフルフレックス制度(61名)」でした。多くの働く親が、時間と場所の柔軟性を切実に求めています。
ランスタッドでは夏休みに限らず、平時からテレワーク制度を柔軟に運用しています。在宅勤務前提のポジションもあり、遠隔地在住や障がいがある社員も多数在籍しているのです。加えてコアタイムなしのスーパーフレックス制度もあるため、例えば家族の夏休みスケジュールに合わせて働く時間をデザインすることもできます。
そのほかにも、1on1ミーティングでワーキングペアレンツ一人ひとりが抱える課題や悩みを把握し適切な支援につなげたり、専門家からアドバイスを受けられる「なんでも相談」サービスを用意するなど、社員を支えるさまざまな仕組みを設けています。
働く親たちが水面下で抱える長期休暇中のリアルな負担。これらを企業として少しずつ認識し、できるところから仕組みとしてアシストしていく姿勢は、結果として社員のパフォーマンス維持や、サステナブルな組織づくりにつながっていきます。
直近で大きな制度改革を行うことは難しいかもしれませんが、すぐに取り組めるアシスト策だけでも、さまざまなものが考えられます。
例えば同調査では「会社に求めたい配慮や制度」として、上位の柔軟な働き方に加え、「ワーキングペアレンツ向けのイベント」や「子連れ出社の許容」などにも一定数の票が集まりました。まずは試験的に1日だけ「子連れ出社デー」を実施してみるといった、小さく始める試みも一つの有効なアプローチと言えます。
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