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【2026年版】労働者派遣契約を更新「しない」ときに守るべきルール|いつまでに・誰に伝える?

作成者: randstad|Mar 27, 2026 12:00:00 AM

※本記事は2024年10月16日の内容に、2026年3月時点の最新情報を加えてアップデートしたものです。

派遣先企業が労働者派遣契約を更新をしない(それに伴い派遣元が派遣社員を雇止めする)と判断した場合、2024年4月の法改正(更新上限の明示義務化)以降、「事前のルール決め」と「客観的な理由説明」の重要性が飛躍的に高まっています。

2026年現在、人手不足が加速する中で、適切なステップを踏まない派遣契約の終了は法的リスクだけでなく、企業の採用ブランド毀損にも繋がりかねません。いつまでに、誰に、何を伝えるべきか、派遣先企業としての義務と役割を整理します。

 

1. 「労働者派遣契約を更新しない」はいつまでに、誰に伝える?

派遣先企業が労働者派遣契約を更新せず、それに伴い派遣社員の雇用契約も終了となる場合、以下の(1)もしくは(2)のいずれかに該当すると、雇用主である派遣元(人材派遣会社)は派遣社員に「契約期間満了の30日前まで」に事前予告する法的義務が生じます。

(1)契約更新が3回以上行われている有期労働契約
(2)雇用期間が1年を超えている有期労働契約

したがって、派遣先企業が労働者派遣契約を更新しないと決めたときには、1カ月以上前に派遣元へその旨を伝えなければなりません。

派遣先企業は、雇用主ではないためスタッフに対して直接契約更新の可否を伝えることはできません。法的義務を負う派遣元が適切に30日前予告を行えるよう、派遣先企業は派遣元に対して早期に意思表示を行う役割を担います。実務上は、派遣元が余裕を持って対応できるよう「契約満了の45日〜2カ月前」までに派遣元へ伝えておくのが望ましいペースです。

なお、更新契約が3回未満、あるいは雇用期間が1年以下の場合は事前予告の義務がありません。しかし、労働者の就業機会確保のため、余裕をもって予告することが望まれます。

 

 

2. 「雇止め」と「中途解除」の違い

労働者派遣契約の契約期間満了のタイミングで契約更新しないことにより、派遣元が派遣社員との雇用契約を終了させることを「雇止め」、契約期間満了を待たず期間中に労働者派遣契約を解約することを「中途解除」といいます。「中途解除」はやむを得ない事由がなければ認められません。

「雇止め」か「中途解除」かで、派遣先企業がすべき対応は異なります。

区分 概要 法的責任の主体
雇止め 派遣元が雇用契約期間の満了とともに契約を終了させること。 派遣元:スタッフへの30日前予告義務。 派遣先:派遣元への早期通知(契約上の協力)。
中途解除 労働者派遣契約を契約期間の途中で解約すること。原則不可。 派遣先:(1)新たな就業機会の確保(優先順位1)(2)上記が困難な場合、派遣元への損害賠償(優先順位2)

 

 

3. 中途解除ができるのは「やむを得ない事由」のみ

労働者派遣契約期間中の契約解除(=中途解除)は原則としてできません。ただし、やむを得ない事情(経営悪化・業務縮小など)がある場合に限り可能です。

また、派遣元および派遣先企業は、中途解除となった派遣社員の生活が守られるよう対応しなければなりません。

 

【派遣先が講じるべき法的措置】

派遣先が一方的に労働者派遣契約を解除する場合、「派遣先が講ずべき措置に関する指針」において、派遣元に対して以下の措置を取ることが定められています。

  • 派遣社員の新たな就業機会の確保:関連会社への就業あっせんなど、派遣元への協力。
  • 損害賠償(休業手当相当額):就業機会の確保ができない場合、派遣元がスタッフに支払うべき休業手当分を派遣先が派遣元へ賠償する
  • 猶予期間のない場合の賠償:相当の猶予期間(30日前など)を設けずに申し入れた場合、賃金相当額以上を派遣先が派遣元へ賠償する
  • 適切な善後処理:派遣元と協議し、そのほか適切な対応を講じる。
  • 理由の明示:派遣元から請求があったときは、中途解除の理由を派遣先が派遣元へ回答する

  

4. トラブルを防ぐ「雇止め理由」の明示

労働者派遣契約を更新しないことで派遣社員が雇止めとなる場合、派遣スタッフは派遣元に対しその理由の明示を求めることができます。

これに応じるため、派遣元は派遣先企業に対し理由の情報提供を求めることができ、派遣先企業はこれに協力する法的義務があります(派遣法第26条第7項)。派遣先企業は、スタッフの勤務状況や、雇止めの理由となる行動、対応した履歴などを日頃から記録しておきましょう。

 

【厚生労働省が示す「正当と認められる理由」の例】

  • 前回の契約更新時に、本契約を更新しないことが合意されていたため
  • 契約締結当初から、更新回数の上限を設けており、本契約は当該上限に係るものであるため
  • 担当していた業務が終了・中止したため
  • 事業縮小のため
  • 業務を遂行する能力が十分ではないと認められるため
  • 職務命令に対する違反行為、無断欠勤などの勤務不良のため

厚生労働省「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準について」より引用

 

【2026年実務ポイント:具体的な書き方の例】

理由のカテゴリー 適切な書き方(OK例) 実務の注意点
業務の終了 「当該プロジェクトの完了に伴い、担当業務が消滅するため」 契約時に「業務終了まで」と明記しているとスムーズです。
更新上限 「当初より更新上限を4回と定めており、上限に達したため」 2024年4月改正により、上限設定には理由説明が必要です。
勤務不良 「◯月の面談で指導したミス率が改善せず、支障があるため」 「指導記録」の有無が、正当性を判断する鍵となります。

 

 

5. 押さえておこう!契約更新に関わる3つのルール

 

 ① 雇止め法理

主に派遣元とスタッフ間の法的な争点ですが、労働者において更新されるものと期待することに合理的な理由がある場合、客観的に合理的な理由を欠く雇止めは無効となります。派遣先での言動(「ずっといてほしい」等)が期待権を生ませないよう注意が必要です。

 

 ② 派遣法の3年ルール

派遣先が負う「行政上の義務」です。

  • 事業所単位:同一の事業所に対して派遣できる期間は原則3年(意見聴取で延長可)。
  • 個人単位:同一の派遣社員を同一の組織単位(課など)に対し派遣できるのは3年が限度。

 

 ③ 無期転換ルール(5年ルール)

派遣元とスタッフ間の契約に関するルールです。同一の派遣元で契約が通算5年を超えたとき、スタッフの申し込みにより無期雇用に転換できます。派遣先には直接の義務はありませんが、無期雇用派遣となったスタッフは「個人単位の3年ルール」の例外となるため、同じ職場で長期的に活躍してもらうことが可能になります。

  

6. まとめ:信頼される「派遣先」であるために

2026年の労働市場において、適切なプロセスで契約管理を行うことは、コンプライアンス遵守だけでなく「選ばれる企業」としての第一歩です。

特に、日頃から派遣元に対して「教育訓練」や「福利厚生の利用機会」について正しく情報提供し、書面で合意しておくことは、適切な雇用管理を行っている証明にもなります。
  

 

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