こんにちはランスタッド クライアントソリューション川西由美子です。
私の専門領域である行動健康科学に基く組織開発とストレスマネージメントの観点から皆様に職場で活かせる心理学的介入の豆知識をお伝えするコンセプトのもと、シリーズ「川西由美子の連載コラム」を創りました。
コーナー名は、『ワークススパークル』!
皆様の知識をきらめかせて、組織を活性化させるきっかけを創りたいそんな思いから
『ワークスパークル|川西由美子の連載コラム』
が生まれました。
今後は皆様と一緒に議論してより良い職場環境改善のポイントを発信していきます。
どうぞお気楽にご質問など承りますので、皆様と双方向の交流が出来れば、うれしく思います。
『ワークスパークル|川西由美子の連載コラム』
第1回は、
定着力UPを実現する解決志向型組織の必要性についてです。
定着力UPが必要な背景
背景1.
少子高齢化が進み慢性的な人手不足。組織の成長推進として第一に考えなければならないことは、従業員の皆様の定着化です。
厚生労働省が令和2年10月に公表している新規学卒就職者の離職状況は三年以内の離職率の平均は3割超えています。
職種により多少の差はありますが、希望や適性と合わないと人手不足企業は多数あるため新卒でも自分の力で将来を切り開こうという意欲により6か月以内で早期離職を決定する状態が増えつつあります。
要するに組織の見切りが年齢問わず早くなっているという事実を企業は重く受け止めなければならない時代が来ています。
若手が直ぐ辞めてしまう、プラス10年以上育ててきてやっと会社へ利益還元できる仕事が身についた30歳から45歳の脂がのりつつある人材まで退職してしまうとなると根本的に組織自体の構造や仕事のさせ方やサポート体制を見直さなけばなりません。
背景2.
人手不足を補うため即戦力として頼みの綱は中途採用者です。
その人たちも就業開始前の現場状況を知る話し合いや、就業後のフォローがうまくいかないと、前職のくせが抜けない、スキルを実績がフィットしない、社風になじめないなどの理由で早めに見切りをつけて離職してしまう現実があります。
背景3.
更に若手のモチベーションを削いでしまう要因として、40歳から60歳のミドルシニア層の気力低下が周囲をあきらめモードにひっぱり、組織での自身の成長をイメージできない状態をつくり、若手を離職させてしまう危険性もあります。
シニア層の気分が上がらない理由は、不景気による管理職のポスト減らしや役職定年による昇格昇進の行き詰まりにより、会社から期待されてないというような漠然とした消失感が背景にあります。
背景4.
更には令和3年4月から70歳までの就業が企業の努力義務にもなりました。
そのような背景の中でシニアの方のモチベーションの問題もありながら、企業が生き延びるための策は組織的な改革をして70歳までいきいき、きらめいて活躍できるような道しるべを提示する必要が、なかなか難しい現実があります。
きらめいた社員を作る第一歩
対策1 若手への手厚いケアー
社員をきらめかせ組織を活性化させるための中核の取り組みに、30歳から45歳の離職者を減らすことをぜひ目標にしていただきたいのです。
20代の若手はすぐ身近にいる30代がこころの支えであり会社や社会を見る心の窓なのです。この30代がいち早く離職を決めてしまい会社に長く貢献するような文化を作っていないと若手の離職者数は高くなる一方です。
近年の企業の対策
20年以上私は組織開発を行う中で多くのキャリア相談もうけてきましたが、2015年より明らかに会社側の問題が大きく改善しだしました。
2015年には50人以上の企業にはストレスチェックが義務化し長時間労働に歯止めがかかりました。
メンター制度、キャリア面談、one on oneで上司との面談を導入し、
-
- 仕事内容が想像以上に過酷
- 相談できる人がそばにいないで孤立してしまう。
などの予防が進んできています。
対策2 解決志向型のアプローチ
上記のような仕組みは大いに作りこむことを推奨しますが、それだけでは、将来の柱となる層の定着力を高める機動力にはなりません。
一番は、社員さんが何を困りごとにしているか、改めて知り改善する必要があります。
職場職場で違いますからね。困りごとを訊きだして、改善に結びつける技を12月7日にセミナーを通して、詳しくお伝えしたいと思います。
是非セミナーにも参加していただきたいのですが、内容のピースをここでもお話ししますね。
ここで少し組織心理学的な話をしますが、組織改善のプロセスにおいて個々の困りごとを訊きだすと取集がつかなくなったり、原因追究して過去を振り返り、解決できない事案が出てきたり、気持ちが暗くなってしまい、前に向く機動力がそがれてしまう可能性があります。
問題点の議論から、未来を作りこめる心理状況にする技法を解決志向といいます。
起源は、ベトナム戦争の後遺症で、辛い心理的な外傷PTSDをおった兵士と、その家族を立ち直らせて就業できるようにサポートし、結果を出した心理学の技法です。
ヨーロッパでは、治療のみならず、組織開発や、弁護士の業務にも使われ、困りごとから解決に向けて気持ちをサポートして士気を高めることがでる技法です。
10月に、実施した、セミナー(階層構造を撤廃し、従業員が裁量権を持ちながら、企業の目的に自主的に動く組織ホラクラシー組織)にて議論をして、その時に、わたしがセミナーの最後に申し上げたことがあります。
それは、組織の形を作ることがゴールでなく、手段です。その手段を使うにも、やらされ感や、旧態依然の壁を破りたくない方の気持ちを、整えなければなりません。やらされている感ではなく、よしやってみようというマインドセットが必要となります。
まさに、解決志向は、上記の事柄に効く手法です。
離れていってほしくない層の定着率UP
- 組織的には違和感を言い出せる風土、会社のミッションに共感して貢献したいと思わせるグリップ力
- 社員には、現実に起こった事象に反応しながら、自主的に絶えずハンドルをさばこうとするマインドセットが大切です。
定着力UPのカギは、会社側がよりよい仕組みを作ることのほかに社員全員参加で、今より良くしようと動き出せるしくみ仕掛け、彼らを巻き込む為に仕掛けに行く旗振り役の人が必要となります。
是非定着率UPの旗振りやくの方が、新しい知識として解決志向の必要性を理解して下さったら幸いです。
ランスタッド クライアントソリューション 組織開発は、「産業組織心理学や臨床心理学」の専門的なアプローチで、オリジナルの研修やアドバイスを行いながら、従業員の方々のパワーアップと組織活性化で、産業競争力を高めます。お客様の課題に合わせてオーダーメイドの研修や様々なアドバイスを行いながら、ランスタッドが提供する様々なサービスを提供いたします。
▼組織開発に関して
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[著者プロフィール]
川西 由美子 (かわにし ゆみこ)
ランスタッド株式会社 クライアントソリューション 組織開発ディレクター
フィンランドのLyhytterapiainstituuttiにてヨーロッパを中心に世界25か国に広まりを見せる組織活性化技法の指導者資格を取得。現在はオランダに本社のある世界最大級の人材会社ランスタッド株式会社のクライアントソリューション 組織開発ディレクターとして国家機関、地方自治体、企業、病院などで産業競争力を高める人材育成や組織改革の技法を広めている。
[著書]