社内の変革を進める時や新しいプロジェクトをスタートさせるために人材プールを拡充したい時、また、新型コロナウイルスのパンデミックのような大きな出来事に直面している時など、優れた人材獲得戦略はさらに重要となります。
人材獲得の最新動向を追うことによって、厳しい労働市場においても理想の候補者を見つけ、競合他社にリードされない強力な立ち位置に居続けることができます。
それでは、2021年に予測される人材獲得における5つのトレンドについてご紹介します。
AI(とオートメーションや機械学習など)は人事分野の業務においても、世界全体でもますます存在感を増していますが、これは新しい動きではありません。ですが、2021年以降はこれが加速し、さらに重要視されることが予想されます。
人材獲得の観点から見ると、この分野の最新テクノロジーやソリューションは業務の最適化や効率化に有効です。例えばランスタッド・イノベーション・ファンド(英語サイト)が支援を行っているPymetrics(英語サイト)などのツールはAI技術を応用したメソッドやソリューションを使って候補者の能力を詳細に評価し、最も適した役割にマッチングできます。
AI、オートメーション、機械学習は、将来のパフォーマンスの予測や一連の採用プロセスにおける求職者とのやり取りについても新たな機会を切り拓きます。
ビジネスの将来に関する限り、AIは企業の機能の仕方にも従業員の働き方にもますます重要な要素として組み込まれ、その結果、人材・スキル獲得戦略の中でAIに関する能力にいかに重点的に取り組めるかがこれまで以上に重要です。
PwCの調査※1によると、AI人材の課題に対処するために企業でよく用いられている方法は次の通りです。
近年、企業はダイバーシティ&インクルージョン(D&I)を採用活動や人材獲得活動の一つの柱にすることによってさまざまな利点が得られます。
まず、対象を広げ多種多様な人材が候補者として集まることによって、業績に大きなインパクトを与える事があります。マッキンゼー※2が6年前から行っているシリーズ調査の報告書によると、経営陣の多様性と業績向上との相関関係が時間の経過とともに強まることがわかっています。この結果はボストン コンサルティング グループが行った調査によって裏付けられ、同様に経営陣の多様性がイノベーションの推進につながっていることが明らかになっています。
さらに、D&Iに対する明確な姿勢を示すことによってエンプロイヤーブランドが強化され、将来の職場の主役となる若年層の働き手への訴求力が増します。Monster※3の調査によると、Z世代求職者※4の5人に4人以上は就職先選びにおいてD&I を重要な基準と考えています。
人材と採用プロセスの多様性を高めるにはいくつかのステップがあります。例えば、次のようなポイントを検討するとよいでしょう。
専門人材サービス会社と手を組むのも良い方法です。求職者が何を求めているのか日々情報収集し、人材獲得方法と改善ポイントを公平な視点から詳細に分析することができます。
新型コロナウイルスのパンデミックはあまりにも大きな影響を及ぼし、その結果、どの雇用主においても従業員サポートがかつてなく重要視されるようになりました。つまり、単に適正賃金と安全な職場環境を提供するだけでなく、従業員が本当に必要とする支援や手助けをどのように提供するか、さらに踏み込んで考える必要があります。
※ウェルビーイングとは、健康や肉体、精神的、そして社会的にもすべてが満たされている状態のこと
デロイトの調査報告書、「グローバル・ヒューマン・キャピタル・トレンド2020※5」によると企業の80%が企業の成功において従業員の健康を今後12~18カ月の重要要因の一つと回答し、この課題に既に対処していると答えた企業は12%に止まりました。
デロイトは、企業が従業員の健康を軸に働き方を再構築し、「仕事に隣接した制度から視野を広げて健康を仕事そのものに組み込むメリット」を強調しています。その代表例として、日本マイクロソフトは、会議時間を30分に制限し、週勤5日から4日に変えるトライアルに挑戦しました。
人事・人材戦略の根幹に健康を据えることによって、エンプロイヤーブランドが強化され、従業員サポートに対する明確な姿勢が示され、人材獲得の取り組みが後押しされます。
従業員の健康を高め、従業員の自分ケアを支えるための現実的対策を検討することが大切です。例えば、
コロナ禍の不況や業界全体の低迷から、すべての企業が学べる価値ある教訓がもう一つあります。レジリエンス(回復力)の大切さです。人材や人材のスキルの意味だけでなく、中核プロセスやワークフローの適応力に優先的に取り組むことによって組織のレジリエンスを強化できます。
ガートナーは、最も重要な「将来の働き方動向」の一つに効率化からレジリエンス化へのシフトがあると指摘し、「部門を超えた知識や技能の習得」を可能にする多様性、適応性、柔軟性のある仕事を従業員に提供することによって、組織の適応力もレジリエンスも高まると説明しています。
ガートナー※6のリサーチ&アドバイザリー担当バイスプレジデント、イングリッド・レーマン氏は次のように話しています。「組織が新しいワークフローを構築する場合、ダイバーシティリーダーが役割設計と柔軟な働き方の仕組み作りに関わり、さまざまなバックグラウンドや要望を持つ従業員の声を考慮する必要があります」
フレックスタイム制度・リモートワーク制度はすでに数年前から広がっていますが、昨年の出来事をきっかけに、この概念の重要性がかつてなく高まりました。
ガートナーによると、コロナ禍で被雇用者のおよそ半数 (48%)が少なくとも一定期間、リモートワークを続けることになります。コロナ前は30%です。PwCの調査では、CEOの78%がリモートワークへのシフトがこの先も続くと予想しています。
人材獲得の観点から見ると、フレックスタイム制度・リモートワーク制度の積極的導入は、自分の働き方にある程度の自由がほしい、自分でコントロールしたいと考える需要の高い人材層に魅力的に映ります。
ワークライフバランスの点で、エンプロイヤーブランドの強化にもつながります。ランスタッドの最新のエンプロイヤーブランド・リサーチによると、就職先選びで重要視する基準においてこれらの制度は賃金・ベネフィットや快適な職場環境に次ぐ第3位です。
柔軟な働き方を推進し、リモートワークを実現可能な選択肢として従業員に提供するためには次のようなステップがあります。
人材獲得の手法や留意すべきことは絶えず変化しております。企業の目の前には新しい課題も機会も現われ、だからこそ成功を手に入れ、成長を続けるには強力な人材獲得戦略が必要です。世界トップレベルの人材獲得戦略を打ち立てるために、ぜひランスタッドの様々なサービスをご活用ください。
※1PwCの調査(英語サイト) ※2マッキンゼー(英語サイト) ※3Monster(英語サイト)
※4Z世代求職者(英語サイト) ※5グローバル・ヒューマン・キャピタル・トレンド2020(英語サイト)※6ガートナー(英語サイト)