優秀な人材を効率的に採用するために、近年では採用活動においてもマーケティングが欠かせないと言われています。注目すべきは、消費者マーケティングで“ユーザー体験”が重視されるのと同様に、採用ページにおいても優れた“候補者体験”=キャンディデートエクスペリエンスを提供する必要があるということ。キャンディデートエクスペリエンスが正しく設計されていない企業は、今後の採用活動に苦戦するかもしれません。貴社の採用ページは、欲しい人材に刺さる設計がなされていますか?
求職者が求人情報を探す時、どこで情報収集をしていると思いますか。ランスタッドが行った調査によると、企業の採用ページは求人紹介サイトやハローワーク、人材紹介サービスに次いで多く利用されていることが分かりました。その中でも、人材を求める企業自身が自分たちの言葉とデザインで情報を発信できるツールは、自社の採用ページだけ。募集要項にとどまらず、事業内容や企業文化、経営者の人となりや従業員インタビューなど、企業の特色を採用ページに掲載することで、独自の魅力を求職者にアピールできるのです。
▲ランスタッドエンプロイヤーブランド・リサーチ2019より
また、新卒採用においても、入社予定者は企業の魅力を企業自身が発信する情報で得ていることがわかります(※)。特にデジタルネイティブの若年層は情報感度が高く、企業の採用ページにとどまらず幅広いチャネルから情報を収集しています。採用マーケティングの視点からも、求職者のタッチポイントに合わせた情報発信を行っていく必要があるのです。
※出典:「『採用版・魅力度ブランディングモデル』をもとにした就職活動調査」電通パブリックリレーションズ(2018/9/14)
企業の魅力を充分に伝えられる情報設計ができれば、採用ページは優秀な人材を惹きつけるための重要な要素になるでしょう。ここからは、採用担当者が知っておくべき「求職者に刺さる採用ページ」の3つのポイントをご紹介します。
採用ページを設計するにあたり、まずやるべきはプロセスを整理することです。貴社の採用ページがどうなっているか、現状を下記の4つの視点からチェックしてみてください。
終身雇用が崩壊し先が見通せない不確実な時代。求職者はその環境下でキャリアを形成していくことになります。そんな現代の人材に向けて、今までと変わらずに社長メッセージや社是だけを伝えていては、選ばれる企業にはなり得ないでしょう。
優秀な人材に選ばれる企業が発信しているメッセージには、下記のような情報が含まれています。
これらの情報は、応募へのモチベーションをUPさせるだけではありません。働き方を具体的にイメージさせることは、応募者の企業に対するエンゲージメントをUPさせることにもなります。これは入社後のギャップによる早期退職を防ぎ、長く成果を上げ続けてもらえる人材の獲得につながります。
新卒人口が減少する2022年以降(※)、特に若手人材の確保はさらに困難になっていくでしょう。これからの採用活動では、より多くの人に向けてタッチポイントごとにふさわしい情報を発信し、企業の存在に気付いてもらう必要があります。
※出典:「人手不足に拍車をかける『新卒採用の2021年問題』」浜銀総合研究所(2019/2/19)
オンライン・オフラインにかかわらず、求職者はさまざまな情報に触れます。求職者に包括的なキャンディデートエクスペリエンスを提供していくためには、採用ページの改修にとどまらず下記のような施策にリソースを割かなければなりません。
優秀な人材に刺さる採用ページにするためには、以上の3つのポイントを連携させていくことが重要です。超売り手市場の現在、「自社の存在を優秀な人材に気付いてもらう」「企業の魅力をわかってもらう」というスタンスで採用ページを構築する必要があります。その過程では、求める人物像の明確化や採用業務の見直しも発生するでしょう。
人材獲得競争が激化する中、これから事業を伸ばしていけるかどうかは競争力のある人材を採用できるかどうかにかかっています。採用ページの構築にリソースを割くことはコストではなく、資産であり投資なのです。
本コラムは、ランスタッド・エヌ・ヴィーが制作したコンテンツをベースに加筆しています。
原文(英語のみ):https://www.randstad.com/workforce-insights/employer-branding/elements-of-a-great-career-site/