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人材活用のヒント コールセンター編 第9回 QA実施(品質管理)のツボ|ランスタッド法人ブログ

作成者: randstad|May 8, 2019 3:00:00 PM

1.モニタリングチェックの頻度

QA(Quality Assurance)実施にあたり、モニタリングやフィードバック、コールチェックやカリブレーションなどについての基本的な考え方は連載4、5「コール品質の向上」で述べましたが、今回は適切なQA実施を実現するための心得と現実的な実施ポイントについて説明します。

QA担当者は日夜コールチェックを行うわけですが、「ひとりあたり月間何コールのモニタリングチェックが必要でしょうか?」という質問をよく受けます。理想的には月間4~6回は全員にモニタリング、フィードバックを実施すべきとお答えしていますが、QA担当者数と比べてコミュニケーター数が大幅に多いセンターでは、全員を対象に毎月チェックすることが困難なケースもあります。

個々のスキルには当然個人差があるので、品質の安定しているコミュニケーターであればチェック回数は少なくてよいし、新人などスキルがまだ伴わないコミュニケーターはより集中した多頻度のチェックが必要です。つまり、全員公平均等に実施しようとするから現場で無理が生じ、QA担当者が疲弊してしまうのです。

 

2.モニタリングの実施タイミング

モニタリングを実施すべきタイミングには以下のような状況が考えられます。

  1. 新人として初めてオペレーション業務につくとき(デビュー直後)
  2. コミュニケーターがヘルプの合図を送ってきたとき
  3. 新規業務がスタートしたとき
  4. 提供サービスや商品アイテムに大幅な変更があったとき
  5. スクリプトが大幅に変更になったとき
  6. シフトやチーム構成の編成替えがあったとき
  7. コミュニケーターの長期休み明けの直後
  8. 個別指導(フィードバック面談)を実施した直後
  9. 大きなクレーム対応を経験した直後
  10. 社会的事件などで予測外のコールが集中したとき

QA担当者はこれらの要素を念頭に入れてモニタリングスケジュールを組み、モニタリングを必要とする人材を絞って行動すべきなのです。

 

3.コミュニケーターを見守る姿勢

モニタリングは決して個々のアラを探すためのものではありません。不安と恐怖で一杯の新人や重度のクレームを受けて精神的にめげているコミュニケーターをサポートするために必要な作業です。そういった「壁」を現場から地道に取り除くことで初めて顧客に満足していただけるサービスを提供できるのです。

従ってQA担当者は、QAの目的や意義を自らしっかり理解し、全コミュニケーターに真意を正しく伝え、チームとしての共有意識を育むことからスタートしなければなりません。QA担当もSVもトレーナーもコミュニケーターからの厚い信頼がなければコールセンターは崩壊します。QA、SV、TRが三位一体となってコミュニケーターを暖かく愛情を持って見守り育てていく姿勢が大切です。

QAの目標値の設定、目標と現実のズレの把握、原因の究明と打開策の検討、改善施策の企画検討、実行トライアル、実行後の見直し検証と、まさしくPDCAの繰り返しなのです。負のスパイラルに陥ることなく「善循環」(あえて好循環とは言いません)を目指していただきたいものです。

 

著者プロフィール

コールセンター専門コンサルタント 鈴木 誠 (すずき・まこと)

コールセンター新規設立やセンターの現状分析、改革に関するコンサルティング業務の中で、戦略立案、センターマネジメント確立、人材育成、品質向上、生産性アップ、スクリプト開発など幅広いノウハウを実務レベルで提供。セミナー講演やJTAスクール「スクリプト作成講座」の常任講師も担当。

*本記事は過去に公開した内容を再編集して掲載しております。