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人材活用のヒント コールセンター編 第5回 コール品質の向上 Part.2|ランスタッド法人ブログ

作成者: randstad|May 4, 2019 3:00:00 PM

1.QAのしくみ作り

QAとはQuality Assurance、つまり「品質をお客様に保証する」ということです。最近のコールセンターでは、お客様応対品質の維持向上を目的としたQAチームを専任で結成することも少なくありません。QAチームは日夜モニタリングを行い、全体の傾向や個々の特質を分析評価し、結果をSVと教育トレーナーと共有する。それにもとづいてSVはOJTで個別指導をし、教育トレーナーは、テーマ別・対象者別にフォローアップ研修プログラムを作成・実行していくのです。このQA・SV・トレーナーの三位一体となった人材育成体制を構築することでセンター全体の品質は格段に向上します。

QAチームがない場合はSVが兼任することになりますが、多くのSVは多忙のためモニタリングがつい後回しになることが多いようです。SVはモニタリングとフィードバックを実施する曜日・時間帯を計画的に決め、その時間帯はその作業に専念するべきです。適切なスケジューリングを行なうことで習慣化・恒常化を図ることは難しくありません。

 

2.チェックシートの見直しとカリブレーション

モニタリングチェックシートが5段階評価のため、「可もなく不可もなく」という中間点「3」に偏りがちになる。つまり中心化傾向になって個人差が見えなくなってしまう、という声もよく聞きます。例えば5段階評価を4段階に変更し、「可の中でも2段階評価」「不可の中でも2段階評価」に限定すれば、個々の得手不得手を明確にすることも可能となります。

また、どこのセンターでも「カリブレーション(耳合わせ)」については、大きな課題となっています。スムーズに個人差を無くすためには、単に「よくできている=5」「まあまあできている=4」という曖昧表現ではなく、評価判定基準を明確に具体的な事象で示すことが肝心です。初めは個人の感覚の違いで評価にバラツキが見られても、同じコールを何度も複数人でチェックしていく中で耳合わせができ、全員がほぼ同じ目線に立って大きなバラツキをなくすことができるようになるはずです。カリブレーションの徹底はフィードバックの際に納得感を持ってもらうためには欠かせない作業です。

 

3.ベンチマーキング

品質面で「どこを目指せばよいのか」「何を目標にすべきなのか」という基準が明確になっていないセンターも多いようです。

例えばQAチーム選定によるベストトークをセンター内でベンチマークすることも有効な手段です。「お手本」が示されることで、品質のよいお客様対応とはどんな状況を差すのかを明確にかつ具体的に示し、理屈ではない「生の良い対応」を理解し、感じてもらうことができます。選定されたコミュニケーターのモチベーションが上がることは言うまでもありません。表彰制度と連動させても良いでしょう。そして、このお手本コールはスキルアップ研修の際のツールとして使うこともできるのです。

さらに、同業他社のコールセンターにミステリーコールをしてみることも有効です。自社センターと比較分析することで、不足しているところや重点課題、目指すべき目標が明らかになります。また、顧客体験の一環として、新人の初期教育カリキュラムの中にこのミステリーコールを加えることをお勧めします。

 

著者プロフィール

コールセンター専門コンサルタント 鈴木 誠 (すずき・まこと)

コールセンター新規設立やセンターの現状分析、改革に関するコンサルティング業務の中で、戦略立案、センターマネジメント確立、人材育成、品質向上、生産性アップ、スクリプト開発など幅広いノウハウを実務レベルで提供。セミナー講演やJTAスクール「スクリプト作成講座」の常任講師も担当。

*本記事は過去に公開した内容を再編集して掲載しております。