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【労務・コンプライアンスノート】第19回: あなたの取引先は許可又は届出番号をお持ちですか?

ある日突然、労働局の職員が派遣先にやって来て、こう告げました。

「おたくは無許可の派遣元事業所から派遣労働者を受け入れてますね」派遣先はびっくりして反論します。

「とんでもない、労働者派遣契約書には許可番号が記載されていますし、派遣会社のホームページでも同じ番号が記載されています」

「この派遣元の許可事業所は本社だけです。おたくの取引先である▲▲支店は無許可なんですよ」

「えっ!? 派遣会社は法人単位で許可を取得するのではなく店舗ごとなのですか?」

これは、実際にあった労働局による派遣先調査の様子です。 労働者派遣事業を行う場合、派遣元は「事業所ごと」に許可又は届出を行う必要があります。

一般労働者派遣事業の許可を有する事業所には「許可証」が、特定労働者派遣事業の届出を行った事業所には「届出受理控え書類」が、各々備え付けられているはずです(特定労働者派遣事業は届出であり許可では ないため許可証は存在せず、届出受理の控え書類があるのみです)。

しかし、派遣元の営業スタッフが足繁く派遣先を訪問しますから、派遣先は派遣元の事業所に立ち寄る必要はほとんどありません。

しかも、ややこしいことに事業所ごとに許可・届出を行うにもかかわらず、「番号は一法人一番号」という制度です。

例えばランスタッド株式会社は般13-010538という許可番号を有しています。

この番号は、全国58か所の許可を取得したオフィス全てに共通となっています。

このような制度であるため、とある派遣元が本社で許可又は届出を行えば、あたかも同法人の別の支店や営業所でもその番号が有効であるかのように見えます。

派遣先は、知らないうちに無許可や無届出の派遣元事業所から派遣労働者を 受け入れて違法な状態になっていることもあります。

昨今、許可又は届出を行わない事業所から労働者派遣を行い、行政指導を受ける事案が増えています。

派遣先は、違法な事業を行った派遣元のとばっちりを受けて、行政の調査の対象になってしまいます。

また、平成27年10月には先の法改正で新設され適用が猶予されている「みなし労働契約申込み制度」が施行される見込みです。

この制度が施行されると、「無許可・無届出の事業所から派遣労働者を受け入れた派遣先」は、派遣労働者に直接労働契約の申込みを行ったとみなされます。

派遣労働者が希望すると、派遣先は自らの意思とは無関係にこの派遣労働者を雇用しなければなりません。このような事態が発生すると、派遣先の事業計画や人員計画に大きな修正を余儀なくされます。

あなたの取引先は、きちんと許可又は届出を行った事業所ですか? ランスタッド株式会社は、全国58か所の許可番号を有する皆様のお近くのオフィスから、お客様を訪問しています。

(2013.11.25 掲載)


このコラムに関するお問い合わせ:
ランスタッド株式会社 コミュニケーション室
Tel: +81(0)3-5275-1883
Email: communication
@randstad.co.jp

労務コンプライアンスノート本コラムでは、多様な人材を活用する企業人事部門の皆さまが、コンプライアンスに則った適正な形で人事・労務業務を遂行いただけるよう、ランスタッド顧問社労士がバラエティに富んだ労務トピックスを分かりやすく解説いたします。

特定社会保険労務士 田原 咲世 (たはら・さくよ)

1968年大阪生まれ。立命館大学修士課程修了後、旧労働省に入省し、労働基準法・男女雇用機会均等法・派遣法改正などを担当。2008年3月まで北海道労働局の需給調整指導官として活躍。2008年4月から札幌で北桜労働法務事務所を経営。特定社会保険労務士として、労働関係法を中心とした指導を行う。現ランスタッド、顧問社労士。

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