HRラウンドテーブル 10月度開催報告[ランスタッドニュース]

記事をシェアする
Facebook Twitter LINE

中途採用者が活躍する組織とは~心理学的側面(解決志向アプローチ)から紐解く~

2014年10月24日、「中途採用者が活躍する組織~心理学的側面(解決志向アプローチ)から紐解く」をテーマに、ランスタッド・HRラウンドテーブルを開催し、7社8名の人事労務業務に従事する方々に、お集まりいただきました。


ご参加企業(あいうえお順):
  • イオン株式会社
  • いちご不動産投資顧問株式会社
  • コカ・コーライーストジャパン株式会社
  • ハイデンハイン株式会社
  • ハネウェルジャパン株式会社
  • 華為技術日本株式会社

 

冒頭、ランスタッド、マーケティング&コミュニケーション本部・本部長、松井隆より、「グローバル化、事業の拡大、経営の迅速化などを目的とし、多くの企業が即戦力となりうる中途採用を強化している。伝統的な日系企業の中にも、プロの経営者を外部から採用する動きがある。優秀な人材が活躍できる場を作り出す必要がある。」と、ご参加の方々への挨拶がありました。

続いて、メンタルヘルスや心理学の観点からみた中途採用社員を含む組織作りについて、ランスタッド・EAP総研所長、川西由美子より発表をさせていただきました。

新しいメンバーを迎え入れるタイミングで、組織は転換期を迎えます。特に、外部での職務経験や知識を持つ中途採用者が加わり、新たな組織体制を作り直す過程で、バランスを崩す企業が多く見られます。

(Photo: Brian Scott Peterson)

新たに組織に入る中途採用者は、短期間で成果を出さなければならないというプレッシャーにさらされる傾向にあります。一方、受け入れる既存の社員には、新しい社員を受入れ、様々な変化に対応することが求められます。多くの企業が中途採用者を即戦力として採用することが増える中で、組織がまとまらずに短期間で全てを失う、クイックロスの現象が増加しています。

中途採用の失敗 組織全体、人事部への影響大

クイックロスの代表例として、シニア・エグゼクティブクラス及び専門職として採用された中途採用者が早期に退職に至るケースをとりあげました。いずれのケースも、中途採用者本人が期待に反して実力を発揮できず、焦燥感を抱くと共に、周囲との関係が悪化、最悪のシナリオとしてうつ病を発症したり、退職にいたるケースです。労力、そしてコストをかけ、これらの中途社員の採用を行った人事部門は、自らの組織員が疲弊を、社内からの信頼を失うことにも繋がりかねないと、川西より報告がありました。

クイックロスではなく、クイックウィン組織へ

クイックロスにつながる要因は、中途採用者が以前所属をしてた組織との規模、業態、資本関係違いなどによってもたらされ、具体的には社内制度、カルチャー、決裁プロセスへの理解の違いとなって現れることが多くあります。

中途採用者本人としては、よかれと思って行った業務が、他の方の担当領域に入り込んでいたり、新たな視点をもたらしたつもりが、これまでの経緯を理解しない無責任な印象を残してしまうこともあります。こうしたクイックロスを防ぐために、人事部として中途入社者、既存組織への入社前後に行うことができる7つの対処施策が紹介されました。
こうしたクイックロスを防ぐために、人事部として中途入社者、既存組織への入社前後に行うことができる7つの対処施策が紹介されました。

(Photo: Brian Scott Peterson)

クイックウィン施策、解決志向アプローチとは

一方で、変化が早く、すぐに結果を求められる組織の場合は、人事としての7つの策ひとつずつの実行では、時間が掛かりすぎます。その対応策として、解決志向アプローチを用いたクイックウィン施策が、川西より紹介されました。解決志向アプローチは、個人や組織の問題を追及したり、間違いを正すことよりも、チーム全体が希望する分野や成長の可能性に目標・焦点、共通言語を定め、チームが同じベクトルを向く後押しをする手法です。組織のこのアプローチを取り入れるよう考えを押し付けるのではなく、ボトムアップの共通目標の設定に、人事部門が議論を導くことで、クイックウィンを実現した企業の事例が紹介されました。

(Photo: Brian Scott Peterson)

この組織メンバーの個々のエネルギーを、問題の追及ではなく、共通目標を定め、希望や成長につなげる試みは、リチーミングと呼ばれ、北欧フィンランドのソ連崩壊以降の社会施策に基づいています。

人材不足の中、組織力を高める中途採用者の戦力化を

参加企業の方々を交えたディスカッションでは、中途採用社員の定着を取り巻く課題、また採用後、人事として実施をするフォロー施策についての情報交換が活発に行われました。課題としては、入社後に他部署との連携に不安を抱える方や、入社前後のキャリアパス、組織風土のイメージとのギャップに苦しむ中途社員が多い傾向にあるとの意見が出されました。特に、既存の社員との壁を持ってしまう社員、他部署との連携に苦労している様子が共通項として浮かびました。

その解決策として、サービス・製造部門、管理部門、役職のランクに関わらず、製造工場やサービス配送の現場に配属機会を設けていると、複数の参加者から事例が挙げられました。特に、大きな組織、保守的な社風、生え抜きの社員が多い企業では、早い段階で組織風土になじんでいただくこのような試みが有効であるとの意見が出されました。

また、部下を抱えるシニアクラスの中途社員の組織への融合を図る施策として、入社一ヵ月後に導入プログラムを実施している例も挙げられました。本人だけではなく、部下を含むメンバーが一同に会し、人事部門主導でアイスブレーキングとなる自己紹介、部署の課題共有、実現したい自部署のイメージを発表、共通方針を作り出す場を設けているとの報告がありました。

(Photo: Brian Scott Peterson)

一方、入社前後のイメージギャップ、将来のキャリアパスに不安を抱え、退職をする中途社員(新卒社員にも共通する)が多いとの報告も、複数の参加者から挙げられました。自社を良く見せようとした表向きの表現からの誤解、配属先や直属の上長によって異なる方針や雰囲気がその背景として考えられます。

特に、過去に複数の買収合併、経営統合を繰り返してきた企業からは、拠点や事業部ごとに組織風土が違うため、本社主導の研修や制度を用意しても、拠点、部門長の方針に左右され、一貫性の無さに違和感を感じる中途社員が多いことに苦慮をされているとの報告がありました。

対応策として、一部の企業は、入社後の定期的なフォローに加え、退職する社員へのヒアリングを実施すると共に、逆に退職をせず定着に成功している部署、中途社員の共通項をみつけ、社内で力を発揮し、活躍する人物像を次の採用活動に生かすのもよいのではとの提案がありました。

ランスタッドでは、人事労務に関わるプロフェッショナル向けの交流型・小規模の勉強会を毎月開催しております。次回の開催は12月16日(火)、シニア人材の活用についての発表、議論を予定しております。

    人材サービスをご希望の企業様へ

    人材に関する課題がございましたらランスタッドへお任せください

    人材サービスのご依頼ご相談

    人材ソリューションのご相談や、ランスタッドの人材サービスに関するご相談などお伺いいたします

    企業の方専用ご連絡先
    0120-028-037
    平日9:30-17:00 ※12:00-13:00除く