気になるマージンの内容をご存じですか

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【労務・コンプライアンスノート】 第12回: 気になるマージンの内容をご存じですか

改正派遣法の施行で、派遣元事業主は様々な情報を広く開示することになりました。

特に、世間から注目を集めるのはマージン率です。戦前にあった労働者供給事業(労働者を物のように貸借する商売で、戦後は職業安定法によって禁止されています)の"ピンハネ"に例えられることもありますが、これは大きな間違いです。

昨年の法改正で開示することになったマージン率について見てみましょう。派遣法第23条では、マージン率は次の式によって算定することになっています。



大切なことは、マージン率として現される料金と賃金との差額が、派遣元事業主の手元でどのように使われているかです。
一般社団法人日本人材派遣協会がホームページで発表している「派遣料金の仕組み」をご覧下さい。



派遣労働者に支払う賃金が70%を占め、残りも派遣労働者の加入する社会保険料や年次有給休暇取得時の費用にあてられています。派遣会社諸経費とは、派遣労働者への賃金振込に必要な金融機関手数料や契約書の発行・郵送にかかる費用、派遣労働者の募集・採用や教育訓練に要する費用などです。

こうして必要な経費を支払った後に派遣元事業主の営業利益として残るのは全体のわずかです。このマージン率は、毎年派遣元事業主の決算から1か月以内に開示することになっています。

まもなく多くの派遣元事業主が3月末決算を迎え、春には新しいマージン率の情報が公開されます。単に派遣料金の単価だけではなく、派遣元事業主がマージンを派遣労働者の労働条件の向上に積極的に充てているかどうかもチェックし、取引先選定の材料にしたいものですね。

(2013.1.1 掲載、2015.4.24更新*)

*上記は掲載および更新時点のものです。最新の派遣料金の内訳については、「日本人材派遣協会」のホームページでご確認ください。

このコラムに関するお問い合わせ:
ランスタッド株式会社 コミュニケーション室
Tel: +81(0)3-5275-1883
Email: communication
@randstad.co.jp

労務コンプライアンスノート本コラムでは、多様な人材を活用する企業人事部門の皆さまが、コンプライアンスに則った適正な形で人事・労務業務を遂行いただけるよう、ランスタッド顧問社労士がバラエティに富んだ労務トピックスを分かりやすく解説いたします。

特定社会保険労務士 田原 咲世 (たはら・さくよ)

1968年大阪生まれ。立命館大学修士課程修了後、旧労働省に入省し、労働基準法・男女雇用機会均等法・派遣法改正などを担当。2008年3月まで北海道労働局の需給調整指導官として活躍。2008年4月から札幌で北桜労働法務事務所を経営。特定社会保険労務士として、労働関係法を中心とした指導を行う。現ランスタッド、顧問社労士。

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