労働政策審議会の障害者雇用分科会(山川隆一分科会長)は11月10日、事務局の厚生労働省が提示した雇用率制度、雇用納付金、福祉との連携促進などを主要テーマとすることを了承しました。
この日は雇用率制度の中の精神障害者の雇用について議論。
精神障害者の雇用については雇用促進の観点から、
(1)2022年度末まで短時間勤務(週20~30時間)を本来の0.5人から1人にカウント
(2)対象者は新規雇用から3年以内か精神障害者手帳取得から3年以内の人
(3)「重度」の取り扱いはしない――
などの特例を設けています。
厚労省はこれらについて、特例を継続し、3年以内の要件をはずし、「重度」の設定は調査・研究などを通じて検討を進める、との案を提示しました。
委員からは基本的に支持が相次ぎましたが、就労から3年までが離職者が多いために3年の条件を設けたこともあり、「条件をはずすことには、身体、知的障害者との公平性の観点から懸念も残る」という意見が出ました。
また、精神障害者手帳を所有しておらず、医療費の自己負担軽減に向けて発行する自立支援医療受給者証で“代替”できるかどうかについて、厚労省は「ただちに雇用率に算定することはせず、取り扱いを検討」と提案し、大筋了承を得ました。受給者証は医学的所見などはあるものの、生活能力などに関する記述はないため、就労の可否に必要な障害の有無を判断できないというのが理由です。
これについては、「受給者証が就労困難性の判断基準になるかどうかは疑問」「企業にとっては手帳による判断の方が楽」「受給者証は目的外使用になる」など消極的な意見が相次いだ一方で、「手帳の有無以前に、就労希望者を支援する仕組みは必要」との意見もありました。
日本生産性本部が11月11日発表した「日本の労働生産性の動向2021」によると、20年度の時間当たり名目労働生産性(就業時間1時間当たり付加価値額)は4986円(前年度比0.1%増)の微増でしたが、物価上昇率0.6%を織り込んだ実質生産性は同0.4%減となりました。コロナ禍により、20年後半は回復に転じましたが、21年に入って再び低迷。12月下旬に国際比較を発表します。
就業者1人当たりの名目生産性は805万円(同2.9%減)と3年連続で低下が続いています。実質生産性は同3.4%減で、リーマン・ショック時の08年度の同3.1%減をさらに上回り、現行統計で比較可能な1995年度以降、最大のマイナス幅となりました。GDPのマイナスが最大要因です。
厚生労働省が11月9日発表した2021年「就労条件総合調査」によると、昨年の年次有給休暇の取得状況は年間付与日数が17.9日(前年比0.1ポイント減)で、取得日数は10.1日(前年と同じ)となり、取得率は56.6%(同0.3ポイント増)でした。まだ4割以上の有休を残しているものの、1984年以降の最高です。
一方、企業が社員の雇用に伴って支払う「労働費用」は1人1カ月平均で40万8140円(16年調査比2.1%減)。内訳は「現金給与」が33万4845円(同0.7%減)、法定福利費など「現金給与以外」が7万3296円(同8.0%減)といずれも減少しました。新型コロナウイルスの感染長期化で雇用者数や労働時間が減少した結果とみられます。
調査は常用労働者30人以上の企業6441社を抽出して、21年1月1日時点の状況を聞き、4013社から有効回答を得ました(回答率62.6%)。