「企業に個別通知の義務を」労契法「無期転換ルール」で厚労省の有識者検討会

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有期の約4割が転換ルール「知らない」に対応

 労働契約法「無期転換ルール」の見直しと「多様な正社員」の雇用ルールを議論する有識者会議「多様化する労働契約のルールに関する検討会」(山川隆一座長)は10月12日、第8回会合を開きました。前回までに議論が一巡した「無期転換ルール」の7つの論点を踏まえ、追加の議論を続行。当事者である有期契約労働者の約4割が無期転換ルールを「知らない」という現状を打開する方策として、「企業からの個別通知の義務化」を支持する意見が大勢を占めました。年内にまとめる報告書を受けて、厚労相の諮問機関である労働政策審議会が本格的に議論します。

 2013年4月に施行された労契法の「無期転換ルール」は、同じ企業との間で有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えると、労働者の申し込みによって無期労働契約に転換される制度です。18年4月から権利行使できる労働者が出ていますが、厚生労働省の大規模なアンケート調査では企業と有期で働く人の双方で認知度が低いことが浮き彫りになっています。
 この日は、これまでに議論した(1)総論(2)無期転換を希望する労働者の転換申込機会の確保(3)無期転換前の雇い止め等(4)通算契約期間及びクーリング期間――のポイントを整理した後、(5)無期転換後の労働条件(6)有期雇用特別措置法の活用状況(7)その他――の7つの論点を整理して、「追加の議論」を行いました。
 この中で、当事者の認知度が低いという実態に着目し、どのような方策や通知時期、通知内容、通知方法が考えられるか検討。方策例として挙がった「企業からの個別通知の義務化」「企業による労働者の意向確認の義務化」「企業の無期転換実績の公表の(努力)義務化」の3つのうち、「企業からの個別通知の義務化」が有効な手段として支持されました。残り2つについても「妥当な方策」との見解が多かったものの、「現場の運用を考えるといくつか課題がある」との認識でまとまりました。
 追加の議論ではこのほか、「無期転換前の雇い止めや無期転換回避を巡る紛争の未然防止に向け、どのような方策があるか」「更新上限に関する紛争の防止について、労使双方が納得の上で合意することを促すためどのような方策が考えられるか」「無期転換労働者の待遇について、就業の実態に応じた均衡考慮を促しつつ、労使間で納得感が醸成されるよう、どのような取り組みを促すべきか」などをテーマに議論を展開しました。

雇調金特例、来年3月まで延長

 厚生労働省は10月19日、新型コロナ対策で企業に対する雇用調整助成金、休業支援金などの特例措置を、現在の11月末から来年3月に延長する、と発表しました。特例措置の内容は12月末まで現行通りとし、年明け以降については検討の上、11月中に発表します。助成額は減額する見通しです。

1~9月の休廃業・解散は微減

 帝国データバンクが10月14日発表した企業の「休廃業・解散」動向調査(速報値、個人経営を含む)によると、今年1~9月で4万1761件(前年同期比3.7%減)となりました。政府・自治体などによる資金繰り支援や補助金などの対策が一定の効果を上げているとみられます。同社は、通年では5万5000件前後と予想しています。業種別で最も多いのは建設業の5519件(同0.6%減)でしたが、製造業、卸売業、小売業なども減少しています。
 一方、サービス業は5400件(同3.4%増)、不動産業も1345件(同1.7%増)と増えました。細かく見ると、ホテル・旅館が143件(同37.5%増)、旅行代理店が71件(同77.5%増)などコロナ直撃業種の急増ぶりが明らかになっています。


取材・文責
(株)アドバンスニュース

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