製造請負・派遣事業の業界団体、日本生産技能労務協会は6月22日、都内で2021年定時総会を開き、活動領域の拡大を見据えて協会名を「日本BPO協会」に変更することを決めました。7月1日付で改名します。技能協は2020年1月、創立30年の節目に「将来ビジョン2030」を策定。この中で「製造・物流分野を軸としつつ、活動領域を技術、販売、バックオフィス、行政サービスなどに拡大し、広くアウトソーシング全般を対象とする」と盛り込み、具体的な方策や体制のあり方などを検討してきました。これに一定のメドがついたことから改名に踏み切りました。
当初は昨年春に動き出す予定でしたが、新型コロナ感染防止と雇用維持に注力するため先送りとなっていました。「B P O 」は、ビジネスプロセスアウトソーシング(Business Process Outsourcing)の略称。業務プロセスの一部を一括して専門業者に外部委託する場合に使われ、発注する企業は、経営資源のコア業務への集中やコスト削減、固定費の変動費化のみならず、より優れた業務品質を実現し、顧客への提供価値を高めることが可能となるとされています。同協会は「会員企業がビジネスプロセスアウトソーシングを通じて、発注企業とともに発展するとの気持ちを込めた」と発表しました。
総会の後には、オンラインで協会会員対象の講演会を開き、厚生労働省職業安定局民間人材サービス推進室の高西盛登室長が挨拶。佐藤博樹・中央大学大学院教授の司会で、製造請負・派遣以外の新分野に積極的に進出している会員企業3社がパネリストを務めました。このうち、ランスタッドからは青木秀登執行役員が登壇し、外国人留学生の日本語や就活の支援モデルや公共サービス事業への進出など、自社のこれまでの取り組みについて具体的に説明。参加者からは「どういう部署で、誰が進出を検討するのか」などの質問があがり、視聴した会員と踏み込んだ質疑応答で「領域拡大」のポイントや着眼点を掘り下げました。
厚生労働省が5月24日発表した5月の労働経済動向調査によると、労働者の過不足状況判断DI(「不足」の割合から「過剰」の割合を引いた数値)は、正社員が28ポイントで2月の前期調査から1ポイント上昇しました。40四半期連続の「不足」が続いていますが、伸びはわずかにとどまっています。
業種別では前回と同様に、建設が49ポイント(同2ポイント増)で最も高く、新型コロナ対策に追われる医療・福祉が46ポイント(同3ポイント減)で続いています。営業自粛要請が長期化している宿泊・飲食サービスは9ポイント(前回マイナス1ポイント)となり、不足が過剰を上回りました。
パートタイムも20ポイント(同1ポイント増)。卸・小売りが28ポイント(同1ポイント増)、生活関連サービスも28ポイント(同5ポイント増)に上昇し、宿泊・飲食サービスも26ポイント(同21ポイント増)と急上昇しています。医療・福祉は21ポイント(同9ポイント減)で緩和の兆候がみられました。
厚生労働省が5月23日発表した2020年度「過労死等の労災補償状況」によると、労災請求件数は2835件(前年度比161件減)で、うち支給決定件数は802件(同77件増)でした。802件のうち死亡件数は148件(同26件減)です。労災のうち、脳・心臓疾患の請求件数は784件(同152件減)で、そのうち業務上と業務外の決定件数は665件(同19件減)。決定件数のうち、業務上と認定した支給決定件数は194件(同22件減)となり、認定率は29.2%(同2.4ポイント減)となりました。減少の原因として、新型コロナの感染拡大に伴う企業活動の停滞が考えられます。
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