厚生労働省が発表した2020年10月末現在の「外国人雇用状況」(届け出)によると、外国人労働者数は172万4328人(前年同期比4.0%増)で、届け出が義務化された07年以降で過去最高を更新しました。13年以降の伸びが著しいものの、昨年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、2015年から続いていた2ケタ台の大幅増が止まりました。届け出制度は07年10月に義務化され、すべての事業主は企業規模にかかわらず、外国人労働者の雇い入れと離職の際に、労働者の氏名、在留資格、在留期間を確認し、ハローワークに届け出ることになっています。
厚労省によると、08年10月末の外国人労働者は約48万人で、この10余年で約120万人も増えています。法務省が半年ごとに公表している在留外国人数は、直近で約288万人(昨年6月末時点)なので、在留者全体の約6割が就労している格好です。
外国人労働者の増加に連動して、雇用する事業所も増加。26万7243カ所(同10.2%増)にのぼり、過去最多を記録。事業所規模では30人未満の中小企業が最も多く、全体の約6割、外国人労働者全体の35.8%を占めています。この実態は、全国各地のあらゆる産業で、外国人労働者が人手不足を補う必要不可欠な存在になっていることを如実に物語っています。
雇用事業所のうち、労働者派遣・請負事業を行っているのは1万9005カ所(同3.1%増)で、就労数も34万2179人(同1.2%増)と増えました。それぞれ事業所数全体の7.1%、労働者数全体の19.8%に達します。 国別では、ベトナムが最多の44万3998人(同10.6%増)、中国が41万9431人(同0.3%増)で、両国だけで全体のちょうど半数を占めます。ベトナムの急伸が際立ち、調査開始以降トップを維持してきた中国を抜き去りました。製造業や介護分野などでの就労が多いのも特徴です。3番目はフィリピンの18万4750人(同2.8%増)。このほか、まだ人数は少ないものの、ネパール9万9628人(同8.6%増)とインドネシア5万3395人(同4.0%増)の増加が顕著です。
在留資格別では「身分に基づく在留資格」(永住者、日本人の配偶者など)が最多の54万6469人(同2.8%増)で、「技能実習」が40万2356人(同4.8%増)、「留学などの資格外活動」が37万346人(同0.7%減)、「専門的・技術的分野」が35万9520人(同9.3%増)と続きます。近年、留学生が在留資格を「専門的・技術的分野」の中の「技術・人文知識・国際業務(技人国)」に変更するケースが多く、日本国内でそのまま就職しています。また、東南アジアの高度な理系人材が、大学卒業と同時に日本企業に就職する形も同様に増えています。
産業別では「製造業」が48万2002人(同0.3%減)で最多。「サービス業」が27万6951人(同3.9%増)、「卸・小売業」が23万2014人(同9.2%増)です。
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