厚生労働省が10月30日発表した9月の有効求人倍率(季節調整値)は前月比0.01ポイント下落の1.03倍でした。9カ月連続の低下で、単月では2013年12月と同じ水準で、下降局面では07年後半と同じ水準。新型コロナウイルスの感染拡大による企業の求人意欲の低下が依然として続いていますが、低下のペースは少し緩やかになっています。次回の月間集計の行方が注目されています。
都道府県別(就業地別)では福井県の1.52倍が最高で、最低は沖縄県の0.71倍です。新規求人倍率は2.02倍で前月比0.20ポイント上回りました。
新規求人数(原数値)は前年同月比17.3%減で、前月から約10ポイント上昇しており、落ち込み幅は徐々に縮小しています。業種別では前月までと同様に、生活関連サービス・娯楽業の同32.9%減、宿泊・飲食サービス業の同32.2%減、卸・小売業の同28.3%減、製造業の同26.7%減などが目立ちます。
また、正社員の有効求人倍率(季節調整値)は前月と同じ0.78倍となりました。
総務省が30日発表した9月の就業者数は6689万人で、前年同月比79万人減と6カ月連続で減少。完全失業者は210万人で同42万人増え、200万人の大台を超えて8カ月連続の増加となりました。
この結果、完全失業率(季節調整値)は前月と同じ3.0%。単月では16年後半と同じ水準で、悪化傾向で比較するとバブル崩壊が本格化した1994年後半~95年前半と同じ水準。内訳は男性が前月から0.2ポイント悪化の3.2%で、女性が0.2ポイント改善の2.7%です。
形態別雇用者数では役員を除く雇用者5608万人のうち、正社員は3529万人で前年同月より48万人増。非正規社員は2079万人で、前月に続いて同123万人の大幅減。非正規ではパートが1039万人(同24万人減)、アルバイトが445万人(同37万人減)、契約社員が267万人(同40万人減)、派遣社員が143万人(同3万人減)、嘱託が109万人(同17万人減)といずれも減少が続いている。非正規比率は前月比0.2ポイント増の37.1%。
また、9月の休業者は197万人となり、前月比19万人減、前年同月比35万人増と依然として高い水準が続いています。
求人情報会社が10月29日発表した2022年卒採用見通しによると、9月時点では「実施予定」が61.7%、「検討中」が23.6%にのぼり、「実施しない」は8.1%でした。実施予定企業のうち、採用数が「決まっている」のは59.5%、「検討中」が35.0%ありました。前年に比べて「―10%未満~+10%未満」が63.1%を占めました。コロナ禍にあっても、新卒採用には積極的な企業の多いことがうかがわれます。
インターンシップの実施状況については、「実施した」が36.4%、「検討中」が24.7%となっています。
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