法人向けHRブログ workforce Biz

大幅引き上げ、継続か見送りか。今年の最賃審議、注目される目安

作成者: アドバンスニュース|Jul 22, 2026 1:09:08 AM

政府は「20年代に1500円」目標を先送り

今年の最低賃金(最賃)の審議が佳境に入っています。中央最低賃金審議会は6月26日から、最賃の「目安」を決める小委員会で検討を進めています。7月下旬には目安を提示する予定です。昨年、目安を大きく超える地方が続出したことについて、中央審は「法令に基づく引き上げ」を地方に求めたことなどから、今年は地方審がどう判断するか、対応が注目されます。加えて、政府は「20年代に1500円」目標を先送りして、「30年代前半の実現」に政策変更。これが今年の最賃の審議に何らかの影響を及ぼす可能性もあります。

 

昨年、中央審は平均目安を過去最高の63円(6.0%増)引き上げて1118円としました。従来なら、地方審は目安と同額か1~2円程度の上乗せをして決着しましたが、昨年は様相が一変しました。

熊本県が目安を18円上回る1034円に決めたのを最高に、大分県が17円増の1035円、秋田県が16円増の1031円、岩手県が15円増の1031円など、目安を大幅に上回る県が続出。さらに、発効日も10月のメドを大きく遅らせ、秋田県の翌3月31日をはじめ、群馬県の3月1日、福島県など4県が1月1日にズレ込ませる異例の事態となりました。

実は、その1年前の24年度、徳島県が「人材の他県流出防止」を目的に、目安の50円増を34円も上回る84円に設定し、最賃を896円から980円に大きく引き上げた「徳島の乱」が大きな話題を呼びました。1人あたりの県民所得などを参考にした、それなりの引き上げ額でしたが、結果的に25年度の他県の"参考事例"になりました。

 

一方、発効日の後ろ倒しは、「大幅引き上げに向けた準備期間が必要」という企業側の意向を受けてずれ込んだものですが、10月発効の県からは最大で半年の時間差が生じました。最賃法では、改定額の公示から30日後の発効を定めていますが、発効日の引き延ばしを大幅引き上げ額との"取引材料"にすることは想定外であり、労働側から「引き上げ効果が半減する」との不満も聞かれました。

このため、中央審は今年の論点整理を公表。「近隣県等との過度な競争意識や最下位回避の意識による、地域の実態と乖離した引き上げ」については、最賃法で定める地域の生計費、賃金、企業の支払い能力の「法定3要素」に基づいて決めるべきこと。「発効日」についても、同法で定める「公示の日から約30日」に従うべきであり、大幅引き上げの"取引条件"として使うべきではないこと。「地方審はこうした考え方を踏まえた審議を行い、発効日が遅れる場合は理由を説明する」ように求めました。

 

今回の論点整理は、中央審として地方審に"自重"を求める意向が色濃い内容となっています。ただ、「最下位回避競争」の背景には、地方の深刻な人手不足や近隣県へ容易に移動できる労働力の流動化など、最賃法では想定していなかった現実的な問題があり、都道府県単位の最賃の決め方も時代に合っているかどうか、再検討する必要が出てきていることも確かです。

今年の最賃論議は、昨年のこうした事態を受けた流れとなっているのが特徴です。

 

最新の人事トレンドをメールマガジンで配信中