雇用形態にかかわらない公正な待遇確保の取り組み強化に向け、労働者派遣法とパートタイム・有期雇用労働法の見直しを検討してきた労働政策審議会「同一労働同一賃金部会」(小畑史子部会長)は11月11日、厚生労働省がこれまでの議論を整理・調整して提示した報告書案を審議しました。年内に了承を得たうえで、年明けに「同一労働同一賃金ガイドライン」を含む関係法の省令・指針に関する改正要綱案を同部会に示し、来年中の公布と運用を目指します。約1年間の議論が集結した格好です。
「同一部会」は今年2月、働き方改革関連法のうち、公正な待遇の確保を盛り込んだ「パート・有期法」と「派遣法」について、20年4月の施行から5年経過したことを踏まえて議論を展開。(1)改正後のパート・有期法と派遣法の「均等・均衡待遇規定」(2)同一労働同一賃金ガイドライン(3)非正規雇用労働者に対する支援(正社員転換等のキャリアアップ、無期雇用フルタイム労働者への同一労働同一賃金ガイドラインの考え方の波及)――を軸に見直しを検討してきました。
厚労省が提示した報告書案の骨子は、(1)均等・均衡待遇(2)労働者に対する待遇に関する説明義務の改善(3)公正な評価による待遇改善の促進(4)行政による履行確保――の4本柱で構成。(1)では、<1>同一労働同一賃金ガイドラインの更なる明確化、<2>パートタイム・有期雇用労働者及び派遣労働者の意見の反映、<3>労働者派遣制度における待遇決定方式の運用改善、<4>福利厚生施設、<5>いわゆる「立証責任」――について明記。(2)では、<1>待遇の相違の内容及び理由等について事業主及び派遣元事業主に説明を求めることができる旨の労働条件明示事項への追加、<2>待遇の相違の内容及び理由等の説明の方法――を記載。(3)では、<1>公正な評価による待遇改善の促進<2>情報公表の促進<3>正社員転換支援・キャリアアップ<4>「多様な正社員」制度の普及促進<5>無期雇用フルタイム労働者――について記述。(4)では、制度周知や企業の取り組み支援を進めることが適当であることを強調しています。いずれも、現行規定を拡充した内容となっています。
労働者側委員は、前進を評価する一方で、強く求めていた「待遇情報の提供のあり方」の法改正レベルの強化と、派遣元の労使協定方式における「賃金構造統計調査に基づく一般賃金水準の算出方法」が見直しに至らなかったことから、「踏み込み不足」「腹落ちしない」と不満も表明しました。使用者側委員は、同一労働同一賃金の更なる普及・浸透を促す広報と周知活動の強化を求めました。
東京商工リサーチは11月11日、クマの出没による影響を調査した「クマ出没の企業活動への影響」調査を発表しました。東北地方で宿泊業など3割近い企業で「影響がある」と回答した。「影響が出ている」企業は6.5%にあたる414社でしたが、地区別では東北が28.9%にあたる160社、北海道が15.4%にあたる56社、北陸で8.6%にあたる17社となっており、東北がダントツに多くなっています。