公労使と障害者団体の代表らで構成する厚生労働省の第9回「今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会」は10月29日、法定雇用率制度のあり方として「手帳を所持していない精神・発達障害者の位置づけ」を議論。厚労省が論点整理した「雇用率制度の対象とする必要性・合理性は高くなく、現行の仕組みを維持」、また、症状の改善などさまざまな事情で手帳の更新が得られなかった場合については「1年程度の一定期間、引き続き雇用率制度と納付金制度上の取り扱いとする」との方向性に委員が賛同しました。
法定雇用率制度については、(1)手帳を所持していない難病患者や精神・発達障害者の位置づけ(2)就労継続支援A型事業所やその利用者の位置づけ(3)精神障害者において雇用率制度における「重度」区分を設けることについて(4)障害者雇用納付金の納付義務の適用範囲を常用労働者数が100人以下の事業主へ拡大することの是非――をテーマに、昨年12月から議論を重ねています。前回(10月3日)の会合では、「手帳を所持していない難病患者の位置づけ」をテーマに議論しており、「一定の雇用率算定を可能とする」方向性で認識を合わせています。
この日の「手帳を所持していない精神・発達障害者の位置づけ」においては、厚労省が障害者雇用促進法におけるこれまでの経緯や「精神障害者保健福祉手帳」と「自立支援受給者証」との関係、研究機関の調査状況などを整理したうえで、「別途の基準を用いて雇用率制度の対象とする必要性・合理性は高いとは言えず、現行の仕組みを維持した上で、引き続き職場を社会全体の精神・発達障害に対する理解の促進を図っていくのはどうか」と提起。また、手帳の更新が得られなかった場合について「ただちに法定雇用率の未達成として取り扱うのではなく、対象者が企業に引き続き雇用される場合、1年間程度の一定期間、雇用率制度と納付金制度上の取り扱いを検討してはどうか」――との考え方を示しました。
この方向性は、同研究会のこれまでの議論とも合致しており、委員からは「前回テーマとなった難病患者とは特性や症状も異なるため、当面は現行維持が望ましい」「手帳を持つことへの抵抗感が低くなっているとのデータもあり、当面は精神・発達障害に対する理解の促進を進めるべき」といった意見が挙がりました。
同研究会の議論は、2027年の障害者雇用促進法の改正を見込んだテーブルで、次回以降、報告書の取りまとめを視野に入れた動きとなっていく見込みです。
求人情報会社が10月30日発表した「副業・兼業」に関する企業調査によると、半数の企業が社員の副業・兼業を容認し、24%が副業・兼業の人材を受け入れていることがわかりました。人手不足の解消や専門人材の獲得が狙いとみられています。
社員の副業・兼業を「認めている」企業は20%、「一部認めている」は29%で、計49%(前年比3ポイント増)に上り、認めている理由は「社員の収入増」「優秀人材の定着(離職防止)」「社員のモチベーション向上」などが主流です。