公労使と障害者団体の代表らで構成する厚生労働省の「今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会」は5月9日、障害者雇用納付金に関して常用労働者100人以下の企業にも納付義務の適用範囲を拡大することの是非について議論しました。
質の重視と経済的・事務的負担などを理由に慎重な意見があった一方で、適用拡大または周知・準備期間を含めた段階的な適用拡大を求める声が多く聞かれました。
年内にも報告書を取りまとめる方針で、障害者雇用促進法の改正につながる議論として注目されています。
現在、企業の法定雇用率の未達成企業は「不足分の人数×5万円」の納付金を毎月政府に支払わなければなりませんが、100人未満の企業は納付金の対象になっておらず、これが「雇用ゼロ企業」が減らないひとつの要因になっています。
ただ、納付金は達成企業に対する調整金や報奨金の原資になっているものの、未達成は中小企業が多いことから、「資金力の弱い中小企業から裕福な大企業に資金が向かっている」との批判も根強くあります。適用範囲を拡大する場合は、こうした観点との調整も必要となります。
同研究会は昨年12月にスタート。障害者の雇用者数は堅調に増加している一方で「雇用の質」の向上に向けてどのような対応が求められるか。加えて、雇用率制度について(1)手帳を所持していない難病患者や、精神・発達障害者の位置づけ(2)就労継続支援A型事業所やその利用者の位置づけ(3)精神障害者において雇用率制度における「重度」区分を設けることについて(4)納付義務の適用範囲拡大について――をテーマにヒアリングを交えて議論を深めています。
求人情報会社が5月12日発表した2024年度版「介護職白書」によると、現在の「年収300万円未満」の人が過半数に上り、給与に対して「満足していない」人が6割以上になることがわかりました。介護職の待遇改善は政府の喫緊課題となっています。
年収が300万円未満の比率は52.4%で、最も多い層は「200万~224万円」の10.4%。さらに、450万円未満になると92.6%になり、正社員・正職員で500万円を超える人はわずか4.4%に過ぎませんでした。国税庁によると、23年の民間給与所得者の平均は460万円、正社員・正職員の平均は530万円となっています。
24年度の報酬改定により、「処遇改善加算」のあった人は60.3%(前年度比8.1ポイント増)に増えたものの、それでも「満足していない」人はまだ62.6%(同5.8ポイント減)に上っています。また、職場の経営難・倒産を感じている人は3人に1人の33.6%あり、介護職を取り巻く環境は一段と厳しさを増している模様です。
公正取引委員会は5月2日、2024年度に下請法違反に基づいて企業に勧告した件数が21件あったと発表しました。自発的申し出件数の3件を合わせると24件(前年度比11件増)に上り、企業名公表を始めた04年以降で最多となりました。