厚生労働省が11月7日発表した毎月勤労統計調査の9月速報値(従業員5人以上)によると、労働者1人あたり現金給与総額は29万2551円(前年同月比2.8%増)で33カ月連続のプラスとなりました。
しかし、物価上昇分を差し引いた実質賃金指数(20年=100)は83.2(同0.1%減)で、8月に続いて2カ月連続のマイナスとなり、プラスの流れが定着していない状況です。
実質賃金は6月が同1.1%増、7月が同0.3%増と2カ月連続のプラスとなりましたが、これは夏ボーナスの伸びが寄与したためです。
ボーナス効果が消える8月以降の動きが注目されていましたが、2カ月連続で実質賃金のマイナスが続いたことは、賃上げの波が中小企業にまで及ばず、物価上昇に追い付かない局面が再び現出したとみられます。
給与額のうち、基本給などの所定内給与は26万4194円(同2.6%増)と31年ぶりの高い伸びでしたが、残業代などの所定外給与が1万9164円(同0.4%減)に減ったため、わずかですが実質賃金のマイナスにつながりました。
雇用形態別の総額は、正社員が中心の一般労働者は37万2881円(同2.6%増 )、パートタイム労働者は10万6903円(同1.8%増)でした。
産業別で大きく伸びたのは「鉱業、採石業等」の33万7240円(同10.8%)、「生活関連サービス等」の21万6106円(同9.1%増)などが目立ち、全16産業の名目賃金がプラスとなるなど、一定の春闘効果が出ていることがうかがわれます。
月間総実労働時間は134.9時間(同2.5%減)。月末の常用労働者数は5101.7万人(同1.0% 増 )で、パートタイム比率は30.24%(同0.25ポイント減)でした。
一方、同時に発表した特別集計の「24年夏季賞与(1人平均)」(6~8月支給)によると、平均41万4515円(同2 .3%増)で 、このうち事業所規模30人以上に限ると47万8814円(同 4.2%増)の高い伸びとなっています。
産業別で最も高かったのは「電気・ガス」の88万1533円(同14 .6%増 )、最も伸びたのは「飲食サービス」の7万5897円(同17.5%増)です。
求人情報会社が発表した「転職による年収アップの実態調査」によると、転職後に年収がアップした人は40.2%で、増減なしが34 .9%、ダウンした人は25.1%でした。平均アップ額は95.3万円となっています。
年代別では、アップ組が最も多いのは20代の45.0%で、アップ額は63.2万円。しかし、年代が上がるにつれて比率は減少し、50代になるとダウン組が37.0%でアップ組の33.5%を上回っています。
アップ額が最も高い年代は30代の138.7万円でした。ただ、理想の年収と現実には開きがあり、転職後の年収が理想より「高い」と感じた人は16 .1%に過ぎず、「低い」と感じた人の方が58.0%の大勢を占めました。理想の平均額は626万円で、転職後の実額である507万円とは119万円の開きがあります。