帝国データバンクが10月23日発表した「最低賃金(最賃)と採用時の最低時給に関する企業の実態調査」によると、正社員、非正規社員を問わず採用時の最低時給は平均1167円で、今年の平均最賃の1055円を112円上回ることがわかりました。
調査は最賃改定前の9月13~30日に実施。全国2万7093社のうち1万1188社から得た有効回答を集計しました( 回答率41.3%)。業種別で最も高いのは「金融」と「不動産」の1261円で、「建設」が1249円、「サービス」が1208円などです。
平均を下回ったのは「農林・水産」の1041円、「小売り」の1071円、「製造」の1104円。地域別で最も高いのは東京都の1340円で、唯一の1300円台。次いで神奈川県の1277円、大阪府の1269円、愛知県の1208円など、大都市を抱える都府県が並んでいます。
一方、青森県は984円、秋田県は990円、鹿児島県は991円と改定最賃こそ上回っているものの、1000円台を下回っています。改定最賃では地 域間格差を縮小する方向で決まりましたが、実態は格差が拡大しているようです。
企業側では、物価上昇が続く中で「従業員の給料を上げることで消費を促す必要がある」といった声がある一方、「年収130万円の壁を超えないようにするため、労働時間を意図的に抑える従業員が増え、人手不足が加速する」という声も多数寄せられているといい、同社は「政府は最賃引き上げを続けるだけでなく、人手不足や価格転嫁への対応、社会保障制度の改定 など、経営がひっ迫しないような政策を打ち出していく必 要がある」と指摘しています。
東京商工リサーチが10月22日発表した2024年の女性社長は64万9262人(前年比6.0%増)となり、全国の社長に占める比率も15.24%(同0.28ポイント増)で、いずれも過去最 高を記録しました。15%を超えたのは初めてです。
初調査の10年当時から14年間で3倍に増えており、同社は「女性の働きやすい環境整備が社会課題に浮上し、女性の活躍を支援する取り組みが少しずつ広がっているため」と分析しています。
産業別では「サービス業他」の占める比率が49.4%で最も多く、開業の敷居が低い飲食業や女性顧客が中心の美容業、エステティック業などが多いためです。
次いで「不動産業」の14.9%、「小売業」の10.2%。企業規模では「従業員5人未満」が61.5%で最も多く、従業員が増えるに従って比率も下がり、「同300人以上」になると0.3%に下がります。年齢では女性社長の平均が65.1歳で、男性社長の63.3歳より1.8歳高くなっています。
連合は10月18日、中央執行委員会で来年の春闘に向けた統一要求の賃上げ目標を「5%以上」、中小企業は「6%以上」とする方針を決定しました。
中小向けに高い目標を設定するのは14年以来11年ぶりで、連合は「適切な価格転嫁、適正取引の取り組みを強化する」としています。