厚生労働省が8月6日発表した毎月勤労統計の6月速報値(従業員5人以上)によると、労働者1人あたり現金給与総額は49万8884円(前年同月比4.5%増)で30カ月連続のプラスとなりました。
また、物価上昇分を差し引いた実質賃金指数(20年=100)も143.0(同1.1%増)となり、2022年3月以来、27カ月ぶりにプラス転換し、過去最長のマイナスを脱しました。大幅な物価上昇によって実質賃金は23年1月の同4.1%減を最大に今年5月までマイナスが続いていました。
今春闘で相次いだ大幅賃上げの効果が4月以降に徐々に出始め、6月にようやくプラス転換した格好です。しかし、夏のボーナスの伸びが大きかったことから、今後もプラスが続くかどうかは予断を許しません。給与額のうち、基本給などの所定内給与は26万4859円(同2.3%増)で、残業代などの所定外給与は1万9483円(同1.3%増)。ボーナスなどの特別給与は21万4542円(同7.6%増)となり、所定内給与はまだ実質マイナス1.0%。ボーナスの大きな伸びがプラス転換の主要因となります。
雇用形態別の総額は、正社員が中心の一般労働者は66万4455円(同4.9%増)、パートタイム労働者は12万1669円(同5.7%増)となり、パートが伸びました。産業別では「電気・ガス」の111万1379円(同1.9%増)が最高で、「金融・保険」の101万2585円(同11.0%増)と続きます。最も伸びたのは「生活関連サービス」の29万2235円(同11.7%増)。待遇改善が求められる「医療・福祉」は41万7176円(同4.0%増)にとどまりました。5月と同様に16産業のうち4産業がマイナスです。
月間総実労働時間は140.5時間(同2.8%減)で2カ月ぶりのマイナス。月末の常用労働者数は5096.4万人(同1.1%増)で、パートタイム比率は30.57%(同0.41ポイント増)でした。
経団連が8月5日発表した24年春闘大手企業妥結結果(最終集計、加重平均、定期昇給を含む)によると、135社の平均妥結額は1万9210円(5.58%増)となり、前年の1万3362円(3.99%増)を金額、アップ率とも上回りました。妥結額は現行集計方法を始めた1976年以降で最高、アップ率も91年の5.6%を33年ぶりに上回っています。
製造業115社が1万9636円(5.79%増)、非製造業20社が1万7969円(5.01%増)と製造業が優位。業種別で最も高かったのは鉄鋼9社の3万7528円(12.04%増)で、建設5社の3万1268円(従業員平均、5.87%増)が続きます。
また、経団連が8月7日発表した2024年夏季賞与・一時金妥結結果(最終集計、加重平均)によると、加盟156社の平均は94万1595円(前年比4.23%増)となり、3年連続の増加。過去最高だった2018年の95万円に次ぐ金額です。
製造業120社の平均が98万6369円(同3.55%増)、非製造業36社が83万6150円(同7.57%増)と非製造業が大きく伸びています。