厚生労働省が発表した2023年「障害者雇用状況」調査(6月1日時点)によると、企業の障害者雇用数は64万2178.0人(前年比4.6%増)と20年連続で増加し、実雇用率も2.33%(同0.08ポイント増)と、どちらも過去最高を更新しました。2.3%の法定雇用率を達成した企業は5万4239社で、比率は50.1%(同1.8ポイント増)と過半数超え。身体障害者が36万157.5人(同0.7%増)、知的障害者が15万1722.5人(同3.6%増)、精神障害者が13万298.0人(同18.7%増)となりました。
一方、法定雇用率の未達成企業は5万3963社あり、そのうち不足数が0.5人か1人の企業(1人不足企業)が66.7%の多数を占めています。未達成企業のうち、1人も雇用していない企業は58.6%にあたる3万1643社と改善傾向はみられませんでした。一方、親会社の実雇用率に算入できる特例子会社は598社(同19社増)で、雇用者は4万6848.0人(同2991.0人増)に増えました。
公的機関の雇用数と実雇用率は、国が9940.0人、2.92%、都道府県が1万627.5人、2.96%、市町村が3万5611.5人、2.63%、教育委員会が1万6999.0人、2.34%。法定雇用率は2.6%、教育委員会が2.5%であり、教育委員会が依然として未達成のままです。独立行政法人は1万2879.5人、2.76%でした。
法定雇用率は企業が2.3%、国と自治体は2.6%(教育委員会は2.5%)。障害者雇用促進法の改正により、企業の雇用率は今年4月から2.5%、26年7月から2.7%に段階的に引き上げ。同様に、国と自治体は3.0%(教委は2.9%)に引き上げられます。
東京商工リサーチが発表した企業の「欠員率」に関する調査によると、半数以上の企業で欠員率が「5%以上」あり、宿泊、建設などの業種で顕著なことがわかりました。欠員率は「現在募集中の従業員数÷現在の従業員数」で計算、非正規雇用も含みます。
欠員率が「5%以上」が51.4%あり、「5%未満」は19.7%、「不足していない」が28.9%。企業規模別にみると、「5%以上」は大企業と中小企業ではほぼ同じ比率ですが、「不足していない」は大企業の18.2%の67社に対して、中小企業は30.0%の992社に上りました。「5%以上」を業種別にみると、「宿泊業」が85.0%で最も高く、次いで「職別工事業」が72.7%、「設備工事業」が71.6%、「農業」が71.4%などとなっています。
一方、今年の賃上げ予想については、「5%以上」の企業のうち「23年を超える」と答えた企業は13.7%程度で、「23年と同程度」が54.5%、「23年を下回る」が19.5%となり、「賃上げできそうにない」も12.3%ありました。深刻な人手不足下でも、業績不振などで従業員の待遇改善に動けない企業も少なくないことがうかがえます。
「23年を超える」企業の多い産業は「情報通信業」が23.0%で最も多く、2024年問題を控える「運輸業」が16.6%で続きます。