職業安定法上の特定募集情報等提供事業者(求人メディア)の対象を広げ、届け出制を導入した職安法22年改正(22年10月施行)。厚生労働省は、施行から丸1年が経過したことを踏まえ、事業者の届け出状況(10月1日時点)を集計しました。
1号から4号までの全事業類型の届け出は、952件1562サービスにのぼり、このうち許可事業の職業紹介と兼務している事業者は625件(65.7%)、労働者派遣事業と兼務している事業者が271件(28.5%)でした。
事業類型は、求人情報を求人企業などから依頼されて提供している事業者(1号)、求人情報を依頼されずにウェブ上から収集(クローリング)して提供している事業者(2号)。さらに、求職者情報を求職者などから依頼されて提供している事業者(3号)、求職者情報を依頼されずにウェブ上から収集(クローリング)して提供している事業者(4号)――の4類型。1号が従来から一般的に馴染みのある形態で、新たに職安法上の対象となった事業モデルが2~4号という格好です。これらに該当する事業者を職安法では「特定募集情報等提供事業」と呼んでいます。
1号 ⇒求人情報を求人企業などから依頼されて提供している事業者
2号 ⇒求人情報を依頼されずにウェブ上から収集(クローリング)して提供している事業者
3号 ⇒求職者情報を求職者などから依頼されて提供している事業者
4号 ⇒求職者情報を依頼されずにウェブ上から収集(クローリング)して提供している事業者
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届け出状況によると、全体の「特定募集情報等提供事業」の届け出数は952件1562サービスで、厚労省が当初見込んでいた件数とほぼ一緒でした。このうち個人事業主は33件(3.5%)にとどまり、職業紹介事業との兼業が6割強、派遣事業との兼業は3割弱となっています。
事業類型別にみると、1号のサービスは1454件、2号が148件、3号は645件、4号が9件。サービス内容は多彩であり、ひとつの事業者が主なサービスを複数届け出たり、ひとつのサービスで2つ以上の類型(号)に該当するケースもあります。また、SNS(LINE、フェイスブック、Xなど)を活用したサービスとして届け出たのは計20件で、SNS上でつながることをもってサービス利用の会員登録とみなすサービスが大半を占めています。
対象事業者は、毎年8月末までに6月1日時点における事業の実施状況について、厚生労働大臣に提出する義務があります。施行初年において事業概況報告書の提出義務があった902事業者のうち、提出したのは897事業者で、提出率は99.4%。
AIやITの急速な進化に伴い、雇用の“仲介的サービス”には改正前の職安法に位置づけられていた職業紹介や求人メディア以外にも、求人情報を集約化するアグリゲーターや人材データベース、SNS、スポットマッチング、クラウドソーシングなど、伝統的なイメージを超える多様なサービスが台頭。入職経路として活用が広がる一方、実態として“短期派遣”的な要素を含んでいたり、職業紹介との境界線が見えにくくなっていた部分もあることから、それぞれの事業者が対等の立場で競争できる同一の条件整備(イコールフッティング)が急務となっていました。