東京商工リサーチが10月5日発表した「人手不足」関連倒産によると、23年度上半期(4~9月)で82件に達し、最も多かった19年度の81件をわずかに上回り、13年以降で過去最高となりました。主要因は人件費の高騰と求人難です。1年前の31件の2.6倍で、内訳は求人難が34件、人件費の高騰が30件と2大要因となっており、従業員の退職は18件。コロナ禍前の19年当時と比べると、求人難は5件、従業員の退職は10件減った一方、人件費の高騰が16件増えているのが特徴です。
産業別ではサービス業他が25件で最も多く、建設業と運輸業が各19件で続きます。運輸業は前年度の3件から大幅に増えており、「2024年問題」が影を落としているとみられます。
同社によると、10月から最低賃金が全国平均で43円上がり、人材確保の前提として賃上げは必須ですが、物価上昇による負担増に加えての賃上げ圧力は経営の行き詰まりを加速させる要因になり、年間でも人手不足倒産が最多を更新する可能性があるとみています。
東京商工リサーチが9月28日発表した飲食料品主要200社の価格改定・値上げ調査によると、10月は47社で4151品目の値上げが実施され、2月、4月に次ぐ多さとなりました。「リポビタンD」「アポロ」などの人気商品に加え、ハム・ソーセージ類や酒税改正に伴う「第三のビール」も値上げされました。
今年1月からの累計でみると出荷・納品分の値上げを発表したのは166社、3万1681品目に達しています。長引く円安やエネルギー価格の高騰により、輸入食材を中心にしたコスト増となっており、各社は小売価格への転嫁を進めています。
中でも食用油が24.5%、飲料・酒が13.6%、冷凍食品が13.3%、加工食品が13.1%上がっており、日常生活に欠かせない商品の改定幅が大きくなっています。このままだと年末年始の消費にマイナスの影響が出かねない状況です。
厚生労働省が9月29日発表した8月の有効求人倍率(季節調整値)は前月と同じ1.29倍でした。倍率は5月から3カ月連続で低下していましたが、8月に下げ止まった形です。
企業側の有効求人数約245万人(前年同月比1.1%減)に対して、有効求職者数は約191万人(同0.4%減)でどちらも前年を下回りました。都道府県別(就業地別)の倍率は福井県の1.91倍が最高で、最低は北海道と大阪府の1.11倍です。
新規求人倍率は前月比0.06ポイント上昇の2.33倍でした。新規求人数(原数値)は前年同月比1.0%増となり、産業別では宿泊・飲食サービス業の同9.8%増、教育・学習支援業の同8.4%増などが伸びた一方で、製造業は同7.5%減、建設業も同3.8%減など。その他を含む全11産業のうち、7産業で増加、4産業で減少しました。また、正社員の有効求人倍率(季節調整値)は前月と同じ1.02倍です。