厚生労働省が7月31日発表した「2022年度雇用均等基本調査」によると、昨年10月時点で過去1年間に育児休業を取得した人の割合は女性が80.2%(前年度比4.9ポイント減)、男性は17.13%(同3.16ポイント増)となりました。
女性は05年の72.3%以来の低さで、男性は10年連続の上昇で過去最高を更新しましたが、政府が6月に決定した「こども未来戦略方針」で掲げている「25年までに50%」には遠く及ばない状況。女性はコロナ明けの経済回復や男性の育休増加で、取得率を下げたと推定されます。
有期契約(非正規)労働者に限定すると、取得率はさらに低く、女性は65.5%(同3.1ポイント減)、男性も8.57%(同5.64ポイント減)と、男女とも取得率を下げたうえ、正規労働者に比べても依然としてかなり開きがあります。
一方、管理職に占める女性の比率では、従業員10人以上の企業で「役員を含む課長相当職以上」が12.7%(同0.4ポイント増)、「係長相当職以上」が14.7%(同0.2ポイント増)となり、わずかながら増え続けています。ただ、産業別にみると、「医療・福祉」がダントツに高いなど、女性の多い産業に限定されている傾向に大きな変化はありませんでした。
調査は常用労働者10人以上の3096企業、同5人以上の3339事業所の回答を集計しています。
厚生労働省は8月3日、2022年度「長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導結果」を発表しました。それによると、対象となった3万3218事業場のうち、42.6%にあたる1万4147事業場で違法な時間外労働を確認、是正・改善の指導を行いました。この件数は前年度の34.3%を8.3ポイント上回っています。
違法事業場の中には、4割近くの5247事業場で1カ月あたり80時間を超える残業・休日労働がありました。さらに、同100時間を超えたのが3320事業場、同150時間を超えたのが752事業場、同200時間を超えたのが168事業場となっています。最も多かった業種は「商業」の3291事業場で、「製造業」が2802事業場、「接客娯楽業」が1491事業場で続いています。
ほかの違反としては「賃金の不払い」が3006事業場、過重労働による健康障害防止措置の未実施が8852事業場で認められました。
厚生労働省は8月1日、2022年「技能実習生の実習実施者に対する監督指導、送検等の状況」を発表しました。それによると、全国の労働基準監督署などが実施した監督指導件数は9829件(前年比793件増)で、その74%にあたる7247件(同691件増)で労働基準法などの違反がありました。
18年以降で実施、違反件数とも最高であり、違反率も同1.1ポイント増の過去最高でしたが、悪質事例に対する送検は21件(同4件減)にとどまっています。最も多かった違反事項は、使用する機械などの「安全基準」で2326件に上ります。