帝国データバンクが2月15日発表した「2023年度の賃金動向に関する企業調査」によると、昨年からの物価上昇を反映して過半数企業が賃上げを見込んでいるものの、企業規模が小さくなると賃上げしない企業も増え、厳しい台所事情がうかがえる結果となっています。
正社員の賃上げ意向のある企業は56.5%(前年度見込み比1.9ポイント増)と2年連続で増え、賃上げ意向のない17.3%(同2.2ポイント減)を大きく上回りました。賃上げ予定企業を規模別にみると、大企業は54.3%(同3.2ポイント増)です。
中小企業は56.8%(同1.4ポイント増)、小規模企業は49.3%(同2.6ポイント増)といずれも増えているものの、予定しない企業の比率は各13.1%、18.0%、25.7%あり、小規模企業の高さが目立っています。
賃上げの内容は「ベースアップ」が49.1%(同2.7ポイント増)で最も多く、「賞与(一時金)」が27.1%(同0.6ポイント減)。ベアは2年連続で過去最高を更新しています。
これに伴う自社の総人件費については69.6%(同2.5ポイント増)が「増加」を見込んでおり、5.8%(同2.9ポイント減)が「減少」を見込んでいます。両者を合わせた増加率見込みは3.99%となっていますが、従業員の給与自体の伸び率は2.10%にとどまるとみられます。
調査は1月18~31日、全国2万7362社を対象に実施し、1万1719社から有効回答を得ました(回答率42.8%)。企業規模は業種によって異なりますが、製造業などの場合、大企業は資本金3億円超&従業員300人超、中小企業は資本金3億円以下か従業員300人以下、小規模企業は従業員20人以下で区分しています。
連合が2月16日発表した2022年「なんでも労働相談ホットライン」によると、年間相談件数は1万9647件(前年比11.6%増)と大きく増えました。内訳は電話相談が1万6738件、メールが2099件、LINEが810件。対コロナの行動制限緩和などで、企業活動が活発化したことが増加の一要因とみられます。
相談者は男女ほぼ半数で、年代は50代が最多の27.4%。次いで40代の26.1%、30代の17.6%の順で、雇用形態では「正社員」が47.7%で最も多く、例年と同じ傾向でした。業種別では「医療・福祉」が22.0%のトップで、「その他サービス」が17.6%、「製造業」が13.5%と続きます。
相談内容では「パワハラ・嫌がらせ」が15.8%で最も多く、「雇用契約・就業規則」が8.8%、「解雇・退職強要・契約打ち切り」が7.9%などで、これも例年とほぼ同じ比率となりました。
求人情報会社が2月15日発表した1月の派遣平均時給(三大都市圏、募集時)は1656円で、前月比1.0%増、前年同月比2.1%増と3カ月連続で過去最高を更新しました。前年同月比は5カ月連続のプラス。IT系職種を中心に高時給の求人が台頭し、平均を引き上げています。