帝国データバンクが10月の発表した「物価高倒産」動向調査によると、22年度上半期(4~9月)は159件に上り、これまで最も多かった21年度上半期の75件の2倍以上になったことがわかりました。業種別では建設業が40件で最も多く、次いで運輸・通信業が37件、製造業が29件、卸売業が24件など。全体の7割を負債額5億円未満の中小企業が占めています。
「物価高倒産」は原油などの燃料、原材料などの仕入れ価格上昇や、取引先からの値下げ圧力などで価格転嫁できない値上げ難などによる倒産です。一方、東京商工リサーチが発表した22年度上半期の全国企業倒産状況によると、倒産件数は3141件(前年同期比6.9%増)、負債(1000万円以上)総額は約1兆7420億円(同約3.0倍)となり、上半期としては3年ぶりに増加しました。そのうち、コロナ関連の倒産は1121件(同36.3%増)でした。
負債額の急増は自動車部品大手が1兆円を超す負債を抱えて民事再生法を申請したため。政府の対コロナ緊急支援などにより、企業倒産はこれまで低水準で推移してきましたが、今年に入って円安や物価上昇が顕著になり、支援効果は薄れてきています。
産業別件数ではサービス業他などが1033件(同4.8%増)で最も多く、建設業が604件(同14.6%増)、卸売業が387件(同0.3%減)、小売業が343件(同1.7%減)、製造業が341件(同7.9%増)などと続きます。また、運輸業が162件(同42.1%増)と急増しており、燃料価格の高止まりなどの影響とみられます。
政府の総合経済対策の効果がすぐ表れるかどうかは不透明な部分も多いことから、同社は「年末にかけてさらに増える可能性がある」と予想しています。