東京商工リサーチが1月18日発表した2021年の企業の休廃業・解散は4万4377件(前年比10.7%減)となり、過去最高だった20年の4万9698件から1割以上減少しました。ただ、16年以降は毎年4万件台で推移しており、経営者の高齢化や後継者難などが深刻化している実情は変わっていません。
21年は企業倒産も6030件と1964年以来、57年ぶりの低水準。新型コロナ対策で、政府や自治体が実施している資金繰り支援などが奏功しているためとみられますが、休廃業・解散は倒産の7倍以上に達しており、同社は「休廃業への対応が急務」と分析しています。
産業別で最も多かったのは飲食業や宿泊業などを含むサービス業の1万4071件で、建設業の7567件、小売業の5298件、製造業の4986件、卸売業の3994件などが続いています。休廃業の直前決算は56.5%の企業で当期損益が黒字でした。経営者の年齢は70代が42.6%でもっとも多く、60代が23.3%、80代以上が20.0%で続き、平均年齢は71.0歳と前年から0.8歳上昇しています。
一方、帝国データバンクが同日発表した21年の休廃業・解散動向調査でも、5万4709件(同2.5%減)で、2年連続の減少。雇用者は7万8411人で、56.2%の企業が当期純利益を出していました。平均年齢は70.3歳で前年より0.8歳上昇しています。
帝国データバンクが1月18日発表した企業のBCP(事業継続計画)調査によると、BCPを策定していない企業のうち、新型コロナのオミクロン株拡大を機に策定を検討している企業は28.7%ありましたが、策定予定のない企業も24.3%にのぼることがわかりました。
策定済みの企業は38.0%あり、そのうち20.6%は見直しの予定はなく、見直し中と見直し予定は17.4%でした。未策定で見直し予定のない企業は企業規模が小さくなるほど比率が高く、人材や時間の確保に余裕のないことが要因とみられます。
政府や自治体は企業継続の観点から、企業に対してテレワークなどを含むBCPの策定・見直しを呼び掛けています。調査は1月14~17日に実施、1595社から有効回答を得ました。
求人情報会社が1月19日発表した昨年12月の派遣平均時給(三大都市圏、募集時)は1632円で、前月比1.7%増、前年同月比2.5%増の過去最高となりました。前月比は3カ月ぶりのプラス、前年同月比は14カ月連続のプラスで、人手不足感が一段と高まっています。
プラスの要因は、時給の高い技術系の案件増と最大ボリュームのオフィス系が上昇したためです。
職種別(大分類)では、「オフィスワーク系」が1592円(前年同月比2.8%増)だったのをはじめ、「クリエイティブ系」が1936円(同3.1%増)、「IT系」が2339円(同3.2%増)、「医療・介護系」が1364円(同3.3%増)、「営業・販売・サービス系」が1532円(同2.6%増)など、7職種中6職種で2~3%台の伸びとなりました。10月以降の最低賃金の上昇が背景にあるとみられます。軽作業を含む「その他」も1240円(同0.1%増)とプラスです。地域別では、関東が1707円(同1.8%増)、東海が1449円(同4.3%増)、関西が1469円(同2.9%増)と3地域ともプラスでした。
3大都市圏以外では北海道が1327円(同0.3%増)、東北が1199円(同2.7%増)、北信越が1188円
(同0.8%減)、中国・四国が1237円(同1.1%増)、九州・沖縄が1221円(同0.4%増)。北信越以外はプラスですが、東北以外の伸び率はまだ鈍いと言えます。
取材・文責 アドバンスニュース