23年の大卒採用、一転してプラスポストコロナを見据え、採用増に動く
初任給の引き上げ、過半数が「予定していない」
就職情報会社が発表した2023年3月卒業生の採用見通しによると、大学・大学院卒者の採用が前年より「増える」企業は10.9%(前年比3.2ポイント増)、「減る」企業は3.9%(同7.7ポイント減)となり、「増える」から「減る」を引いた"採用DI"はプラス7.0ポイントとなりました。
昨年のマイナス3.9ポイントからプラスに転じた格好。新卒採用は人手不足を背景に12年卒以降10年連続のプラスでしたが、昨年は新型コロナの先行きが見通せないことから様子見の企業が増えてマイナスに。しかし、今年は"コロナ後"を見据えて採用増に動く企業が増えることがわかりました。
業種別(中分類)でDIが高いのは「飲食・宿泊業」の14.0ポイントで、「情報通信業」の10.9ポイント、「機械器具製造業」の10.6ポイントが続いています。「教育・学習支援業」を除く13業種すべてでプラスとなりました。
「飲食・宿泊業」は昨年のマイナス15.7ポイントから大きくプラス転換したものの、コロナ前の水準には至っていません。
企業規模別でも、従業員1000人以上の大企業のDIがプラス14.3ポイント(前年マイナス3.6ポイント)で、1000人未満の中堅企業もプラス4.5ポイント(同マイナス4
.0ポイント)とプラス転換しています。
焦点となっている初任給の引き上げについては、「すでに取り組んでいる」企業が21.8%、「今後取り組む予定」の企業が22.7%あり、合わせると44.5%が引き上げます。しかし、過半数の55.5%は「取り組む予定はない」と答えており、慎重な企業の多いことをうかがわせました。
調査は従業員5人以上の7200社を対象に昨年10~11月に実施、4
519社から回答を得ました(回答率62.8%)。
日本はOECDの19位と横ばい
内閣府が発表した2020年度国民経済計算年次推計によると、20年度の名目GDPは535.5兆円(前年度比3.9%減)と8年ぶりのマイナスとなりました。19年度まで7年連続のプラスでしたが、新型コロナによる消費低迷などでマイナスとなりました。
物価上昇分を差し引いた実質GDPも同4.5%減と2年連続のマイナス。国民1人あたり名目GDPも425.9万円(同3.6%減)で9年ぶりのマイナスでした。 一方、国民1人あたりの名目GDP(暦年)はドル換算で4万48ドル(同1.3%減)となり、経済協力開発機構(OECD)加盟38カ国中19位で前年と同じでした。
フランス、イタリアとほぼ同水準。為替レートは1ドル=106.8円で、前年の109.0円より円高・ドル安となっています。
長時間労働、パワハラなど480件
厚生労働省は1月5日、「過重労働解消キャンペーン」の一環として昨年11月6日に実施した「特別労働相談受付」の結果を発表しました。それによると、480件の相談が寄せられ、主な内容は「長時間労働・過重労働」の56件、「パワハラ」の48件、「解雇・雇い止め」の47件、「賃金不払い残業」の46件など。8割近くが労働者からの相談で、業種は商業、保健衛生業が目立ちます。
主な相談事例としては「毎日9時半から深夜零時~2時ごろまで働き、時間外労働は月120時間ほど。休日手当の支払いはなく、振り替え休日や代休もない」(金融・広告業の20代男性)、「上司に処理不可能な業務を指示され、できないと"お前は能力がない。降格させる"と言われ、心身に支障をきたした」(40代のメンテナンス業務)などがありました。
時間外労働は原則として「月45時間、年360時間」の上限規制が設けられ、大企業は19年4月、中小企業は20年4月から適用されています。