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障がい者専門保険のぜんち共済が実践する、自然と感謝の芽生える組織のつくり方――「当たり前」を見直したとき、社内が変わり始める

作成者: randstad|Oct 19, 2026, 8:27:03 AM

「職場で感謝を伝えられていない」。20〜60代の働く男女500名にランスタッドが行った調査では、4人に1人がこう答えました。その理由は「伝えるタイミングや機会、仕組みがない」ことでした。(詳細はこちら)

では、仕組みをつくれば、感謝は行き交うようになるのでしょうか。「自然にありがとうと口に出せる組織じゃないと」と話すのは、ぜんち共済株式会社の代表取締役社長、榎本 重秋さんです。同社は、知的障がいや発達障がいのある方を対象とした専門の保険会社で、自社でも積極的に障がい者雇用に取り組み、高い定着率を実現しています。勤労感謝ウィークには2023年の初回から参画してきました。

お客様から感謝される機会は創業時から多かった一方で、社内に感謝が行き交うようになったのは、この数年のことだといいます。「かつてはバラバラだった」という会社は、何を積み重ねてきたのでしょうか。榎本社長、取締役保険金サービス部長の亀田 秀明さん、創業時から同社を知る業務サービス部コールセンターリーダーの田平 恵美子さんにお話をうかがいました。

 

感謝される会社なのに、社内はバラバラだった

せっかく仕事をするなら、お客様から感謝されたいと考える人は多いかもしれません。ぜんち共済は、知的障がいや発達障がいのある方が加入しにくかった保険を専門に扱う少額短期保険業者です。6万件を超えるお客様やそのご家族から感謝される場面は、昔も今も数多くあります。しかし、外から見れば「感謝に満ちた事業」である一方、当初の社内の雰囲気は対照的だったと、榎本さんたちは振り返ります。


ーお客様からは、どのような声が届くのでしょうか。

榎本氏 営業で回ると、行く先々で「あの子を救ってくれてありがとうございます」とお母さんたちから言われるなど、一般的な保険よりも感謝されることが多くやりがいにもつながってきました。

亀田氏 入社直後、私は保険金の支払いを担当する部門に配属されました。お客様の存在を肌で感じられ、感謝のお手紙をたくさんいただきました。私たちの保険の存在価値は人一倍実感していたと思います。

田平氏 コールセンターのお電話でも、直接感謝をいただく機会が多くあります。お母様たちからは、保険会社への意見より、世の中に対して抱えていらっしゃる思いを打ち明けられ、涙されることもあります。私たちにできることは限られますが、できるだけ必要な知識を身につけ、相談できる場所をご案内するなどしています。

 


ーそれだけお客様に喜ばれる仕事なら、社内も活気に満ちていたのではないでしょうか。

榎本氏 そう単純でもないんです。当時、恥ずかしながら社内はバラバラでした。創業時は、年齢も性別もキャリアも違う人たちが集まっての前途多難な船出でしたから、昔ながらの考え方が残る世代と、男女が対等に働く外資系出身の世代とでは、価値観がまるで違います。お互いの違いを認め合う空気もなく、衝突はしょっちゅうでした。

田平氏 遠慮なく不満を言う人も多かったですね。象徴的だったのは、契約が取れて営業が喜んでいても、バックオフィスは仕事が増えると言って喜んでいなかったことです。それぐらいちぐはぐな状況でした。

 

 

「感謝を強要しない」――小さな思いやりの積み重ねが社内を変えた

亀田さんが入社した2010年ごろに、10人ほどだった社員は36人にまで増え、新卒採用も始まりました。社員の平均年齢も徐々に下がる中で、社内の空気も少しずつ変わっていったといいます。

 

ーその後、社内の雰囲気はどのように変わっていったのでしょうか。

 

榎本氏 大きかったのは、新しく入ってくれたスタッフの存在だと思います。知り合いに声をかけたり、知人から紹介を受けたりしながら、いい仲間が増えたんです。

亀田氏 この仕事がやりたいというより、「この人と一緒に仕事がしたい」と思える人たちが自然と集まったという形に近いかもしれません。

田平氏 若い世代が増えて、40歳を超えていた平均年齢もずいぶん若返りました。私たちのほうが変わらなければいけない時代になったなと感じています。

 

 

ー何か社内の雰囲気が変わったきっかけのようなものはありましたか。

榎本氏 「これ」というものは思い当たりませんし、少なくとも私自身は「感謝の言葉を掛け合いましょう」などと言うのも、言われるのも嫌いなんです。本来、そうした言葉は自然に出てくるものですよね。私たちも、いろんな積み重ねで変わってきたのではないかと思います。

 

ーどのような積み重ねがあったのでしょうか。

 

榎本氏 たとえば、誕生日に花とメッセージを贈る取り組みです。最初は私ひとりで始めましたが、幹部に広がり、今では全員が行っています。

亀田氏 贈る相手は社員本人ではなく、社員が大切にしている人です。田平さんが私の妻にメッセージを送ってくれたこともありました。

榎本氏 社長が社員の誕生日にプレゼントを贈るのはよく聞きますが、私は社員が大切にしている人に届けたいと思ってきました。「母に送りたい」と言ってくれた社員がいたときはご実家に贈りました。お母様からは「素敵な会社に勤められてよかったね」と言っていただけたそうです。

 

ー他には、どのような取り組みをされていますか。

亀田氏 私の部署では、月に一度、仕事の話を一切せず、趣味などお互いのことを話す「相互理解の会」を開いています。保険金のお支払いは感謝される一方、お支払いできないケースもあり、風当たりの強い部署でもあります。雰囲気が沈みがちなときに助け合うには、一人ひとりのコミュニケーションが必要だと考えて、4年ほど続けています。

榎本氏 今度は、亀田さんの部署でホームパーティーを開く企画もあるんです。私も参加しますよ。家族連れでもいいそうです。

田平氏 社員が増えてきたので、相互理解を深めることは重要です。週1回の朝礼では、各部署から2名ずつが順番に参加して、最初に一人ずつ自分に関するクイズを出題しています。

榎本氏 本当は全員参加にしたいのですが、朝の時間はお客様からの電話が最も多いのでバランスを見極めているんです。

 

 

勤労感謝ウィークをきっかけに、あらためて考えた「感謝」

勤労感謝ウィークは、ランスタッドが職場で感謝を伝え合うことを呼びかけて、2023年に始まった取り組みです。参画企業は勤労感謝の日のある11月に、それぞれ感謝を伝える施策を行い、2025年は23社が参加しました。


ー勤労感謝ウィークには、どのような経緯で参画されたのでしょうか。

亀田氏 当社は、榎本をはじめ幹部一同で学んできた「人を大切にする経営」に取り組んでいる最中で、「勤労感謝ウィーク」の取り組みを知り、まさにこれだと思い、ぜひ参加することにしました。最初はあまり反応がありませんでしたが、社内にある部署横断型チームの一つである「経営理念浸透チーム」に担当してもらってから、形になりました。


ー具体的には、どのようなことに取り組んできたのでしょうか。

亀田氏 設立記念日の11月22日が、勤労感謝の日の前日にあたります。その日は全体会議で役員が経営理念を自分の言葉で順番に話し、ケーキを囲む懇親会を開きます。当社のクレド(行動指針)に含まれる「小さなことでもありがとう」という一節にしたがって、みんなが考える感謝を発表しあったこともありました。何かを始めたというよりも、もともと設定していた場面に、勤労感謝ウィークを結びつけたような感覚です。


ーその後も社内で続いている取り組みはありますか。

亀田氏 社内アプリに、社員が順番に投稿する「ぜん太の部屋」という掲示板のようなものがあります。まだ始めてから数ヶ月程度ですが、投稿すると次の社員を指名する仕組みになっていて、指名された社員はクレドの中から項目を一つ選んで、自分の意見や行動について書きます。

榎本氏 この投稿には、これまでの人生を振り返って、支えてくれた人への感謝を率直に書いてくれる社員もいます。読んでいる私たちも温かな気持ちになれます。


ー改まって感謝を伝えるのは「照れくさい」といった抵抗もありそうですが、貴社ではどのように乗り越えているのでしょうか。

亀田氏 順番は定期的に回ってきますからね。せっかくの機会なので、相手のことをちゃんと思い浮かべて、しっかり書こうという意識は浸透しているように思います。続けるうちに、少しずつ照れはなくなってきました。


ー感謝が自然に出てくる職場にするには、どうしたらよいのでしょうか。

亀田氏 当社もまだまだだと思っています。どうすればよいか、試行錯誤の途上ですね。

田平氏 私自身、昔は「仕事なんだから当たり前でしょう」と、つい言いたくなる場面が多くありました。今は我慢していますが、それでも葛藤があるのは本音です。ただ、なぜ我慢できるかといえば、感謝の気持ちが備わってきたからではないかと思うのです。

人に助けてもらった経験がない人からは、感謝の言葉は自然には出てきません。親にご飯をつくってもらえるのは当たり前の状態で育ちますが、親元を離れて当たり前ではなくなると、初めて「親ってすごい」と気づきます。本当は会社で働くことも、当たり前ではありません。「働かせてもらっている」と考えるか、「働いてあげている」と考えるかで、行動は異なります。当たり前の線引きがたくさんあると、感謝の気持ちは生まれにくいのだと思います。職場でも、相手がしてくれていることに目を向けるきっかけが増えれば、感謝は自然に生まれてくるのかもしれません。

 

今年の勤労感謝ウィークに向けて

 

ー11月の勤労感謝ウィークに向けては、何を予定されていますか。

田平氏 現時点(9月中旬)では、具体的なプランはまだ固まっていません。ただ、経営理念と関連付ける取り組みが大切なのは変わりませんので、今年も経営理念浸透チームが主導する予定です。

すでに11月上旬には、役員が経営理念への思いを話す会が予定されていますし、アプリ内の「ぜん太の部屋」でも、全社員が経営理念について思うことを書いていきます。


ーたくさんの花を贈ってきた榎本さんですが、社長という立場だと感謝される機会は少なくなりませんか。

榎本氏 若い頃に比べると、減ったかもしれません。でも、社員のみんなが誕生日にメッセージを贈ってくれる仕組みがあって、これが本当に嬉しいんです。

亀田氏 私も、部署の仲間からもらったカードはずっと取ってあります。社員同士が大切にされるという感覚をもてれば、この会社のために頑張ろうと思えるはずです。そうした雰囲気は、お客様にも伝わるものだと思います。

 

 

まとめ

感謝は「感謝しましょう」という号令からではなく、誕生日の花や、仕事の話をしない会、自分クイズといった小さな機会の積み重ねで育ってきました。その土台にあるのは、「当たり前」だと思っていたことに、あらためて目を向けることです。

では、知的障がいや発達障がいのある方の保険を手がけ、障がい者雇用にも積極的に取り組んできたぜんち共済は、なぜその道を選んだのでしょうか。後編では、「できて当たり前」を外した仕事の任せ方と、トップに問われる覚悟をうかがいます。

 

 

全国に「ありがとう」の輪を。「勤労感謝ウィーク2026」参画企業を募集します

ランスタッドは、2026年11月9日(月)から23日(月・祝)まで、働くすべての人へ感謝を伝え合うプロジェクト「勤労感謝ウィーク2026」を開催するにあたり、本プロジェクトにご参画いただける企業様を募集しています。

ご参画いただいた企業様には、社内で自由にご利用いただけるオリジナルデザインのバナーなどの感謝メッセージツールをご提供するほか、弊社のニュースリリース内や特設サイトで参画企業として社名・取り組みをご紹介いたします。さらに、プロジェクト終了後には、参画企業様同士で取り組み成果やエンプロイヤーブランドに関する情報交換ができる交流会にもご招待いたします。

この機会に、全国の職場へ「感謝の輪」を一緒に広げていきませんか?

 

勤労感謝ウィーク2026 開催概要

  • 【開催期間】 2026年11月9日(月)~11月23日(月・祝)
  • 【参画企業】株式会社アドワールド、株式会社エイブルコーポレートサービス、ASMLジャパン株式会社、株式会社キングジム、小林製薬株式会社、コムチュア株式会社、ぜんち共済株式会社、大東ガス株式会社、日本製紙クレシア株式会社、ランスタッド株式会社、YKK株式会社 黒部事業所(50音順、2026年10月16日現在)
  • 【昨年度(2025年)特設ランディングページ】
    ※参画企業ロゴ一覧および参画企業インタビューより各社様のお取組みをご覧いただけます
  • 【2026年特設ランディングページ】
  • 【後援】 在日オランダ商工会議所、オランダ王国大使館
  • 【応募締切】 2026年11月1日(日)
  • 【参画費】 無料