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「タイパ重視」の裏にあるZ世代の本音とは? 早稲田現役生×人材のプロが語る、若手のエンゲージメントと組織の調和

作成者: randstad|Aug 18, 2026, 1:04:56 AM

 

「新卒がすぐ辞めてしまう」「定時退社ばかり気にされて成長意欲が感じられない」——そんな若手社員とのコミュニケーションやリテンションに悩む企業が増えています。

本記事では、価値あるアイデアの発信やイベント運営を担う「TEDxWasedaU」の現役早大生2名とランスタッドの早稲田大学OBコンサルタントによる対話を通じて、Z世代が抱える「ワークライフバランスの本当の定義」「世代間ギャップの乗り越え方」「選考における志望動機のリアル」を徹底解明。若手人材の本音と、これからの時代に求められる人材活用・組織づくりのヒントをお届けします。

 

本記事の構成と得られるHRのヒント

 ・「定時志向」の裏にある、「この仕事に時間を割く価値があるか」という葛藤
 ・SNSによる他者比較から離れ、業務の中で「自分の成長」を実感させる関わり方
 
 ・「従来のやり方」とZ世代のスマートな視点を融合させる相互歩み寄り
 ・配慮しすぎず「失敗できる挑戦の場」を渡し、対応力を育てるマネジメント
 
 ・学生が感じる「志望部署を絞り込みすぎるリスク」と「何でもやります」の狭間の葛藤
 ・リアルな情報開示と対話により、相互のミスマッチを防ぐ選考プロセス
 ・誠実な対話が育む、エンゲージメントと長期的な信頼関係

 

CHAPTER 1:【離職防止・ワークライフバランス】なぜZ世代は「自分の時間」を求めるのか? SNS過多と「自分不在」の構造

中西 大士(ランスタッド プロフェッショナル・タレント・ソリューション コンサルタント / 2010年 早稲田大学卒):「今回はZ世代のリアルな本音とこれからの組織のあり方を探るべく、まずは『ワークライフバランス』からお話を聞ければと思います。ランスタッドのグローバル調査でも離職原因の1位になるほど関心の高いテーマですが、同世代のリアルな感覚として『定時退社できる会社=良い会社』という捉え方は根強いのでしょうか?」

宇都宮 護 さん(早稲田大学 政治経済学部 4年):「定時に帰れるのが良しとされる空気感は、一般的にあると思います。ただ、僕自身はワークライフバランスについて、来春から働く会社の部署の上司となる方から言われた言葉にすごく納得したんですよね。

『世の中のワークライフバランスは自由時間と労働時間のバランスと言われがちだけど、自分は違う。どんなに仕事が長くても、その仕事が好きで充実していれば、結果的に私生活も良くなる』とおっしゃっていて。僕も高校時代、朝4時に起きてアイスホッケーをやって、夕方もトレーニングをする生活でした。部活に時間を割かれて自由時間が少なくても、好きなものに捧げられている証だと思えてずっと充実感があったんです。仕事も同じで『時間をいかに充実させられるか』が大事なんだなと。

ただ、同世代全体を見渡すと、SNSの存在がすごく大きいと感じています。SNSで色んな生き方やホワイトな働き方が一目で見えてしまう分、『自分ももっと自分の時間を確保しないと損をしているんじゃないか』と、自分の選択に対して焦ったり軸がブレやすくなっている部分はあると思います。」

川邉 寿理彩 さん(早稲田大学 国際教養学部 4年):「私自身も定時退社できることより、仕事を持ち帰らなくて良い環境が一番だと思っていて、シカゴに留学していた時も『12時に図書館が閉まるまでに課題を終わらせて絶対に家に持ち帰らない』と決めていました。家はオンオフを切り替えて完全に休む場所にしたいからです。

ただ、家事などをしている時にふとアイデアが浮かぶこともあるので、その時は簡単にメモを残しておいて、改めて勉強や作業の時間に集中してエッセイや企画、資料作成などのアウトプットに活かすようにしていました。このようにメリハリを大切にしつつ、日常の発想をしっかり成果へ繋げられるような働き方が理想です。

一方で、先ほどのお話にもあった通り、今の若者は『自分の時間を確保したい』と言いつつ、SNS依存のせいで自分と向き合う時間の確保が下手になっているとも感じます。せっかくその場を離れて自分の時間を取ったつもりでも、結局スマホを開いて画面の向こうの『誰かの人生』を見ているだけ。自分自身に没頭して心を休める本当の時間になれていないことが、自分らしい働き方を見失う原因になっている気がします。」

中西(OB):「『自分の時間』を確保しているつもりが、画面の向こうに奪われて『自分自身』を見失っている――実に現代的な構造ですね。自分の軸が見えづらい世代だからこそ、リアルの仕事現場で『確かな成長や手応え』を得られるかどうかが、軸を取り戻す鍵になるのだと思います。実際、当社の『Z世代レポート』でも、日本のZ世代の22%が1年以内の離職を考えており、その理由は給与と並んで『キャリアパスや成長機会の欠如』が上位を占めています。
定時にこだわる若手は『冷めている』と誤解されがちですが、本質は『この仕事に時間を割く価値があるか』を見極めようとしているサインなんです。企業側が業務を通じて自身の成長を実感できる環境を示せるかが、真の定着(エンゲージメント)に繋がるヒントになりそうですね。」

 

CHAPTER 2:【育成・組織】「タイパ」と「泥臭さ・レジリエンス」が共存する強い組織

中西(OB):「次のテーマは『世代間の調和』についてです。先ほどの定時退社の話にも通じますが、最近は若手の『飲み会離れ』もよく話題になりますよね。僕ら世代からすると『業務外の時間に気を遣わせたら悪いかな』と遠慮してしまう場面もあるのですが(笑)、お二人はこうした世代間の感覚の違いをどう感じていますか?」

宇都宮さん(学生):「僕自身はオープンなコミュニケーションが好きですし、部活(アイスホッケー)も体育会系カルチャーだったので熱血な雰囲気も好きです。ただ、同世代が『効率重視(タイパ)』を求める気持ちも理解できます。」

川邉さん(学生):「世代間のギャップに関して私たちが忘れてはいけないのは、『今、私たちが挑戦できる企業や組織の基盤があるのは、これまで泥臭く文化や事業を築いてくださった先輩方がいるから』ということだと思うんです。

若者側がただ一方的に『タイパが〜』『効率が〜』と主張するのではなく、既存の伝統や先輩方への敬意を持った上で、Z世代ならではの新しい視点や効率性を足していく。この双方の寄り添いこそが、これからの健全な組織のバランスを生むと思っています。」

中西(OB):「……素晴らしいですね!全国の経営者や上司の方々が聞いたら涙を流して喜ぶ内容だと思います(笑)。実は上の世代も、昔のやり方を無理に押し付けたいわけではなく、どう歩み寄ればいいか模索しているんです。若手らしいスマートさを活かしつつ、お互いへのリスペクトがあれば必ず良い組織になりますよね。」

宇都宮さん(学生):「はい。部活でだらしなかった仲間が挫折をきっかけに大きく成長した姿を見てきたので、苦労や泥臭い経験の価値も実感しています。だからこそ、若者側から『タイパや効率』ばかりを主張して線を引いてしまうのは少し勿体ない気がしますね。」

中西(OB):「まさにそうですね。効率を求めるスマートさも若手の強みですが、実は『泥臭い修羅場や遠回り』を経験した人ほど、いざという時の対応力(レジリエンス)が格段に高くなります。僕自身も修羅場をくぐり抜ける中で、自分の限界値や対応の幅が広がった経験があります。若手が『タイパ』や『定時』にこだわる背景には、その仕事に『時間をかける価値や成長の実感』が見出せていない側面もあります。だからこそ企業側も、配慮しすぎて簡単な仕事ばかりを与えるのではなく、適度な挑戦の場(打席)を渡し、『成長の手応え』を実感できる関わり方をしていくことが求められています。若い頃の泥臭い経験や葛藤は、将来必ず確固たる強みになります。そうした成長プロセスを温かく見守り、手応えを実感させられる企業文化こそが、これからの強い組織をつくるのだと思います。」

 

HR Point:Z世代が求める「価値ある時間」と、成長を引き出す組織づくり
 
若手の本音:単なる楽志向やタイパ重視ではなく、「この仕事に自分の時間を割く価値があるか」を常に測っている。配慮されすぎて打席(挑戦)がないと、逆に手応えを感じられず離職の引き金になる。

求められる対応:過剰に腫れ物扱いするのではなく、先輩へのリスペクトを育みながら「適度な修羅場・挑戦の場」を渡すこと。失敗も含めた泥臭い経験を通じて「自分の成長」を実感させることが、結果として真のワークライフバランスと強いエンゲージメントを生む。

 

CHAPTER 3:【原点・選考】本音の信頼関係を生む、選考での「等身大の自己開示」

中西(OB):「ここまで入社後の定着や育成について伺ってきましたが、実はこうしたミスマッチやエンゲージメントの課題は『選考段階での相互理解』に原点があると感じています。お二人は就職活動を終えたばかりだと思いますが、実際の面接では『入社して何がやりたいか』といった質問をどの程度問われましたか?僕が就活をした約15年前からの定番質問ですが、今の就活現場でもやはり重視されている印象でしょうか?」

宇都宮さん(学生):「やりたいことばかり聞かれるわけではないですが、面接の重要な一部には入っていました。」

川邉さん(学生):「私も聞かれました。ただ、私はあえて業界を絞らずに就活をしていて。理由は単純で、学生の時点で自分がどの業界で活躍できるなんて分からないからです。だから『できること・できないこと』を正直に伝えて、むしろ業界側に選んでもらうスタンスでした。」

中西(OB):「なるほど、企業側に判断してもらうというのはすごく合理的なアプローチですね。正直なところ、新卒の学生が語る『やりたいこと』は理想論になりがちで、入社後にギャップがあって当たり前なんです。企業にもよりますが、多くの企業はまずは新入社員に社会人の基本から学んでもらい、中長期的に良い人材を育成していきたいという方針かと思います。」

宇都宮さん(学生):「面接官側がそう思ってくださっているのは少し安心します。ただ、学生側からすると、志望部署のポストが空いているかも分からない中で『やりたいこと』を語りすぎるのも怖かったんです。ピンポイントで言いすぎてポストに合わなければ落とされるし、逆に『何でもやります』だと何も考えていないと思われる。この塩梅の難しさや迷いは常にありました。」

中西(OB):「確かに、OB/OG訪問があるとはいえ、学生の立場で社内のポスト状況まで把握するのは無理があるので、打ち出し方の塩梅は難しいですよね。だからこそ選考では、『この部署に興味はありますが、まずは御社の目指す方向性に共感しているので、別の部署であってもそこでしっかり学び貢献したい』といった柔軟な対話ができるかがポイントになります。ただ、それには企業側も『希望部署の枠がなくても、ここならこんな挑戦ができるよ』と、現場のリアルな現状をオープンにしてすり合わせていく姿勢が不可欠だと思います。」

川邉さん(学生):「留学先のシカゴ大学で聞いた話なのですが、非常に優秀な学生が『やりたいこと』や『改革案』を熱弁しすぎた結果、既存の企業文化を壊されそうで怖いという理由で不採用になった事例がありました。日本でも熱意がありすぎて『扱いづらい』と敬遠される難しさはあるんでしょうか?」

中西(OB):「仮に、強い意思を持った優秀な学生を拒絶してしまう企業風土なのであれば、学生視点でも『入社前にミスマッチを防げた』とポジティブに捉えて良いと思います。お見送りの連絡を受け取ることは辛いことですが・・・。
企業側として大切なのは、熱意ある意見を最初から退けるのではなく、まずは受け止めた上で『今の自社ならこういう挑戦ができる』と、お互いの現在地を開示し合える建設的な対話ができるかどうかが重要かと思います。」

川邉さん(学生):「『完璧なビジョンを無理に飾る必要はない』というのはすごく共感できます。実は私自身、完璧主義で失敗するのが怖いタイプなのですが、就活の選考で思ってもいない嘘をついて自分を偽ることはしたくなかったんです。最終面接のピッチ資料で数字の扱いが分からなかった時も、『数字を使いこなせませんでした。入社後に教えていただけますか?』と正直に伝えたところ、その等身大で学ぶ姿勢をかえって評価していただけて。結果的にその面接官の方が『ぜひ自分がメンターになりたい』と言ってくださり、内定した今も色々と親身に指導してくださる素晴らしい出会いに繋がりました。等身大の自分を開示して誠実に向き合うことこそが、双方にとって最高の関係を生むんだと実感しています。」

中西(OB):「素晴らしい体験ですね。自分を偽らず正直に向き合う姿勢があるからこそ、面接官側も『この人を育てたい』と本気で思えたのだと思います。

面接を単なる合格・不合格の『選別』で終わらせず、互いの現在地を開示して『キャリアに向き合う対話』に昇華させること。これこそが、入社後の高いエンゲージメントや質の高いメンターシップを育む第一歩になりますね。」

 

HR Point:選考を「選別」ではなく「キャリアに向き合う対話」にする
 
学生の本音:志望を絞り込みすぎるリスクとアピール不足の狭間で葛藤しつつも、無理に自分を取り繕うのではなく「できること・できないこと」を素直に共有した上で、真に納得して働ける場所を見極めたいと考えている。
 
求められる対応:企業側も完璧なビジョンや回答を求めず、自社の現状や課題をオープンにして対話すること。互いにありのままの現在地を開示し合う姿勢が、早期のミスマッチを防ぎ、入社後の確固たる信頼関係へ繋がる。

 

 

登壇者プロフィール

(右から順に)

宇都宮 護 さん

早稲田大学 政治経済学部 4年。幼少期に父親の海外赴任に伴う海外生活や高校時代にトロントへの1年留学を経験。大学ではアイスホッケーサークル(早稲田ポーラーベアーズ)やTEDxWasedaUで活動する傍ら、東アジアの開発経済学ゼミに所属。来春より大手金融機関(証券)に入社予定。

川邉 寿理彩 さん

早稲田大学 国際教養学部 4年。幼少期をマレーシアで過ごす。TEDxWasedaUでの活動のほか、GLFP(グローバルリーダーシップフェローズプログラム)を通じてシカゴ大学へ留学。社会学・国際政治経済を専攻。来春より大手外資系メーカーに入社予定。

中西 大士

ランスタッド株式会社 プロフェッショナル・タレント・ソリューション(PTS) コンサルタント
2010年 早稲田大学 国際教養学部卒業。日系企業でのITインフラ営業を経て、2016年にランスタッドへ入社。現在はプロフェッショナル・タレント・ソリューション(PTS)にて、ライフサイエンス領域(メディカルデバイス・医療機器等)を専任担当。専門性の高さを活かし、企業の核心的な人材課題の解決と求職者の長期的なキャリア形成を支援している。早大OBとして後輩育成にも精力的に携わる。

 

 

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