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【インタビュー】ティアフォー流・急成長組織の整え方。感謝を可視化し、組織の「骨組み」を強化する理由

作成者: randstad|Jan 8, 2026 9:00:56 AM

なぜ今、「感謝を伝え合う文化」が組織に必要なのか?

働き方の多様化で、従業員エンゲージメントの重要性が高まっています。ランスタッドの調査では、働き手の約24%が「職務への評価と感謝」がモチベーション向上につながったと回答しました。

ランスタッドでは、11月23日の「勤労感謝の日」に合わせ、感謝を伝える「勤労感謝ウィーク」を実施しています。今回は、自動運転ソフトウェアなどの開発を手掛ける株式会社ティアフォーの2025年の取り組みや具体的な効果、成功の秘訣をご紹介します。

2025年 勤労感謝ウィークの詳細はこちらから



急激な規模拡大の中でも、現場の声をしっかり聞くためにエンゲージメントサーベイを実施

ティアフォーの勤労感謝ウィークへの取り組みの背景には、エンゲージメントサーベイの初実施や、今秋リリースされた新たな人事施策も大きく影響しているといいます。人事・法務ユニットの佐野様、並木様がその舞台裏を語ります。

【お話を伺った方】
 
株式会社ティアフォー
人事・法務ユニット
ストラテジー&コミュニケーション部 部長 佐野 瑛士様
キャリア採用部 部長 並木 絵里子様

 

ー ティアフォーについて教えてください。

並木様:弊社は、自動運転用オープンソースソフトウェア「Autoware」を活用した自動運転の社会実装を目指しています。技術を独占するのではなく「誰でも使えるソフトウェアの開発を主導している」点が事業戦略のポイントです。開発費の調達やデータ収集など、弊社だけでは難しいところですが、積極的に協業し、皆で開発することによって自動運転を実現しようとしています。

 

ー勤労感謝ウィーク参画のきっかけはどのようなことだったのですか。

佐野様:弊社は大学発の企業ですが、成長領域である自動運転に関わる事業を展開しており、ここ2~3年で一気に規模が拡大しています。今や派遣スタッフも含めると全体で500名を超える規模になってきています。その結果、いわゆるレポートラインなどの階層化が進み、現場の声を知ることが非常に重要になっています。そこで、2025年7月にエンゲージメントサーベイを実施しました。結果からは会社側の改善点も見えてきましたが、従業員同士の「信頼関係スコア」がかなり良いという強みがあることがわかりました。分析の結果、お互いを称賛する社風が寄与していることがわかり、強みを伸ばす施策の1つとして勤労感謝ウィークへ参画することになりました。

 

ー勤労感謝ウィークで開催されたイベントについて教えてください。

並木様:社員同士のオンラインでのコミュニケーションが活発なことに注目し、社内コミュニケーションツールで「感謝を伝え合うチャンネル」を作りました。チャンネル開設初日には、CEO自ら先頭を切って感謝のメッセージを投稿し、改めてお互いの仕事や感謝の気持ちが可視化され非常に盛り上がりました。

佐野様:チャンネルは皆が見られるようになっているので、「社内にはこんな部署があって、こういうことをしてくれている」といったことが伝わる機会にもなりました。また、我々コーポレートファンクション側にお礼を言ってくれる社員も多数いました。この活動を機に、一気にエンゲージメントが上がってきたのを感じましたね。

 

 

「自律的なカルチャー」を加速させるために。10年目で挑む人事制度の「骨組み」づくり

 

─コミュニケーションの場を用意しただけでそこまで盛り上がるというのは、やはり日頃の関係性があってこそだと感じます。

佐野様:そうですね。ティアフォーにはもともと、「自発的に学ぶカルチャー」があります。 誰に言われるでもなくコミュニケーションツール上で最新技術を共有し合ったり、有志で勉強会を開催したりといったことが日常的に行われています。そうした「新しいことへのアンテナ感度が高い」メンバーが多いので、今回の企画も「トップダウンでやっている」といった空気にはならず、自分たちで楽しんで盛り上げてくれたのだと思います。



─社員の皆さんの自主性が非常に高いのですね。そうした良い土壌がある中で、今回あえて大規模な人事施策に取り組まれたのはなぜですか?

並木様:おっしゃる通り、これまではオープンなカルチャーと個人の自主性に重きを置いて成長してきました。しかし、会社設立から10年が経ち、組織が急拡大する中で、それだけではカバーしきれない課題も出てきました。例えば、弊社はもともとフラットな組織で、人事制度があまり整っていませんでした。そのため、どのようにキャリアを築くのか、マネジメントの役割が曖昧等社員の中に不安や不満が溜まっていたのも事実です。

佐野様:組織としてのフェーズが変わる今こそ、一度しっかりとした制度を作らなければならないと考えました。 そこで2025年は採用プロセスやトータルリワード制度(グレード・報酬・評価)などを1から見直し、組織の「骨組み」をつくることに注力してきました


─具体的にはどのような制度が導入されたのでしょうか。

・トータルリワード制度(グレード・評価・報酬)の刷新

佐野様:従来の人事制度は数年前に作ったものです。そこから事業も人員数も拡大しており、「全体的に変化に合わせて変えなければならない」という課題感がありました。そこで、まずは組織の整流化をはかり、役職や階層を定義して、組織構造を作っていきました。同時に、トータルリワード制度についても検討を行いました。

制度を浸透させるため、運用開始直前まで数カ月にわたり社員と部長職全員を対象に複数回の説明会を実施しました。

制度の改定前に行ったエンゲージメントサーベイでは、社内コミュニケーションに関するスコアの中で他部門連携に一部課題がある結果でしたが、組織整流化、トータルリワード制度改定を進めたことで、組織や各個人の役割が明確になり、来期は改善が見込めそうです。 社員も昨年は不安をのぞかせていましたが、説明会のアンケートで寄せられた質問1つ1つに解答することで不安を解消していきました。

並木様:採用活動も、これまで経営層が決定権を持っていたことでスピード感に課題が生じるケースがありましたが、プロセスに応じて一部本部長・部長に権限を委譲し、応募から採用決定までが早くなりました。オファーを作るにあたっても、従来は給与レンジがなく、どこにターゲットを絞っていいのか曖昧だったのが、共通言語ができたことで欲しい人材を狙いやすくなり、求職者の納得感も向上しました。

・ICラインの新設

並木様:組織整流化の際、部長職とは別にIC(インディビジュアル コントリビューター)ライン、具体的には専門領域に特化した部下を持たない上級職、いわばプリンシパルエンジニアのような立ち位置を作っています。弊社はエンジニアが7割を占めるので、特定のスキルに長けたエンジニアにはそのスペシャリティをそのまま伸ばしてもらいたいという狙いがあります。マネジメント職を志望しないスペシャリストにも能力に応じたポジションを用意することで、キャリアに行き詰まりを覚えることなく働き続けられる環境になりました。そしてこれも、求人にあたりターゲットを絞った形で打ち出せる要因の1つになっています。

・社内コミュニケーションの改善

佐野様:「組織規模の拡大に伴い、経営陣からのメッセージが末端のスタッフまで届きにくくなった」、「広い事業領域、複数の連携部門による優先順位等の変数があり、どういう方向性で動いていくのが正解なのか見いだしにくい」といった課題があったことから、コミュニケーション方法を改善し、まずは中期経営計画などの経営メッセージを明確に全社員に伝える取り組みを進めました。その上で、上位階層から目標を設計し、各社員の目標との連動を強化しています。社員からも「メッセージが響いて日々の活動との整合性が高まった」という感想が散見されまして、かなり手応えを感じています。

また、組織整流化を踏まえ、職制を通じたマネジメント力・実行力の強化を目的として「部長会」を開催するようになり、経営に近い情報や背景といった、全社員向けではない内容ももれなく伝えられるようになりました。これを踏まえ、各職制において背景を踏まえて組織ごとの状況に応じた指示を出していくことができるようになり、組織のレポートライン、協働関係が改善してきているのを感じます。

・DEIB委員会

並木様:多くのテック企業が同様の状況だと推察しますが、ティアフォーのエンジニアの多くは男性でして、男女比率に偏りがあります。そこで、2025年10月からDEIB委員会を立ち上げ、多様性の強みを発揮する施策、また、今後海外籍のスタッフが増えることを見越した日本語を母語としない方々のための施策など、多様性全般に対応できる会社を目指し始めているところです。

 

さらなる規模拡大へ向けて体制を整えつつ、「信頼関係」という強みも維持していく

ー今後の勤労感謝ウィークや、従業員エンゲージメントに関する取り組みについて考えていることはありますか。

佐野様:まず短期的なところでは、この1年で基本的な制度を整えたので、次は人材育成に取り組みたいと考えています。一人ひとりが成長し続けていくためには何が必要なのかを現在整理していて、各個人に合った研修やキャリアプランなどの制度を整えていきます。

中期的にはこれからも人数規模が増えていくと思われるので、組織拡大に向けてどのように柔軟に動いていけるかが命題になっていくと見ています。今までつくってきた骨組みにどんどん筋肉をつけていくようなイメージです。

並木様:昨年は100名規模の採用を行い、今年も同等規模以上を採用することになります。今までは困難さもありましたが、今回、骨組みができたことで人材の狙い撃ちができるようになったので、「事業規模の拡大を牽引する優秀な人材を増やす」ところに貢献していきたいですね。また、今後成長していくにあたって、グローバル採用の強化の必要性も感じているので、それを実現できる体制を作ることも考えています。

勤労感謝ウィークの取り組みに参加して、会社や社員について知らないことがまだ多くあると気づけましたし、知る機会ができて良かったと思っています。全社への情報発信は結構勇気がいるように思うのですが、それでも活発に行われていたので、「受け止める文化」も「“やってみよう”という文化」も育っているのを実感しました。なにより、みんながフラットにつながっているのがわかって嬉しかったですね。

佐野様: 規模がいかに大きくなったとしても、やはりコミュニケーションは非常に重要なポイントです。今回のエンゲージメントサーベイも、既製の調査ではなく自分たちで1から作ったことに意義があったのではないでしょうか。取り組むにあたり社員一人ひとりの声を聞き、そこで今何が起きており、どういった苦しみがあるのか、どういった嬉しさがあるのかといった部分を把握した上で、人事として、経営としてどういう施策を打てるかを真剣に考えて社員に対して、できること、できないことはその理由も含めてフィードバックしていきました。だからこそ、みんなが協力してくれたのだと思います。そこがこの会社のとても良いところだと実感できたので、この先も維持していきたいですね。


新たな人材を獲得・定着させるために、外部パートナーの力も柔軟に取り入れて

組織の急成長やフェーズの変化に合わせ、エンゲージメント施策や人事制度の刷新に取り組むことは、企業にとって大きなエネルギーを要する挑戦です。ランスタッドは、単なる人材供給にとどまらず、企業の目指す「理想の組織づくり」を支えるパートナーでありたいと考えています。

現場の負荷を軽減するための柔軟な人材派遣はもちろん、各業界に精通した専門コンサルタントがミドルマネジメントからエグゼクティブ層までをつなぐ「ハイクラス人材紹介」、日系・外資を問わないグローバルなタレントの獲得支援、そして組織の相性を見極める紹介予定派遣まで、お客様のフェーズに合わせた最適なソリューションを提案します。

また、施策の設計段階からコンサルタントが伴走し、従業員一人ひとりが輝ける環境構築をバックアップします。組織の「骨組み」づくりに課題を感じた際は、ぜひ私たちにご相談ください。