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【イベントレポート】声以外のコミュニケーションで会話しようー「ろう」者と「聴」者でろうちょ~ワールドへようこそー

作成者: randstad|Aug 4, 2025 7:05:41 AM

※本記事は、2025年5月23日に行われたウェビナー「声以外のコミュニケーションで会話しようー「ろう」者と「聴」者でろうちょ~ワールドへようこそー」の内容をまとめたものです。

 

ランスタッドではED&I(エクイティ、ダイバーシティ&インクルージョン)推進の一環として、ボトムアップでのED&I推進を目的としたERG(従業員リソースグループ)が社内で活動しています。そしてその内の一つにDeaf Lounge(手話ERG)があります。
Deaf Loungeには社内の聴覚障がいの当事者社員やそのサポーターが参加しており、当事者同士の助け合いや、社内における障がいへの理解推進を行っています。

本ウェビナーはDeaf Loungeが主催し、障がい者雇用支援を手掛ける手帳コンサル合同会社様の企画支援の元、「ろうちょ~会」(ろう者と聴者の交流の場を提供する外部団体)がゲストスピーカーとして参加したワークショップです。このワークショップでは有志のランスタッド社員と、「ろうちょ~会」メンバーがロールプレイを行いました。ロールプレイを通じてウェビナーの視聴者がろう者の日常生活を疑似体験し、よりインクルーシブなコミュニケーションのあり方について考える機会となりました。

本記事ではその様子のご紹介を通して、聴覚障がいを持つ社員が働きやすい職場づくりのヒントを皆さんにお届けします。

 

 

ロールプレイから得た気付き

ワークショップでは実際にろう者の日常生活を体験するために、ロールプレイ(ろう者が参加する会社のオンラインミーティング)を実施しました。このロールプレイにはウェビナーの視聴者も参加可能で、4名のランスタッド社員が手を挙げてロールプレイに参加しました。参加者からはこのミーティングを通じて、次のような気づきを得たという声が上がりました。

  • 他の参加者が早口で、なおかつ話す内容の情報が多すぎてメモが追いつかなかった
  • ろう者が利用するためのAI字幕(ミーティングの自動文字起こし機能)に誤りが多くあり、正しく会話内容が伝わらなかった
  • 他の参加者がチャットを通じてのろう者の質問に気づかなかった
  • ろう者は字幕を見ながらミーティングに参加しているため、それと同時に他の参加者の表情を見るのが難しく、スムーズにコミュニケーションがとれなかった
  • ミーティング前に情報共有や擦り合わせを行う重要性を感じた(ろう者が出席するため、合理的配慮が必要なことなど)

 

 

ろう者と円滑なコミュニケーションをとるために、私たちができること

ロールプレイの後には、生活の中でろう者が実際に感じていることが共有されました。障がいにより個人差がありますが、例えば「音声変換アプリや字幕があれば、十分に当事者に情報共有ができていると誤解されやすい」「音による情報が得られないことで周囲の状況を把握しづらく、結果として空気が読めないと誤解されやすい」などが挙がりました。

このような誤解の結果、当事者は人間関係の構築が難しく、職場でもキャリアアップが困難だという現実があります。そのことを当事者も非当事者も認識し、円滑なコミュニケーションを心がけることが必要です。そのための工夫は特別なものではなく、ちょっとした工夫で円滑にすることができます。

実際の工夫としては例えば、できるだけ具体的な表現を用いること(「あの件」→「おとといの面接について」、「早めに」→「今日18時までに」等)や、あらゆる視覚情報の活用(身振りや指さし、筆談/スマホ等)が挙げられました。また物事を伝えるだけでなく、きちんと伝わっているかを都度確認すること(ここまでで分からなかったところがありますか?等)も重要です。

その他にも当事者に対する過剰な配慮(例えばグループワークで「大変だと思うから無理しなくていいよ」と言って最初からメンバーから外す)をしないことや、「前にも説明したと思いますが」のような、何度も言わないといけないというように呆れている印象を与える表現を避ける、などが紹介されました。

大切なことは、まずは本人からの配慮してほしい/やってほしいことを聞き、その人の性格などを鑑みた上で行動することです。また本人が遠慮してしまい、してほしいことを言えない可能性も考慮すると良いでしょう。

 

 

まとめ

今回のウェビナーでは、視聴者参加型のワークショップを通じてろう者の日常を疑似体験し、その中で多くの気付きを得る機会となりました。またろう者との円滑なコミュニケーションに役立つ工夫が多数紹介されました。

  • 指示をする時などはできるだけ具体的な表現を用いること(「あの件」→「おとといの面接について」等)
  • あらゆる視覚情報の活用(身振りや指さし、筆談/スマホ等)
  • 物事がきちんと伝わっているかを都度確認すること

特に印象的だったのは、ろう者は音による情報が得られないことで空気が読めないと思われたりして、その結果上手く職場で関係構築できないことが多いという当事者の声でした。聴者が意識しないでも常に得ている「音」という情報を、ろう者は利用できない(あるいはしづらい)ことへの想像力の重要性に気付かされる視聴者も多かったでしょう。

ろう者とのコミュニケーションは複雑な工夫が必要なものではありません。今回のウェビナーで共有された気付きやちょっとした工夫を利用し、よりインクルーシブな職場づくりやコミュニケーションを始めてみませんか。

ランスタッドでは、障がい者人材の募集や受け入れにあたってのコンサルティングから、採用、就業後のアフターフォローまで包括的にサポートします。

まずは「障がい者(チャレンジド) 人材サービスガイド」をぜひご覧ください。