毎年6月は「プライド月間」と呼ばれます。この1か月、世界各地で多様な性自認・性的指向をもつ当事者の人権を守るために啓発活動やイベントが行われています。
6月がプライド月間と呼ばれるようになったのは、1969年6月、ゲイ・プライド運動の発端となった米ニューヨークでの「ストーンウォールの反乱(Stonewall Uprising)」にちなんでのこと。翌年6月より当事者やアライ(性的マイノリティを理解し支援する人)によるパレードが毎年行われるようになり、世界中でこの動きが広まるなかで、「プライド月間」と呼ばれるようになったのです。
プライド月間をはじめ、多様性に関わる取り組みが徐々に広まる一方で、職場でのインクルージョン(多様な人々の個性や特徴が尊重され、個々の能力を活かして企業活動が行われている状態)は未だ十分とは言い難く、むしろ深刻な課題となっています。
ランスタッドは2024年4~5月、日本を含む世界7か国のLGBTQI+労働者のパルスサーベイを実施しました。その結果、LGBTQI+労働者の41%(日本は34%)が「職場での差別に直面」しており、29%(日本は23%)が「退職を余儀なくされている」ことがわかったのです。
LGBTQI+労働者の半数以上(57%、日本は51%)が、「企業は社内でLGBTQI+問題に取り組み、前向きな変化を起こすべき」だと考えています。
そしてLGBTQI+の労働者の41%(日本は25%)が、「雇用主はプライド月間に積極的に関与している」と答えています。いわば「10社のうち4社(日本は2.5社)」が積極的に関与している現状を良しとするかは判断が分かれますが、残念ながらこのうち39%(日本は29%)は「雇用主の貢献を形だけのものと考えている」という結果も。つまり、本質的な関与はほとんどないものと見られているのです。
日本は、「私の雇用主は、LGBTQI+の従業員にとって公平な職場を作るために意味のある行動をとっている」と回答した人が35%(グローバル51%)とそもそも低くなっています。
さらに、「差別がキャリアアップに影響を与えることを危惧している」と回答した人はZ世代で50%、団塊世代で18%と世代間での大きな差が見られます(グローバルではZ世代45%に対し団塊世代29%)。日本においては特に、「若年層が雇用主に対して抱く差別への懸念を払拭する」ことが、喫緊の課題だとわかります。
この調査結果を受け、ランスタッドは雇用主がLGBTQI+労働者を受け入れる環境を作るための具体的な方法を3つ挙げました。
「従業員主導のグループに力を与え、目に見える支援を提供する」、「教育や包括的な言葉や方針を通じて、尊敬と共感の文化を浸透させ、多様な経験を認識し尊重する」、「従業員の福利厚生など、年間を通じて真のアライシップに取り組む」、つまり「プライド月間やイベントだけで盛り上がって終わりにしない」ということです。
日本でも、企業・団体が連携する企業連合プロジェクトによってLGBTQ+へのアクションが提示されたり、飲食店や物販店がプライド月間を祝うスペシャルメニューを提供したりする取り組みが発表されています。
特に注目されているのが、2025年6月に行われるアジア最大級のLGBTQ+関連イベント「東京プライド2025」。なかでも2025年6月7日(土)、8日(日)に代々木公園で開催される「Pride Festival」は目玉のひとつです。
会場には、LGBTQ+コミュニティの団体をはじめ、LGBTQ+コミュニティを応援する国内外の団体・NPO・飲食店・企業などがブースを出展し、つながる場を提供します。8日には、LGBTQをはじめとするセクシュアル・マイノリティの存在を社会に広め、「“性”と“生”の多様性」を祝福する「Pride Parade」も開催されます。
ランスタッドは4年連続で「Pride Festival」に出展します。LGBTQ+アライのERG(従業員リソースグループ)メンバーをはじめ、社員有志のべ約20名が来場客を出迎え、誰もが公平に自分らしく働ける社会の実現に向け、Pride Festivalを盛り上げます。
出展ブースにはフォトスポットを用意し、レインボーカラーのオリジナルシリコンアイテムもプレゼント。社員有志が記念撮影のお手伝いなどもする予定です。
▼ランスタッド ニュースリリース |
パルスサーベイの結果を見てもわかる通り、形ばかりのED&I施策は当事者やアライにすぐ見抜かれてしまいます。
ED&I推進の本質を理解し、“やっている感”を出すだけで終わらない取り組みを進めていくことが、優秀な人材の確保や生産性向上を促し、ビジネスの成長にもつながっていきます。この機会に改めて多様性について考え、本当に必要なものはなにかを見極めていきましょう。