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[労働市場調査]AI(人工知能)とスキリングによるキャリアアップは?

作成者: randstad|Sep 13, 2024 12:00:00 AM

ランスタッドでは、「ワークモニター」という労働市場調査を全世界規模で実施しています。

この労働市場調査は、18歳から67歳までの2万7000人の働く人々を対象とし、世界でも最大規模の調査になります。 

今年で21年目となる2024年調査は、2023年10月23日~11月11日の期間、18歳から67歳までの、週24時間以上働く会社員(被雇用者)と求職中の失業者、個人事業主(フリーランサー)を対象にオンラインで調査を行ないました。

調査地域は、ヨーロッパ、アジア太平洋、南北アメリカの計34の国と市場です。

 

この記事では、ワークモニター2024のレポートの中から、特筆すべき点をご紹介します。

ワークモニター2024レポート全文は、下記ジよりダウンロードできますので、より詳細をご覧になりたい場合はダウンロードしてご確認ください。

 

 

 

 

人材にとってAIスキルの能力開発は最優先課題

労働者が自らの能力開発に興味を持っていることを示しましたが、実際に、調査対象者の72%が、「現在の役割においても将来の転職を考えるうえでも研修と能力開発を重視する」と回答しています。

地域別にみると、中南米はとくに高い数値を表しています。世界平均より15ポイントも多い87%の働き手が、研修や能力開発が必要だと回答しています。

世代別での志向はどうなっているでしょうか。Z世代の80%と、ミレニアル世代の79%は「研修の価値」の重要性を訴えています。分野別でみても、IT分野で働く79%、金融サービス分野で働く76%の人材が、同様の意見を述べています。

「働き手が開発したいと考えているスキル」では、「AIのリテラシー」、「IT・テクノロジーに関するリテラシー」が第1位となっており、それぞれ29%ずつ、合わせてほぼ60%を占めています。第2位が「ウェルビーイング」、第3位は「マインドフルネス」となっています。

そして、半数を超える働き手が「ワークライフバランスに悪影響を与える仕事には就きたくない」と考えており、ワークライフバランスの重要性が反映された結果となっています。回答者の約5分の1は、開発したいスキルの上位3つに、「コミュニケーションとプレゼンテーションのスキル」(22%)、「マネジメントとリーダーシップのスキル」(21%)を挙げています。世界の人材が最も重要とみなした上位5つのスキルのうち「ハードスキル」と呼べるものはAIIT 2つのみで、残りは「ソフトスキル」(*注)でした。

*注:ハードスキルとはツールや技術的な専門知識を指し、ソフトスキルとは、信頼性や寛容さなどの時間をかけて培う対人的なスキルや能力を指します。

 

日本も、1位・2位は世界とほぼ同様ですが、3位以下が異なります。日本の働き手が最も興味を抱いていて開発したいと考えている能力は、「IT・テクノロジーに関するリテラシー」が25%(世界全体:29%)、「AIのリテラシー」が24%(世界全体:29%)、「クリエイティブで分析的な思考力」が22%(世界全体: 15%)、「コーチングとメンタリングのスキル」が21%(世界全体:20%)、「コミュニケーションとプレゼンテーションのスキル」が20%(世界全体:22%)となっています。

 

 

最新のスキルは、働き手にとって譲れないもの

働き手の36%は、「学習と能力開発の機会が提供されない仕事は引き受けない」とまで述べるようになりました。

この数字は、アジア太平洋地域と中南米地域において突出しています。この考えを表明する働き手の割合は。アジア太平洋地域が41%、中南米が45%と、全世界の平均の36%を大きく上回ります。

同様に、若い世代は、年長の労働者よりも学習と能力開発の機会を強く求めています。たとえば、Z世代は48%が、ミレニアル世代は41%がそのような機会を求めています。また、多くの業界がデジタル化と自動化の影響を受けており、知識労働者よりも作業従事者のほうが、キャリアには学習と能力開発がより重要だと考えています(39%)。

分野別では、ITサービス(47%)、建設関係(44%)、金融サービス(42%)が、学習と能力開発の支援のない仕事を断る傾向の強い3分野となっています。調査対象全体の29%は、職場で今後のキャリアに役立つスキリングの機会が提供されなければ、仕事を辞めるとさえ考えているのです。

 

 

パートナーシップを基盤としたスキル開発の重要性

ほとんどの組織では、会社などから提供される研修が、働き手の期待する研修と合致しています。働き手の69%は、雇用主が提供する研修のレベルに満足し、52%は、雇用主が将来のために自分のスキル開発を支援してくれていると考えているようです。

回答者の3分の1は、過去1年間に研修と能力開発の機会が増えと答えています。一方、十分な研修を与えられていないと感じている人たちも多く、その人たちにとっては、かなりの改善の余地が残されています。

働き手は研修とアップスキリングに関し、雇用主に任せきりではなく、自分自身でやらなければならないことにも目を向けています。2024年の報告書全体で浮き彫りとなった「パートナーシップ」(企業と雇用者の協力関係)というテーマは、ここでも強調される結果となりました。

 

 

研修とアップスキリング

企業だけでなく、働き手も、自らの研修とアップスキリングに責任を負いたいと考えています。

「あなたの現在の役割を考えたとき、あなたと雇用主の間では、研修とアップスキリングの責任はどちらにあると思いますか?」の質問に対しては、働き手に責任があるとするのが23%、雇用主に責任があるとするのが42%でした。

 

 

最も求められるスキル

「最も関心のある研修と能力開発の機会は何ですか?上位3つを選んでください。」という質問に対しては、働き手は、以下のような回答を選んでいます。現代の職場においては「ハードスキル」だけでなく「ソフトスキル」の重要性も明らかになってきています。



 

 

「AIとスキリング」まとめ

 

1.スキリングは人材の流出を防ぐ

研修と能力開発の機会は、企業で働く人材にとって非常に大切で譲れない条件になっている。多くの人材は、そうした機会が提供されなければ、現在の仕事を辞めることすら検討するし、将来の転職先として考えることもできないとしている。この結果からわかるのは、従業員全員にアップスキリングやリスキリングの適切な機会を提供できているかどうか、企業側・雇用主は考え直す必要があるということだ。常に変化する職業の世界で、雇用主は、全従業員が確実にスキリングの機会を利用できるようにしなければならないと言える。個別にカスタマイズされた学習カリキュラムを利用することは、働き手が自分のスキルセットの弱点を評価し、それを体系的に修正するのに役立つだろう。

 

2.AIが注目されている

デジタル化と自動化(とりわけAI)で、従来の職業に変化が生じている。そんななか、研修は非常に重要な機会となっている。とりわけ、作業従事者には大きな影響がある(作業従事者に限定されるものではないが)。雇用主は競争力を保つため、こういったニーズに積極的に取り組む必要があるし、まさに、そうすることで初めて、労働者は、急速に変化・進化する世界に対応することが可能になる。また、企業は、AIによって最も大きな影響を受ける業務分野を見極める必要がある。そうすることで、弱点を特定し、変化を切り抜けるために必要なスキルを働き手にもたらすことができる。 


3.能力開発のパートナーシップ

働き手は、能力開発の責任を雇用主だけに負わせているわけではない。労働者は、雇用主と力を合わせ、協力してスキルセットを進化させていく責任の一端を担おうとしている。労働者からのフィードバックを効果的にするための仕組みを確立すれば、働き手は自分の求めている研修と提供されているスキリングの品質の両方について発言できるようになる。こうしたプログラムへの取り組みは品質的にも向上し、さらに充実させることが可能になる。労働者と雇用主が、真のパートナーシップを築くことによって、両者が長期にわたり必要とするスキルと知識を確実に利用できるようになる。

 

 

いかがでしたでしょうか?

ワークモニター2024レポート全文は、下記よりダウンロードできますので、より詳細をご覧になりたい場合はダウンロードしてご確認ください。