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派遣スタッフが現場でケガ!労災の手続きはどうすればいい?

作成者: randstad|Sep 11, 2024 12:00:00 AM

派遣スタッフの労災には、派遣元企業(派遣会社)の労災保険が適用されます。しかし派遣先企業側も、情報共有や報告書の記入などが必要です。派遣スタッフの労災手続きの基本をご紹介します。

 

あらためて「労災」とは?

労働者が業務に起因して受けた「労働災害」の略

労災とは「労働災害」の略称で、「労働安全衛生法」第2条第1項により、「労働者の就業にかかわる建設物・設備・原材料・粉塵などにより、または作業行動その他業務に起因して、労働者が負傷し、疾病にかかり、または死亡することをいう」と定義されています。

 

労災は社会保険「労働者災害補償保険」で補償される

労災でのケガ・病気・死亡は政府が管掌し、事業主が保険料を負担する社会保険「労働者災害補償保険」によって補償されます。ちなみにこちらも労災保険、さらに労災と略されることが多く、下記のような給付の種類があります。

療養(補償)等給付
休業(補償)等給付
障害(補償)等給付 障害(補償)等年金
障害(補償)等一時金
遺族(補償)等給付 遺族(補償)等年金
遺族(補償)等一時金
葬祭料等(葬祭給付)

厚生労働省「労災保険給付の概要」を元に作成

 

 

通勤中のケガなども「労災保険」が適応される

「労災=就業中に業務が原因で起こった病気・ケガ」と認識されがちではありますが、それだけとは限りません。労働者が職場への通勤によって被った負傷、疾病、障害または死亡は「通勤災害」と呼ばれ、労災の一種として扱われます。通勤のための移動内容など、一定の要件を満たせば労災保険が適応されます。

 

 

派遣スタッフの労災は派遣元・派遣先どちらの労災保険を使う?

派遣元企業(派遣会社)の労災保険を使う

労災保険について定められた法律「労働者災害補償保険法」第3条1項には「この法律においては、労働者を使用する事業を適用事業とする」とあります。派遣スタッフの場合、「労働者を使用する事業」は、雇用関係のある派遣元の人材派遣事業ですから、派遣元企業に労災保険の加入義務があります。

 

派遣先企業にもしかるべき手続きが発生する

一方、派遣先企業は派遣スタッフの労災にまったく関与しないわけではありません。派遣スタッフを指揮命令して業務を行わせるのは派遣先企業であるため、労働関係法令の一部の規定については派遣先に責任を負わせることとされています。労災防止のための対策は社員のみならず派遣スタッフに対しても十分に行わなければなりません。

また、労災が発生した際、派遣先企業が労災保険そのものの手続きをとる必要はありませんが、それとは別に派遣先が動くべき手続きもあります。これについては次項で詳しく説明します。

 

 

派遣スタッフの労災で派遣先企業がやるべきことは?

派遣スタッフ・派遣先企業・派遣元企業で労災発生の情報を共有

まずは、労災が発生したことを関係先すべてに知らせる必要があります。例えば通勤災害の場合、発災直後に状況を把握しているのは派遣スタッフ本人のみですから、派遣スタッフから派遣先企業へ報告後、派遣先企業から派遣元企業へ連絡をするといった流れが考えられます。

また業務災害など、派遣先企業が発災直後に状況を把握できる災害であれば、まず派遣先企業から派遣元企業へ報告し、後から派遣元企業が派遣スタッフに事情を聞くといった流れが考えられます。

このように、三者間で「いつ(負傷日時)、どこで(場所)、どのような作業中に、どのような状態で、どのような災害が発生したか」を共有しておきましょう。

 

治療費は基本的に派遣スタッフに立て替えてもらう

ケガや病気が発生している状況ですので、派遣スタッフは診察を受けねばなりません。治療費に関しては、業務上のケガで労災申請予定であることを病院に伝えたうえで、病院の指示に従うようにします。なお派遣元企業の労災保険が適用されることから、当日の治療費支払いが必要な場合は一旦派遣スタッフ本人が立て替えて支払うほうが、その後の手続きをスムーズに進められるでしょう。

 

「様式5号(7号)」の派遣先証明欄を記入する

「様式5号(7号)」とは、労災保険の療養補償給付の請求に用いる書類です。指定医療機関に「様式5号」(指定医療機関以外の場合は「様式7号」)を提出することで、労災病院や薬局での支払いが不要になります。

正社員などは、勤務先が作成した用紙を医療機関にそのまま提出すればよいのですが、派遣スタッフの場合、負傷日時と発生状況を証明するために用紙裏面の派遣先証明欄に企業名などを記入・押印し、そのうえで医療機関に提出することになります。

 

労働者死傷病報告の作成・提出

労災により派遣スタッフが休業しなければならない場合、派遣先企業、派遣元企業どちらも「労働者死傷病報告」を労働基準監督署に提出します。ただ派遣元企業・派遣先企業がバラバラに「労働者死傷病報告」を提出するのではなく、一般的には「労災発生状況を把握している派遣先企業がまず提出し、その写しを派遣元企業に送付して、写しをもとに派遣元企業も作成、提出する」ことが多いようです。

■派遣先企業がやるべきことチェックリスト

□労災発生の情報を共有(派遣スタッフ・派遣先企業・派遣元企業)

□診察を受ける病院に「労災申請予定である」ことを伝える

□当日の支払いは基本的に派遣スタッフに立て替えてもらう

□「様式5号(7号)」の派遣先証明欄を記入する

□労働者死傷病報告の作成・提出

□労働者死傷病報告の写しを派遣元企業へ送付

 

 

シニアや外国人の派遣スタッフの労災防止には特に配慮を

近年は高齢者や外国人の派遣労働が増え、それに伴って高齢者派遣スタッフの転倒事故や、外国人派遣スタッフの安全対策不足による労災などが増加していると言われます。高齢者派遣スタッフの体力面を踏まえた気遣いや、外国人派遣スタッフの言語コミュニケーション能力を踏まえた安全教育のフォローなど、労災予防策にもより一層気をつけたいところです。

 

 

スタッフのケアに力を入れている派遣会社を選ぼう

派遣スタッフの受け入れ経験が多くない職場などでは、労災などいざという時の対応を案じて受け入れを躊躇してしまうこともあるかもしれません。しかし、労災対応だけでなく派遣スタッフのケアも万全にしている「信頼できる派遣会社」を選ぶことで、安心して派遣スタッフを受け入れられるはずです。

ランスタッドのOperationalは、現場での即戦力となる一般職、特有のスキルを持つ人材を迅速に見つけ、育成し、企業と結びつけます。労災対応や日頃のスタッフのケアなども万全の体制で、個々のキャリア成功とビジネスの運営成功を目指したチーム構築をサポートいたします。