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[労働市場調査]成功・出世への意欲と仕事へのモチベーションは?

作成者: randstad|Jul 12, 2024 12:00:00 AM

ランスタッドでは、「ワークモニター」という労働市場調査を全世界規模で実施しています。

この労働市場調査は、18歳から67歳までの2万7000人の働く人々を対象とし、世界でも最大規模の調査になります。 

今年で21年目となる2024年調査は、2023年10月23日~11月11日の期間、18歳から67歳までの、週24時間以上働く会社員(被雇用者)と求職中の失業者、個人事業主(フリーランサー)を対象にオンラインで調査を行ないました。

調査地域は、ヨーロッパ、アジア太平洋、南北アメリカの計34の国と市場です。

 

この記事では、ワークモニター2024のレポートの中から、特筆すべき点をご紹介します。

ワークモニター2024レポート全文は、下記ジよりダウンロードできますので、より詳細をご覧になりたい場合はダウンロードしてご確認ください。

 

 

 

 

成功願望とモチベーションに関する調査

成功・出世への意欲と仕事へのモチベーション、プライベートとの関係等について、世界の労働者はどう考えているか見ていきましょう。

 

全世界でワークライフバランスを重視

まずは、個別の質問項目に対する回答を見ていきましょう。

世界全体のレポートを概観し、最後に日本の場合を比べてみます。

 

下記の各グラフを見ると、現在の労働者は、キャリアアップよりも、ワークライフバランスを重視していることが分かります。とくに、2024年版調査では、働く人たちは、給与と同じ程度にワークライフバランスを優先させています(93%)。

 

 

 次の転職を考える際に考慮することについての質問では、「ワークライフバランス」と答えた回答者が57%で、「給与が上がること」と答えた55%を少しだけ上回っています。なお、「仕事よりプライベートの方が重要」とみなす人の数は、半数を大きく超え60%にのぼっています。 

 

 

一方、キャリアアップについての考えかたの質問では、「現在の役割に満足しておりキャリアアップは望まない」と答えた人の割合が39%で、「キャリアアップの機会がない仕事は引き受けない」と答えた人の割合(42%)とほぼ同程度でした。多くの人は、キャリアアップに無関心になっているわけではない、ということがわかります。

 

 

せっかく雇った社員が定着しないのは、企業にとっても大きな損失です。雇用主側が注目すべき点としては、以下の仕事を辞めることを考えるきっかけについての回答です。そこでは、「キャリアアップの機会がなければ仕事を辞める」と答えた人は35%でしたが、「自分の生活を楽しむ妨げになる仕事なら辞める」と答えた人は48%もいました。

ただ、労働者は、必ずしも「キャリアアップが重要でない」と考えているわけではありません。実際に、回答者の70%は、「キャリアアップの機会は重要だ」と考えています。働く人の多くは、あくまでも、ワークライフバランスを中心にしたキャリアップを望んでいるということでしょう。 

また、研修の機会が重要と考えている人も多いようです。「研修(及び能力開発)は現在と未来の仕事に重要だ」と考えている回答者は72%にのぼっています。

 

安定志向が強まる

現在、世界の多くの地域で不安定な経済情勢が続いています。そんな中、労働者は、大きな責任を担うより、仕事の安定を優先させています。「今後5年の間に実現したい理想の働き方は?」という質問に対しては、6割の人が、「企業内でフルタイムの勤務」と答えています。2番目は、パートタイム/アルバイトで16%、フリーランスは10%でした。また、自分で事業を行いたい人は11%でした。

 

研修に対するニーズも高まっている

最近の働き手は、「キャリアアップ」と「キャリア開発」を、どうやら全く別のものと考えているようです。ある人が昇進を望まないからといって その人が自身の成長に関心をもっていないことにはならないのです。

 労働者は、プライベートを重視する一方で、研修に対する希望も強くなっています。「研修が重要だ」と考えている回答者は72%に達します。キャリアアップを優先すると答えた70%よりもわずかばかり上回る数値です。研修を希望する分野として多いのは、AIの研修(29%)、ITの研修(29%)で、自分のスキルを最新に保つことを重視していることがわかります。

 幸いなことに、回答者の3分の1が、「去年1年間に研修と能力開発の機会が増えた」と答えました。回答者の69%は、自分の会社・仕事で、「必要な研修と能力開発が提供されている」と言っています。つまり、多くの起業・雇用主側は、研修ニーズにすでに気づいており、実践していることを表しています。

 ただ、研修内容等に関しては、改善の余地があります。

 さらに上を目指す雇用主は、「ウェルビーイング」と「マインドフルネス」のトレーニングを、研修メニューとして提供するのも一計です(23%の回答者が上記の研修を希望)。この傾向は、「メンタルヘルスのサポートおよび年次休暇(の日数や取得しやしすさ)」を、職務選択の際の重要な要素とみなす回答数(83%)にも表れています。

 

 

日本の場合は?

働き手はキャリアアップだけを求めているわけではなく、昇進によって意欲が高まるとは限らないのは世界共通ですが、日本の場合は、とくに顕著にその傾向が表れているようです。たとえば、「キャリアに対する野心がある」—29%[⇔ 世界全体 56%]、「もっと経営に関わるような責任をもちたい」—21%[⇔ 世界全体 47%]などです。

 

ワークライフバランスの重視、というポイントは世界と同水準です。たとえば、「プライベートを楽しむ妨げになるのであれば仕事を辞める」—47%[⇔ 世界全体 48%]、「現在または将来の仕事について考えるとき最も重要な3つの要因はなにか」:① ワークライフバランス—85%[⇔ 世界全体 93%]、 給与—84%[⇔ 世界全体 93%]、 健康保険/医療給付—82%[⇔ 世界全体 78%]などです。

 

一方、入社した会社に対して、明確な意思表示をしない人が多いのも日本の特徴のようです。たとえば、「キャリアアップの機会が提供されなければ仕事を辞める」—20%[⇔ 世界全体 35%]、「短期間でキャリアアップしたいとの考えを雇用主に率直に伝えられると思う」—20%[⇔ 世界全体 46%]、「ワークライフバランスに悪影響を及ぼす仕事は引き受けない」—43%[⇔ 世界全体 57%]、などの結果からわかります。

 

 

 

「成功願望とモチベーション」まとめ

 

1.成長を望む気持ちは強い:

全世界の回答者の56%が、自分のキャリアに関して成功したいと考えています。世界的に厳しい経済情勢のなか、企業・雇用主は、自社の人材がそれぞれの希望を実現できるような新たな取り組みを模索する必要があります。

 

2.成功願望には多様な形がある

多くの労働者は、高い成功願望・昇進欲求を持っています。しかし、その願望・欲求のあり方、意味合い多様で、人によって異なります。リーダーやマネージャーに昇進するのを目標とする人もいれば、専門分野の知識を習得したいと考えている人もいます。また、将来の職場でのニーズに応えられるように最新のスキルを身に着けたいと望む人もいます。企業・雇用主は、各人材が抱いている願望を考慮しながら、旧来の職制や給与体系、昇進システムにとらわれない「キャリアアップ」のあり方に目を向ける必要があります。また、キャリアアップとプライベートの関係は相互に絡み合っているため、両者のバランスに気をくばることも重要です。

 

3.つながりが重要

「成功願望とモチベーション」について、労働者全員に当てはまるたった一つの形というようなものは存在しません。したがって、企業・雇用主は、各人材にとって「キャリアアップとは何を意味しているのか」「どのようなモチベーションを必要としているか」を理解するための、明確なコミュニケーション手段を用意する必要があります。企業組織は、明確なフィードバックを頻繁に行ない、各人材が自らの成功願望を実現する支援を行ない、組織への貢献を常に認識できるようにしなければならなりません。

 

 

いかがでしたでしょうか?

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