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労働市場とAI: 恐れるべきか 受け入れるべきか?

作成者: randstad|May 24, 2024 12:00:00 AM

ChatGPTが2022年11月に公開されて以降、高度な人工知能(AI)技術が誰もが無料で利用可能になったことで、社会的な議論が盛り上がっています。AIの活用が進む中、我々の働き方が変化し始めており、雇用者や従業員、そして労働市場にとってどのような影響をもたらすのかについて疑問が生じています。同時に、政府や専門家は、AIがイノベーションや起業家精神を促進しつつ、責任ある方法で使用されるように規制を設計しようとしています。

一般的には、AIが仕事や雇用の世界を一変させることは考えられていません。労働市場は常に変化に適応してきた歴史があります。AIが既に私たちの働き方を変え始めていることは明らかですが、AIが労働市場にどのような影響を及ぼすかを正確に予測するのは難しいです。確かなことは、AIが私たちの生活、社会、経済を大きく変える可能性が高いということです。

この『AIのある労働環境』は、工業化、コンピューター、インターネットの影響と同様に、大きな変革をもたらす可能性があります。この変化により、私たちの生活や社会にはプラス面とマイナス面の両方が期待されます。

<AIのある労働環境のプラス面>

プラス面では、AIが反復作業を自動化することで、生産性や効率が向上し、人々はより創造的で高度なタスクに集中できるようになるでしょう。また、AIと人間が協力する場面において、新しい仕事や機会が生まれ、スキル向上によって賃金が上昇する可能性もあります。

 

<AIのある労働環境のマイナス面>

マイナス面としては、AIが従来の人間の仕事や役割を引き継ぐことで、一部の仕事が消滅する可能性があります。しかし、これは将来の人材不足を考えると一部相殺されるかもしれません。この変化に対応するためには、新しい組織化の形態やスキルの向上が必要となり、AIと共存するための新しいスキルを習得することが重要です。この変化によって、格差が拡大する可能性もありますが、地域やグローバルなレベルで対処する必要があるでしょう。

AIは、仕事をより効果的かつ効率的に組織化する機会を提供し、反復的および非反復的な認知タスクの両方で人間をサポートすることができるかもしれません。しかしながら、調査によると、50%以上の労働者がAIの利点を確信しているにもかかわらず、この分野のスキル向上のための研修を受けているのはわずか13%に過ぎません。今後、仕事の変化や淘汰があるかもしれませんが、労働者が必要なくなるわけではありません。

現在の人材不足は、近い将来ますます熟練した人材への需要が高まることを示唆しています。そのため、すべての人材が労働市場で適応できるようにするには、スキル向上の機会に投資することが不可欠です。AIの利点を最大限に活用しつつ、雇用や社会への悪影響に対処するために、適切なバランスを見極めることが重要です。

 

 

AIの責任ある利用 

ランスタッドは、人々を中心に据えることを大切にしています。そのため、AIの責任ある持続可能な利用は、調和の取れた規制の枠組みの中に位置づけられるべきであり、労働市場関係者の不安を和らげつつ、ポジティブな効果を促進する役割を果たすでしょう。これに基づき、社会全体に利益をもたらすAIに関する規制の枠組みを構築するために、次の事を考える必要があると言えます。

政府や有識者がが考えるべき事

  • AIの倫理的かつ責任ある活用を重視し、バランスの取れた規制枠組みを整備することで、AIの革新と成長を促進する

  • 雇用者に過度な要求を課すことなく、公正な競争環境を維持し、保護するために、規制の実施や遵守を支援するツールや手段を整備する

  • 社会的、デジタル、経済的な排除を回避するために、AI分野の教育や学習機会のインフラを整備する

 

雇用主が考えるべき事

  • AIが雇用者と労働者の双方にどのような利益をもたらすかを理解する一方で、潜在的な悪影響についても明確にすること
  • 公平性、偏見の緩和、信頼と透明性、説明責任、社会的利益、プライバシーとセキュリティなど、AIツールを責任を持って使用するために人権に焦点を当てたガイドラインを策定すること
  • AI駆動型テクノロジーの開発と使用において、常に人間による監視を行うことで、技術と倫理の融合を確保すること

 

従業員が考えるべき事

  • AIが(透明性、説明責任、公平性、包括性、人的監視、プライバシー、セキュリティなどの要素に基づいている場合)、効率性と有効性を高めることにより、仕事を進化させることができると理解すること
  • トレーニングや能力開発を通じて機会をつかみ、将来の雇用の可能性を広げること
  • 業務のパフォーマンスを向上させるために、人間と機械が協力して働くチームで働くことを学ぶこと

 

本記事はランスタッド提言資料「労働市場とAI 恐れるべきか 受け入れるべきか?」の一部を再校正して掲載しています。全文はレポートをご覧ください。