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まだまだ働ける!高齢者雇用の実情を知っておこう|ランスタッド法人ブログ

作成者: randstad|May 23, 2023 3:00:00 PM

令和4年「高年齢者雇用状況等報告 」にみる高齢者雇用の現状

65歳までの高年齢者雇用確保措置を実施済みの企業は規模を問わず「99.9%」

厚生労働省が発表した令和4年「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果によると、65歳までの高年齢者雇用確保措置を実施済みの企業は、大企業も、中小企業も共に「99.9%」。つまり、ほとんどの企業では何らかの形で65歳まで働ける制度があることになります。

このうち、高年齢者雇用確保措置を「継続雇用制度の導入」により実施している、つまり「定年はあるがその後も働ける」企業は、全企業において70.6%。残りの企業は定年の引き上げや定年制廃止などで対応していると思われます。

 

さらに高齢まで働ける制度のある企業はまだ少数派

一方、66歳以上でも働ける制度を設けたり、定年を66歳以上に引き上げたりしている企業は微増傾向にはありますが、全体で半数を切っておりまだまだ少数派と言えそうです。ちなみに定年制を廃止した企業は5%以下にとどまり、なかでも大企業では0.6%とほとんど廃止されていません。

 

80%以上が継続雇用、60歳で定年退職する人は13%ほどに

では、高齢労働者側はどのような状況かというと、60歳定年企業において、継続雇用された人は87.1%にのぼりました。ちなみに継続雇用を希望しない定年退職者は12.7%、継続雇用を希望したが継続雇用されなかった人は0.2%。実に90%近い労働者が「60歳で定年を迎えても働き続ける」道を選んだことになります。この他に、転職や起業するなどして仕事を続ける人もいると考えると、かなりの割合になりそうです。

改正「高年齢者雇用安定法 」では「70歳までの就業機会確保」が努力義務に

高年齢者雇用安定法とは?

高年齢者雇用安定法とは、高年齢者の雇用促進を目的とした法律の通称です。1971年に「中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法」として制定されました。当時は定年の年齢に関する定めはなかったものの、55歳定年が平均 とされていました。その後、平均寿命の上昇などを受けて2012年には60歳未満定年の禁止、65歳までの雇用確保措置が義務付けられていったのです。

 

最新の改正は2020年、主な改正点は?

2023年時点における高年齢者雇用安定法の最新の改正は2020年に行われたもので、次のいずれかの措置を講ずるよう努めること(努力義務)とされています。

  • 70歳までの定年の引き上げ
  • 定年制の廃止
  • 70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入(特殊関係事業主に加えて、他の事業主によるものを含む)
  • 70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
  • 70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入
    ・事業主が自ら実施する社会貢献事業
    ・事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業

 

この措置が講じられれば、少なくとも70歳になるまで、定年制が廃止された場合はそれ以降も働ける環境となるわけですが、努力義務であり法的拘束力はありません。実際に、浸透が進んでいない様子は先の「高年齢者雇用状況等報告」の結果からも垣間見えます。

高齢労働者や、企業の高齢者雇用をサポートする制度も

高齢労働者の収入を補う「高年齢雇用継続給付 

継続雇用や定年後の再就職にあたって、業務内容の変更や賃金の減額が行われることは珍しくありません。そこで高齢労働者を対象に、減じた収入を補う制度も設けられています。

「高年齢雇用継続給付」は、60歳以降で賃金が減少した労働者に、雇用保険から支給される給付金です。対象者の要件は、60歳以上65歳未満の雇用保険一般被保険者であること、雇用保険被保険者期間5年以上であること、60歳以降の賃金が60歳時点の75%未満であることといった内容になっています。

 

失業給付を受給したかどうかで給付金の種類が異なる

高年齢者雇用継続給付は、労働者の状況によって2種類に分けられています。1つは雇用保険の基本手当(失業給付)を受給していない、つまり定年後すぐに再雇用されたり、再就職したりした人を対象とする「高年齢雇用継続基本給付金」です。もう1つは、基本手当を受給した後に就職活動をするなどして再就職した人が対象となる「高年齢再就職給付金」となっています。

いすれも、支給額は原則として賃金低下率に応じて計算されますが、上限額/下限額が設けられています。またこの上限額/下限額は、毎年8月に「毎月勤労統計」の平均定期給与額により改訂されています。

 

高齢者雇用を実施する企業に対しても助成金が

高齢者を雇用した企業側にも、助成金が設けられています。「65歳超雇用推進助成金 」は、定年年齢の引き上げや継続雇用制度の導入などの取り組みに対して支給される助成金です。取り組みの内容別に「65歳超継続雇用促進コース」「高年齢者評価制度等雇用改善コース」「高年齢者無期雇用転換コース」の3コースで構成されています。

特定求職者雇用開発助成金 は、障がい者など一般的に就職が困難とされている人を継続して雇用することを前提として雇い入れた場合に支給される助成金で、この「特定求職者」には高年齢者(60歳以上)も含まれています。

 

高齢労働者が受給できる

高年齢雇用継続給付

・60歳以上65歳未満の雇用保険一般被保険者であること
・雇用保険被保険者期間5年以上であること
・60
歳以降の賃金が60歳時点の75%未満であること

などが要件

高年齢雇用継続基本給付金
雇用保険の基本手当(失業給付)を受給していない人が対象

高年齢再就職給付金
基本手当を受給した後に再就職した人が対象

 

高齢者を雇用した企業が受給できる

65歳超雇用推進助成金

定年年齢の引き上げや雇用継続制度の導入などの取り組みに対して支給される

65 歳超継続雇用促進コース
定年引き上げや廃止、 66 歳以上の継続雇用制度導入などを実施した事業主が対象
高年齢者評価制度等雇用改善コース
高年齢者向けの雇用管理制度の整備等に係る措置を実施した事業主が対象
高年齢者無期雇用転換コース
50 歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者を無期雇用労働者に転換させた事業主が対象

特定求職者雇用開発助成金

高齢者や障がい者など一般的に就職が困難とされている人を継続して雇用することを前提として雇い入れた場合に支給される

 

高年齢者雇用のメリットや配慮すべき点は?

人手不足解消、経験・スキル活用、ロイヤリティ向上などメリットは多い

若年層の採用が難しくなるなか、長年働いてきた経験・スキルのある高年齢者は配置次第で即戦力となる貴重な人材です。また、生き生きと働く高年齢者は、本人だけでなく若手・ミドル世代社員が将来像を描くためのロールモデル的役割も果たし、高齢者雇用に積極的な企業へのロイヤリティ向上も期待できます。

 

組織のバランスへの配慮、働き方への配慮なども欠かさず

その一方で、高年齢者の活躍の場は慎重に整えていく必要があります。例えば、ポジションが空かないことから若手の活躍・成長のチャンスが減ってしまう、「年少の上司に年長の部下」といったマネジメントを徹底しにくい関係が生まれる……といった組織のバランスを乱す状況が起こることが考えられます。また、体力面やITスキルなども若手と同じようにとはいかないこともあるため、高齢労働者の事情を考慮した多様な働き方を想定しておくことも必要です。

 

高齢者の多様な働き方には「転職」や「派遣スタッフ」も

高齢者雇用というと、定年延長・廃止や継続雇用制度により「同じ会社で引き続き働く」ケースを連想しがちですが、定年を機に転職したり、派遣会社へ登録する高齢者もいます。それまでと違う分野の仕事に取り組んだり、経験豊富な専門職派遣として高い時給で短時間だけ働いたりすることで、会社に残る以上のバリューが生まれることもあるのです。

ランスタッドでは、それぞれに合わせた支援で公平にパフォーマンスを高める「エクイティ 」を重視し、高齢の派遣スタッフがいきいきと働けるように、独自の従業員ケアプログラムランスタッドケア でしっかりサポート。年齢にかかわらず、多様な働き方を応援しています。