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サステナビリティ経営のメリットとは? どのような方針で実践するべきか|ランスタッド法人ブログ

作成者: randstad|Oct 25, 2022 3:00:00 PM

「サステナビリティ経営(サステナブル経営)」とは?

ポイントは「持続可能性」

サステナビリティとは日本語で言う「持続可能性」のこと。これを重んじる「サステナビリティ経営(サステナブル経営)」は、環境・社会・経済の持続可能性への配慮により、事業のサステナビリティ、つまり持続可能性の向上を図る経営方針、経営手法のことを指します。

いわば「社会貢献しつつ自社の利益にもなる事業活動を展開し、社会も自社も長く安定させていこう」といった考え方なのです。

「持続可能性への配慮」とは?

サステナビリティ経営における「持続可能性への配慮」には、具体的にどういった内容があるのでしょうか。環境・社会・経済それぞれの主な例を見てみましょう。

・環境への配慮
森林伐採や海洋汚染、CO2排出問題などの課題解決に取り組む
 
・社会への配慮
ジェンダーや教育格差、難民問題などの課題解決に取り組む
 
・経済への配慮
貧困問題や労働環境改善などの課題解決に取り組む

いずれも大変スケールの大きい課題であり、1社の取り組みだけですぐに解決するというものではありませんが、1社1社が自分たちにできる配慮をしていくことで、結果が積み重なり、持続可能性が少しずつ高められていくわけです。

 

SDGsやCSR活動との違いは?

SDGsは2015年9月の国連サミットにおいて加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載されている、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標の略称です。日本語で「持続可能な開発目標」と示されることもあります。「持続可能~」とある通り、サステナビリティ経営とは近しいものです。

ただし、サステナビリティ経営が環境・社会・経済と3つの要素で構成されているのに対して、SDGsは17のゴール・169のターゲットとより細かい要素で構成されており、サステナビリティ経営の考え方をより具体化したものと言えます。

CSRは、Corporate Social Responsibilityの略語で、「企業が果たす社会的責任」といった意味合いで用いられます。人権尊重、環境への配慮、地域社会への貢献など、サステナビリティと重なる要素も多いものの、事業や経営に取り込むのではなく「両立させる」という考え方であり、ここが大きな違いと言えます。サステナビリティ経営では、むしろこうした要素を切り離すことなく事業活動へ取り込むことが、企業の長期生き残りのカギになると考えられているのです。

 

 

サステナビリティ経営の企業へのメリットは?

長期的な安定経営につながる

持続可能性の向上を図ることは、事業の持続を妨げるリスクと向き合い、解決に取り組むことでもありますから、将来にわたって事業リスクを下げられることになります。つまり、持続可能性の向上により長期的な安定経営につながるのです。

 

新たな事業機会創出につながる

サステナビリティの視点を持った事業を展開することは、より広い分野から注目され、既存事業にはなかったあらたなビジネスの機会を創り出すことにもつながります。

 

ESG投資家からの投資につながる

ESG投資とは、財務情報だけでなく、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)要素も考慮した投資のことを言います。サステナビリティ経営への取り組みは、まさにこうした投資家の注目ポイント。これまでになかった新たな投資につながります。

 

顧客獲得や人材獲得につながる

サステナビリティ経営への取り組みは、企業の先進性や将来性といったイメージを向上させるものでもあります。先進性が注目されることで顧客獲得につながったり、将来性を見込まれて優秀な人材を獲得したりすることにつながります。

 

離職防止や生産性向上につながる

サステナビリティ経営への取り組みによるイメージ向上は、社外だけでなく社内にも良い影響をおよぼします。企業の姿勢に共感することで従業員のロイヤリティが高まり、離職防止や生産性向上につながります。

 

 

サステナビリティ経営実践までのステップは?

存在意義(パーパス)の明確化

企業理念などでは自社のMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を示すモデルが一般的ですが、サステナビリティ経営ではまず視点を社外に置き、「社会における自社の存在意義(パーパス)」を明確にしていきます。具体的には「自社の事業は誰のどのような社会課題を解決するのか」について考える中で、存在意義を見出していくのです。

 

重要課題の特定、ゴール(目標)の設定

存在意義が明確化できたら、次は「従業員と共に取り組むべき課題」、「サステナビリティに貢献できる事業」などの具体的な課題を特定します。

課題が特定できたら、次は解決の指標となる「ゴール(目標)」の設定です。半年や1年ではなく10~20年先の未来を見据え、サステナビリティ経営によって将来自社が目指すべきゴール(目標)を設定しましょう。

ちなみにSDGsは2030年、カーボンニュートラルは2050年を期限として目標が設定されています。こういった先例も参考にするとよいでしょう。

 

ゴールまでのプロセスを明確化し、実践へ

ゴールを先に設定することで、目指す未来像から逆算する「バックキャスティング思考」を取り入れて、目標を達成するまでのプロセスを明確化することができます。現状の課題や実績にとらわれず、目標に向かってステップアップする方法を考えましょう。

プロセスが見えてきたら、全社で実践に取り組みます。高い目標ではありますが、だからといって題目ばかりになっては元も子もありません。足元のメリットを意識した呼びかけを行うなど、取り組みやすいように工夫していきましょう。

 

社内外への積極的な発信を

目標やプロセスが明確化されたといっても、経営層はプロジェクト担当者に丸投げ、プロジェクト担当者は一生懸命なのに現場は知らん顔……では、サステナビリティ経営を推進することはできません。まずは経営層による積極的な社内への発信を行い、「全社的な取り組みである」ことを周知することで従業員をリードしていきましょう。

また、プロセス実践の様子も積極的に社内外へ発信し、顧客、パートナー、従業員とコミュニケーションをとることで推進につなげていきます。そうすることによって、社内外を問わず企業イメージアップにつながります。

 

 

サステナビリティ経営への取り組み事例

電気自動車を広めることで地球温暖化や空気汚染に配慮

自動車メーカーのA社では、地球温暖化や空気汚染の原因とされている「自動車の排出ガス」に注目。電気自動車の開発・普及につとめ、「2022年度までに、新車からのCO2排出量を、2022年度までに2000年度比で40%削減する」という目標を掲げました。この目標は、2021年度において既に達成されています。

 

環境に主眼を置いた取り組みにサステナビリティを取り入れる

総合建設業者のB社では、2011年から取り組んできた環境ビジョンを見直し、2050年の「あるべき姿」を再定義。「地球・社会・人」のサステナビリティの実現というビジョンを打ち出しました。これに伴う2040年~2050年の目標も「脱炭素」、「価値ある空間・サービスの提供」、「サステナブル・サプライチェーンの共創」と、より広い視野に立ったものになっています。

 

自社ならではの特長を生かしたユニークな取り組みも

楽器メーカーのC社では、持続可能な木材利用などによる環境への配慮、人権尊重などによる多様な人材への配慮に加え、社会課題に対する取り組みのひとつとして「音楽文化の普及・発展」による地域や社会への貢献を挙げています。自社の存在意義やサステナビリティに貢献できる事業について、まさに自社らしさを活かし取り組んでいる事例といえます。

 

「社外の知見を取り入れる」ことも推進のポイントに

サステナビリティ経営を推進していくには、十分な知見を持った人材によるパーパス・ゴール・プロセスの明確化が欠かせません。ただ、社内のメンバーに知見を蓄えていくのも一朝一夕にできるものではありませんし、人手不足の折、即戦力のプロフェッショナル人材を採用するのも簡単なことではありません。まずこの課題を解決する方策として、社外の信頼できるパートナーの手を借りることもぜひ検討してみましょう。

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