人事担当者アンケート調査:LGBTQに関する取り組みはできていますか?各企業の状況は?

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日本企業のLGBTQに関する取り組み状況は?

厚生労働省が2019年に「職場におけるダイバーシティ推進事業」の一環として行った国内企業へのヒアリング結果によると、「性的マイノリティに対する配慮や対応を意図した取組」を行っている企業は全体の10.9%となっています。従業員規模で分けてみると、1,000人を超える企業では43.1%が取り組みを行っているのに対して、100人~999人の企業では10%、99人以下の企業では3.8%と、企業規模による差が大きいことも特徴的です。

この状況は、上記調査後の2020年6月に「改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)」の施行が控えていたことによる影響も考えられます。大企業はパワハラ防止法施行と同時に、性的マイノリティに対する配慮や対応を含むパワハラ対策が義務化されたため、調査時期にはすでに取り組み始めていた企業も多いと見られます。その一方で、中小企業については2022年3月までは努力義務期間とされ、2022年4月から義務化がスタートしたばかり。まさにこれから取り組むところなのかもしれません。

ここで「パワハラと性的マイノリティには関連がないのでは」と疑問を持った方もいるかもしれません。性的指向(Sexual Orientation)や性自認(Gender Identity)に対して、差別的な言動や嘲笑、いじめや暴力などの精神的・肉体的な嫌がらせをすることや、社会生活上の不利益を強いることは、その頭文字を取って「SOGIハラスメント(SOGIハラ)」と呼ばれます。職場で行われるSOGIハラはパワハラの一種とみなされるため、パワハラ防止法によって防止措置が義務化されているのです。もちろん「義務だから」と形式的に措置をとるのではなく、積極的に取り組み、それを社員に周知していくことが重要です。 

 

日本企業の現状は「まずLGBTQについて学ぶ」ところから

ランスタッドでは2022年6~7月に107人の人事担当者を対象に「企業におけるLGBTQへの取り組みに関する調査」を実施いたしました。アンケート全文は下記よりダウンロードいただけますので、ぜひご覧ください。LGBTアンケート ダウンロード

 

アンケート中の「勤務先でLGBTQに関する配慮や取り組みを行っていますか?」という質問に対して「行っている」と答えた人は約40%でした。

厚労省の調査と比べると、この数年で状況はかなり改善していると言えます。ただ、取り組みがすでに義務化されている中で「行っていないが検討している」と答えた人が29%、「行っておらず検討もしていない」と答えた人も約25%いました。つまり、半数以上は「(今のところ)LGBTQに関する取り組みが追いついていない」と考えられます。

 さらに同アンケートの「企業におけるLGBTQに関する取り組みや制度について、どのようなものが必要だと思いますか?」という質問に対する結果を見たところ「研修など、LGBTQについて学ぶ機会を作る」が43%で1位となりました。続いて「企業としてLGBTQに対する方針を打ち出し、公表する」、「LGBTQや社員のプライバシー保護に関する規定やマニュアルを作る」、「相談窓口を設置する」といった項目が僅差で並びます。

選択肢には「結婚や介護、家族手当などの補助をLGBTQも利用しやすいようにする」、「誰でも使えるトイレや更衣室を設ける」といったものも用意されているのですが、これらが上位にこないことを見ても、具体的に人事制度や設備を整える段階には至っていないことがうかがえます。研修や方針の策定ということは、日本企業の現状は「まずLGBTQについて学ぶ」ところにあると言えそうです。

 

勤務先でLGBTQに関する配慮や取り組みを行っていますか?(n=107)

en_lgbt行っている
行ってないが検討している
行っておらず検討もしていない
わからない

 

企業におけるLGBTQに関する取り組みや制度について、どのようなものが必要だとおもいますか?(n=107)

LGBTQ2-1

 

・企業としてLGBTQに対する方針を打ち出し公表する:29.9%
・研修など、LGBTQについて学ぶ機会を作る:43.0%
・相談窓口を設置する:28.0%
・LGBTQや社員のプライバシー保護に関する規定やマニュアルを作る:29.0%
・結婚や介護、家族手当などの補助をLGBTQも利用しやすいようにする:15.9%
・制服規定を見直す:8.4%
・誰でも使えるトイレや更衣室を設ける:12.1%
・通称名が使用できるようにする:8.4%
・当事者コミュニティやLGBTQに関する委員会、社内ネットワークを作る:5.6%
・LGBTQイベントへの参加を協賛する:2.8%
・その他:0%
・特にない、わからない:22.4%

 

 

日本企業や働き手がLGBTQについて学ぶには?

LGBTQに関する取り組みの第一歩として、日本企業やその働き手がLGBTQについて学ぶには、どのような施策が有効なのでしょうか。支援団体・専門家に講演・研修を依頼するといった方法もありますが、まずはより自社の立場に近い「ごく一般的な事業を営みながら、LGBTQに関する取り組みを行っている」企業から学べることも多いのではないでしょうか。

LGBTQ先進国のオランダに本社を構えるランスタッドは、LGBTQに関する企業評価指数「PRIDE指標」で最高レベルとなるゴールドを受賞した、LGBTQフレンドリーなグローバル企業です。下記の通り数多くの取り組みを成功させ、社外へ向けての活動にも積極的に取り組んでいます。

  • 入社時研修へのカリキュラム組み込み
  • 社員によるネットワーキンググループ活動
  • 就業規則にて同性カップルを通常の婚姻と同じ取り扱いに
  • 取引先企業へのLGBTQに関する啓蒙活動
  • Business for Marriage EqualityやEqualityActJapanへの賛同
  • 東京レインボープライド2022への出展

LGBTアンケート ダウンロード

 

アンケートではほかにも「勤務先で実際に行われている取り組みや制度」や「取り組みや制度の実施にあたって苦労した点」など、人事担当者を対象にLGBTQへの取り組みについて調査しています。

LGBTQに関する人事担当者アンケート 「日本企業のLGBTQに関する取り組み状況は?まず取り組むべき課題は」

 [企業におけるLGBTQへの取り組みに関する調査]より

・調査期間:2022年6月30日~7月1日
・調査方法:インターネット調査
・対象:男女20歳以上の人事担当者
・有効回答数:107
 
 
ランスタッドのLGBTQに関する活動についてはこちらをご覧ください。

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