2022年春闘は3月16日、大手企業の集中回答日を迎えました。メーカーではトヨタ自動車がすでに労組要求通りの一時金6.9カ月の満額回答しており、同業他社や電機業界でも満額回答が相次ぐなど、昨年を上回る水準。ウクライナ情勢などの不安要素はあるものの、新型コロナウイルスの感染後を見据えた企業側の積極姿勢が浮かび上がっています。連合は今回、定期昇給とベアを合わせた賃上げ目標を「4%程度」としていますが、今年は達成できる可能性が出てきました。
自動車ではトヨタ以外にも日産がこの日、労組要求通りの賃上げ額月8000円と一時金5.2カ月、ホンダもベースアップ(ベア)3000円と一時金6カ月の満額回答。ホンダは昨年、労組が8年ぶりにベア要求を見送りましたが、今年は復活しました。マツダは賃上げ額7000円と一時金の5カ月+3万円の満額回答。ダイハツ工業は賃上げ額を要求より1000円少ない6700円、一時金を要求通りの5.5カ月で回答しました。
また、電機も日立、NEC、東芝が電機連合の要求額のベア3000円に対して満額解答し、富士通は要求の半額にあたるベア1500円を回答。鉄鋼は2年ごとの交渉ですが、今年は日本製鉄など3社とも22年度はベア3000円、23年度は同2000円を回答しました。
労働組合のナショナルセンターである連合の速報では、平均賃金方式で回答を引き出した776 組合の加重平均は6581円・2.14%(昨年同時期比1018円増・0.33ポイント増)。300人未満の中小組合のうち賃上げ分が明確にわかる179組合の賃上げ分は1746円・0.63%(同 316円増・0.12ポイント増)で、額・率とも全体を上回っています。額で中小組合が全体を上回るのは、賃上げ分が明確にわかる組合の集計を開始した2015年以降、初めてです。
また、有期・短時間・契約労働者の賃上げ額は、加重平均で時給26.25 円(同1.64円増)・月給4680円(同296円減)。時給の引上げ率(概算)は2.56%で、一般組合員(平均賃金方式)を上回っています。
取材・文責 アドバンスニュース