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従業員スキリングの取り組みの導入増および有効性向上のための4つの 方法|ランスタッド法人ブログ

作成者: randstad|Dec 14, 2021 3:00:00 PM

組織が従業員に対して負っている重要な責任の1つに、従業員の継続的雇用の実現があります。労働社会は急速に進化しており、従業員はますますその能力が試されるようになっています。従来、多くの従業員は1つの会社でキャリアの–すべてではないにせよ–大半を過ごすことを目的として組織に加わっていました。そうした前提はもはや多くの業界および職種にとって過去のものであり、従業員には雇用者のサポートに基づく継続的なアップスキリングやリスキリングを通じて今日の労働市場で通用する人材であり続けることが求められています。

優れたエンプロイーエクスペリエンスの実現という強いコミットメントのもと人材の確保および社内異動数の増加を実現させている一流の組織は、従業員に「継続的学習」という思考様式を浸透させる重要性を理解しています。しかし、スキリングの取り組みを提供している多くの組織は、その広範な導入および全社レベルの有効性に関する課題に直面しています。実際、弊社が最近実施した「現代のスキリング(※1)」調査によると、2020年にスキリングおよびリスキリングの取り組みを提供していた組織のうち、自社従業員は効果的なスキリングを行っているとの確信があるとしたHR担当者はわずか9%でした。従業員のキャリア開発、アップスキリング、リスキリングのための充実したツールの提供は、組織がスキリングの取り組みに伴う障害を克服しそれらに関する投資収益率(ROI)を最適化するうえでどのように役立つのでしょうか?

 

 

組織と従業員が直面しているスキリング重視という急務

2018年、世界経済フォーラムは業種全体で求められるスキルの42%(※2)は2018~2022年にかけて変わってくると予想しました。ガートナーのデータによると、1つの仕事に求められるスキルの数は2017年以降毎年10%(※3)増加しています。グローバリゼーション、オートメーションの台頭、世界的なパンデミックといったディスラプションを踏まえ、これらの数値は増加の一途をたどる可能性があります。

ビジネスニーズの急激な変化を受け、組織の従業員は自身の成長を通じてビジネス需要に対応してゆくスキルが必要とされています。それらの組織は各種職種を社内の人材で賄いたいと考えることが多く、そうした社内異動は外部人材の採用よりも費用対効果に優れるとともにエンプロイーエンゲージメントを強化します。しかし、現状の従業員が必ずしもそれらの職種に就くための適切なスキルを有しているとは限りません。従業員に対するスキリング機会の継続的提供は、従業員による業績向上に必要なスキルの習得を徹底させ、長期的エンプロイアビリティに貢献し、従業員リテンションの強化につながります。これらの点はRandstad Sourcerightが実施した2021年度人材トレンドレポートのデータで証明されており、人事リーダーおよび経営幹部の87%(※4)が従業員のリスキリングはリテンションの強化につながると考えています。 

関連コンテンツ:Randstad risesmartのグローバル調査で判明した民主化されたスキリングの必要性。(英語ページ)

 

 

広範なスキリング導入の障害

現在の組織では、従業員のアップスキリングおよびリスキリングのためのリソースが多数用意されています。しかし、ここで問題となるのは選択肢の不足ではなく指導の不足です。多くの組織は、Degreed、またはCoursera、LinkedIn Learning、Udemyといった大規模公開オンライン講座などキュレーション型コンテンツへのアクセスを従業員に提供しています。LinkedInが先日発表した職場における学習レポート(※5)によると、学習および能力開発の専門家の73%は講師主導型訓練の減少を予想すると共に、79%はオンライン学習への投資増を予想しています。しかし、多くの組織がオンライン学習の活用および効果という課題に直面しています。多くの場合、それらの組織は複数年契約を締結し、それらのリソースの立ち上げに時間とリソースを費やしています。

根本的問題として挙げられるのが、こうした講師主導型訓練からオンライン学習への転換によって指導という学習を成功に導くための重要な部分が失われているということです。膨大なコースを用意されている従業員は、自分が何を学びたいか、または現在の職種で成長もしくは他の職種へ社内異動するために何を学ぶ必要があるかが分からなくなっています。なかには、自分が何を学びたいか理解していながら採るべき最適なアプローチまたはコースは何か理解できていないというケースもみられます。どこから学習を始めればよいか、または与えられたツールの検索バーにどんなワードを入力すればよいか分かっていなければ、これらのツールを従業員に与えても宝の持ち腐れとなります。

関連コンテンツ:アップスキリングとリスキリングに関する5つの俗説。(英語ページ)

 

 

スキリングに伴う課題を克服し投資収益率(ROI)を向上させる方法

効果的なキャリア開発ツールは、大半のスキリング・プログラムに欠けている要素を補完し、自分が学びたいこと・学ぶべきことを理解していない従業員をサポートしてくれます。

適切なタレントモビリティプロバイダーをパートナーとすることで、従業員の情熱と組織としてのニーズを整合させたスキルの発見・学習を可能とするキャリア開発ツールを従業員に提供することができます。これらのツールに加えて、専門家による従業員とキャリアのペアリングも必要です。例えば、RiseSmartのスキリング・プログラムは、個々の従業員のキャリアプランを戦略的スキリング・ロードマップへと再定義する際のサポート役となるキャリアコーチやキャリアコンシェルジュ、認定学習アドバイザーが含まれています。このようにテクノロジーと人間による指導を組合せることで、リスキリングおよびアップルキリングに対する従業員のモチベーション向上が望めます。こうしたアプローチを採る企業は、現行のスキリング・プログラム導入に成功している場合が多いです。

 

 

1.キャリア探索ツールの提供

キャリア開発ツールを活用することで、従業員は自分自身のキャリア探索・発見が可能となり、より注力したい分野や必ずしも興味を刺激されない分野をより良く理解できるようになります。これらのツールは、自社の目標およびより広範な労働市場で求められるスキルと合致した従業員の潜在的キャリアプランに関するビジョンの形成にも有効です。

データを活用することで、従業員はスキリングに関する利用可能な選択肢に圧倒されることなく、自身のスキリングやキャリアパスに関する賢い選択が可能となります。例えば、RiseSmartのOccupation Explorer(※6)ツールは職種、報酬、市場需要、雇用見通し、必要なスキルおよび関連業務に関する労働市場のインテリジェンスを提供しており、こうしたデータを活用することで従業員は自分のキャリア目標に基づくより有意義なスキリングコースの選択が可能となります。

関連する市場データだけでなく、RiseSmartはキャリア開発やスキリングの取り組みに参加する従業員向けにそれらの施策をより効果的なものとする各種ツールを提供しています。特許取得済みのキャリア開発用求人検索およびマッチング技術は、従業員の適切な社内異動を可能にするものです。RiseSmartのキャリア開発(※7)プラットフォームは、強みの評価やネットワーキング・ワークショップ、面談演習などのリソースを活用しながら従業員による社内での新たな職種、短期業務、プロジェクトに対する準備を可能にします。

弊社が先日発表した「現代のスキリング」レポートによると、2020年にスキリングを提供していた組織のうちほぼすべて(98%)が従業員は習得したスキルを十分または部分的に使用してビジネスに貢献しているとしています。さらに、スキリングに参加している従業員の57%は新規に学習またはブラッシュアップしたスキルを自身の業務において有意義な形で十分に活用しているとしています。関連するスキルの学習のみならず現在の職種またはキャリア開発を通じて発見する新たな機会でのそれらのスキルの応用も可能なリソースを従業員に提供することで、組織はスキリングの取り組みに関する有効性とROIを向上させることができます。

 

 

2.個別コーチングの提供

関連する労働市場およびスキリングに関するデータへのアクセスが提供されていても、学習という点でキャリアコーチ(※8)が提供する1対1の個別ガイダンスはすべての従業員にとって有効です。個別コーチングは、従業員による労働市場データの理解および自身のキャリアオプションに関する視野拡大に有効です。また、個別コーチングは未開発スキルの発見やこれまで従業員が認識していなかった新規スキルの開発につながる可能性があり、ひいては企業における重大なスキルギャップ解消に役立つ可能性があります。

さらに、コーチングは従業員にとって関連性が高く各人のモチベーションを引き出す明確なキャリアプランの開発にも役立ちます。

 

 

3.追加措置としての人間による指導の提供

キャリア開発およびスキリングの取り組みを最大限に活用するために、コーチング以外にも追加指導を必要とする従業員がいるかもしれません。それらを必要とする従業員がいた場合は、認定学習アドバイザーおよびキャリアコンシェルジュは当該企業が提供しているスキリング・ツールをベースに活用すべき具体的なコースや経験学習の機会に関する助言を行いながら、彼らのキャリアプランを学習プラン(弊社では戦略的スキリング・ロードマップと呼称)として再定義するサポートを行います。学習アドバイザーは、複雑な学習プランを持っている、または自身の学習プラン継続のサポートが必要な従業員もサポート可能です。

関連コンテンツ:Randstad risesmartのグローバル調査:効果的な従業員スキリングに必要な戦略的指導。(英語ページ)

 

 

4.従業員からのフィードバックの収集

組織における従業員に関する取り組みを成功させる重要な方法が、従業員からのフィードバックの収集およびその活用です。キャリア開発またはスキリングに関する新たな取り組みに着手する前に、各従業員のキャリア目標や学習対象として興味あるスキル、それらのスキルの習得方法に関する質問を含めた調査の実施を検討してください。そして、これらのプログラムが実行に移された後もフィードバック収集を続け、自社のキャリア開発およびスキリング・プログラムが従業員のキャリアアップに貢献しエンプロイーエンゲージメントやリテンションの強化につながっているか検証を続けてください。

RiseSmartは先日、自社従業員のための新たなキャリア開発およびコーチング・プログラムを発表しました。その開始にあたり、弊社は従業員にキャリアに関する課題やプログラムに期待することをより良く理解するための調査を実施しました。これらのデータの収集・活用は同プログラムの最適化に役立つと共に、導入および有効性の向上につながる可能性があります。

 

 

スキリングを通じた業績向上  

効果的かつ指導者を擁するスキリング戦略を採る組織は、従業員に対して将来選択し得るオプションおよび機会を明確に提示可能となります。各従業員のスキリング・ロードマップは達成可能なマイルストーンを備えた段階的プロセスに分解可能で、スキリングの広範な導入に伴う障害を減少させ多くの従業員に参加してもらううえで有効です。その結果、従業員は現在の職種で有効活用できる、または社内異動を実現させるためのスキルを身に付けて、変わりゆくビジネスニーズにマッチした人材となれる可能性が高くなります。そして従業員が退職する時には、エンプロイアビリティ維持に役立つ適切なスキルが身に付いていることでしょう。

スキリングの広範な導入の促進は、予測不能な未来から組織を守ることにもつながります。従業員に自身のスキルを新鮮かつ最新のものに維持させることで、組織はアジリティを維持しながら急激に変化する事業環境にも迅速に対応可能となります。さらに、従業員が各種ツールを活用して自身が学んだスキルを有意義な形で活かせる可能性が高まるため、企業レベルではキュレーション型学習コンテンツや大規模公開オンライン講座など導入済みのツールに関するROIの向上が見込めます。

 

[参照]
※1  https://info.risesmart.com/skilling-today-global-survey-report
※2  http://www3.weforum.org/docs/WEF_Future_of_Jobs_2018.pdf
※3  https://www.gartner.com/en/human-resources/research/talentneuron/leveraging-skills-adjacencies
※4  https://content.randstadsourceright.com/top-10-hr-trends-for-2021
※5  https://learning.linkedin.com/resources/workplace-learning-report
※6  https://www.randstadrisesmart.com/skilling
※7  https://www.randstadrisesmart.com/talent-mobility-solutions/talent-development-professional-growth
※8  https://www.randstadrisesmart.com/talent-mobility-solutions/career-coaching