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ケーススタディ:Googleの採用基準や方針とエンプロイヤーブランディング|ランスタッド法人ブログ

作成者: randstad|Sep 10, 2021 3:00:00 PM

欧州、アフリカ、中東におけるGoogleの事業活動のメインエンジンルームに当たるのがスイス、チューリヒにあるエンジニアリングセンターです。

「Googler」(グーグル社員の意、チューリヒオフィスのエンジニアたちが使う呼称を借りれば「Zoogler」)は技術スキルだけで採用されるのではなく、Google SwitzerlandのHRビジネスパートナー、エロディ・ルイリエ氏曰く、そこには「Googleyness(グーグルらしさ)」、つまり常に変化する不透明で不安定な環境で成長できる力が含まれています。

Googleの厳しい選考プロセスはテクノロジー業界内ではある意味、伝説です。ですが、ルイリエ氏は「至って基本的」な採用方法だと言います。

Googleでは優れた認知スキルを持つ人材を見つけ出すために一部の企業が用いている難解な質問や突拍子もない面接は時間の無駄と考え、行動または仮定に基づく体系的な面接を行い、全員共通の選考アプローチを取り入れています。想像力と創造力を駆使し、最終的には非構造的に発想できる人材を見つけるために、Googleがこうした構造的手法を用いている理由は何でしょうか。

 

 

何かを知りたい時、何かを探したい時、多くの人は「ググり」ます。検索エンジンの成功が起点となり、Googleのサービスはショッピング、決済、広告、翻訳からデジタルアナリティクス、開発、クラウドストレージに至るまで多彩に広がっています。

これらアプリケーションの明らかな使いやすさの背景には、チューリヒのGoogler、すなわちZooglerたちが陣頭指揮を執る極めて緻密なエンジニアリング活動があります。ルイリエ氏は、「エンジニアたちが世界中の大勢の人々が利用するGoogle Search、Geo Products、YouTube、Gmail、カレンダーなどのプロダクト開発に取り組んでいます。

こうしたプロジェクトにはソフトウェア開発、ソフトウェアテストからシステムエンジニアリング、ネットワークエンジニアリングに至るまであらゆるスキルが必要です」と話します。

エンジニアは一般に非常に優秀ですが(およそ3分の1がPhD保有者)、選考プロセスは必ずしも成績優秀者を探すのではなく、むしろ一定の能力を持ち、そしてGoogleになじめる応募者をピックアップできるよう考えられています。

 

 

必要とする能力は大きく4つ

Googleが必要とする能力は大きく4つに分けられます。

1つ目は本人の考え方です。学び、新しい状況に適応し、実際の生活や仕事の場面で起きる難しい問題を解決する力のある人材を探します。

2つ目は必須知識を備えているかどうか。エンジニア職の場合は特にコーディングスキルやその分野の専門性をチェックします。ですが当社が求めるのは、特定のスキルセットに長けているだけでなく、多様な強みや情熱を持った人材です。

3つ目の重要ポイントはリーダーシップ。チームの士気を高めるために、さまざまな状況でさまざまな手腕を振るった経験があるかどうかを確認します。就いていたポジションそのものではなく、状況に応じて一歩踏み込み、リーダーシップを発揮する能力と心構えを重視します。

最後の4つ目は、見つかった候補者の人物像がいわゆる「グーグルらしい」かどうか。その人たらしめているものに納得感があるかどうか。また本人にとってGoogleが成長の場になることもチェック項目です。確実とは反対の環境になじむことができるか、協調性があるかどうかのサインを見つけます」

 

 

人を驚かせる自由

Googleと言えばイノベーションで知られていますが、それは求職者にとって大きなアピールポイントです。ですがルイリエ氏は、従業員をどのように考え、従業員の自己実現をどのようにサポートするかも同様にエンプロイヤーブランドにおける重要な要素だと言います。

「当社は人の人生における仕事の役割とその意味の大きさを強く認識し、嘘偽りなく従業員を大切にし、人々を驚かせる自由を与える企業でありたいと考えています。調査によると、従業員を第一に考え、信頼し、オーナーと同じように扱う企業が成功する傾向にあります。また、不安ではなく自由が土台にある企業の業績が高いこともわかっています」

 

 

Googleの職場作り

ではGoogleはどのようにして一人ひとりに権限が与えられた職場作りを進めてきたのでしょうか。「1998年の創業以来、Googleはカルチャーの醸成や経営の手法をさまざまに試してきました。従業員200人以上に聞き取りを行った最新の調査では興味深い結果が示されています。

成功はチームに誰がいるかではなく、チームが各自の仕事をどのように組み立て、どのように協力し、それぞれの貢献をどのように捉えるかに大きく影響されるというものです。

いくつかある調査所見の中でも特に教訓になったことは、質の高い仕事をするための互いの信頼感と、不安や恥を感じることなくリスクを負えるほどの互いの安心感の大切さです。もう一つの成功要因は、仕事が個人の関心事項(意味があるもの)であり、重要事項(影響があるもの)と感じられることです」

ルイリエ氏はGoogleにはこの調査から導き出された答えがすべて揃っていないことを特に強調し、そこで同社は企業間でアイデアや経験を共有するためのウェブサイトを立ち上げました(https://rework.withgoogle.com)。

その一方でGoogle Switzerlandはランスタッドアワードの上位企業であり、全体として魅力あるエンプロイヤーブランドの構築はもちろん(事実、スイスで働きたい企業No.1)、人材に対する使命において重要と考えられる特定項目においても着実に前進しています。例えば、教育研修、おもしろそうな仕事内容、キャリアアップの機会、心地良い職場の雰囲気でトップの座を獲得しています。

 

 

将来のGooglerを見つける

Googleが求職者に発信し、エンプロイヤーブランドを伝える手法には、個人としてもチームの一員としてもGoogleの環境で成長できる人材を見つけたいという同社の思いが反映されています。

キャリアウェブサイトではGoogleの期待事項が説明されているほか、Googleでの仕事生活をGoogler自身が紹介しています。サイトに登場したチューリヒオフィスで働くエンジニアリングマネージャーの一人、レト・ストルブルさんは共に働く優秀な仲間や自分たちが与えられるインパクトについて語り、「自分たちが開発したテクノロジーをブロガーが取り上げてくれているのがうれしい」と話します。

その一方で、仕事が複数のタイムゾーンをまたいでいること、家族がいても時に海外出張があることなど自分にとっての課題にも率直に触れています。

日々多数の求人応募がありますが、Googleでは応募者との個人的なつながりを大切にしています。「リクルーターがすべての応募に目を通し、優秀な人材を見過ごさないようチェックしています。また、紹介制度を有効活用し、従業員の人脈に条件に合致する人材がいれば申請してもらい、選考対象に加えています」(ルイリエ氏)

面接プロセスも同様に個人としてのやり取りが重視されています。「プロセスは至って基本的です。採用までの道筋は、まずはリクルーターと話し、電話面接を経て、いずれかのオフィスに出向いてもらい、対面面接を行います。ビデオ会議シスステムを使って面接を行う場合もあります」 

「応募者にGoogleで働く感覚をつかんでもらうために、面接官には将来のチームメートが加わることもあります。別のチームのメンバーと話をすることもあります。こうすることによって、応募者の協調性やGoogleとの全体的ななじみの良さを判断できます。

Googlerで構成された独立委員会が長期的雇用を確保するために重要な役割を負っています。例えば、面接官全員からのフィードバックを見直し、採用プロセスの公正さやGoogleにとっての適性基準が守られているかどうかをチェックします。

採用までの時間短縮、応募者とのコミュニケーションの強化など、採用プロセスの効率性にも力を注いでいます。プロセスに関わるGooglerにとっては時間を費やすことになりますが、その価値があると考えています。初期のGooglerたちが10年以上前にこの原則を定め、そのおかげで成長を続けながらも私たちらしさを失わないでいられます」

 

 

体系的アプローチ

面接プロセスの特徴の一つが、非常に体系的である点です。「面接官は十分なトレーニングを受け、微調整し、体系的な面接手法を用います。私たちにとっての体系的面接とは全員に同じ質問をし、応募者の受け答えを共通のものさしで評価することを意味します。予め設定した一貫性のある基準に基づき採否を判断します」(ルイリエ氏)

では採用プロセスを体系化している理由は何でしょうか。同社は体系化されていることによって面接官チームが応募者の本当の姿を知り、評価の客観性を確保できると考えています。

「研究によると、初対面で人は瞬時に無意識の判断をする傾向があり、無意識のバイアスや信念に大きく左右されます。その結果、面接官が応募者の能力を評価するのではなく、自分の第一印象を裏付ける証拠を無意識のうちに探そうとします。

研究では、仕事自体が非体系的であったとしても、体系的面接を行うことによって、そうでない面接よりも客観性が増すこともわかっており、ゆえにGoogleではこの手法を活用しています」

 

 

エンジニアリング原則の応用

では企業はGoogleの事例から何を学べるでしょうか。優れた車は簡単に操作でき、高い性能を発揮しますが、それはエンジニアリングが良いからです。そうしたエンジニアリングは新しいアイデア、試行錯誤、精緻化から成る一連のプロセスを経て完成します。

Googleは同じエンジニアリング原則をプロダクトにも応用しています。試行錯誤を繰り返した結果、高度に体系化されたシステマチックな採用アプローチを選択したのです。問題解決志向のクリエイティブな人材を見つけるには直感に反した方法に思えるかもしれませんが、むしろこれが決定的に重要です。

Googleは不確実に立ち向かわなければならない時、リーダーシップが求められる時、過去に経験のない課題に遭遇した時にどのように反応するかを見極めるために、この方法を最善の指標だと考えています。