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男女間賃金格差が従業員のパフォーマンスに影響?[男女雇用機会均等]|ランスタッド法人ブログ

作成者: randstad|Jul 23, 2021 3:00:00 PM

男女での報酬制度の不公平・不平等や男女間での賃金格差を軽減するためにいくつかの提案があります。

世界全体を見渡しても、同じ仕事の役職や役割で女性の占める割合は男性よりも非常に少ないといえます。この事実に驚く人はいないでしょう。ですがダイバーシティに意欲的な先進国でさえも、男女間賃金格差の解消が一朝一夕にいかないことは、それほど知られていないかもしれません。

世界経済フォーラム (※1)は、現在のままゆっくりな変化ペースが続いた場合、男女の経済格差の解消には202年を要すると警鐘を鳴らしています。

制度の壁が女性労働者の活躍を停滞させ続ける中、企業はこの課題を公平性の問題だけでなく、企業帰属意識や生産性の問題として捉える必要があります。過小評価されている、差別されていると感じている社員は士気ややる気、生産性が低下し企業の存続にも影響を与える可能性があります。

男女間の賃金格差の経済的影響

男女間の賃金格差の経済的影響は甚大です。Quarterly Journal of Economics(※2)に掲載された研究によると、不公平感のある賃金体系を原因に社員の生産性や勤怠状況が悪化することが明らかになっています。MITが行った別の研究(※3)では、社員が賃金格差を感じたことによる生産性の低下が52%にも及んでいます。

男女間の賃金格差の解消における最大の課題は、この問題が至る所の経済に深く染み付いているがゆえに、多くの社員も企業もただ不平等を受け入れてしまっているという現実です。米国のピュー研究所(※4の試算によると、女性の賃金は男性のおよそ85%止まりです。世界経済フォーラム(※5)によると、最も大きな開きがあるのがシリアとイラク、女性の賃金は男性のわずか30%です。ドイツでは男性と比べてマイナス21%、英国ではマイナス30%、男女同等に達した市場はありません。欧州委員会の調べでは、EU全体の平均格差はおよそ16%(※6)です。

男女間の賃金格差を克服するためのもう一つの壁として、多くの社員がそうした問題の存在を信じようとしないことがあります。タイム誌(※7)が2019年3月に行った調査では、アメリカ人男性のほぼ半数が男女間の賃金格差は政治目的で作られたでっち上げ、4分の1が格差はフェイクニュースだと考えていることがわかりました。英国の2010年平等法(※8)をはじめとする格差解消を狙いにした現在の規制が問題に十分対処しているのかという議論もあります。

男女間の賃金格差の原因の根が深いのか、認識や感じ方の問題であるかにかかわらず、いずれにしろ影響は同じです。職場で差別を受けている女性は積極性や組織への忠誠心が低下し、転職に気持ちが傾きます。これは人材不足(※9)問題が広がり、多くの企業が優秀な人材の獲得競争を強いられるこの時代に特に憂慮すべき種になります。

賃金格差を理由に過小評価されていると感じている女性従業員は成績が伸び悩みます。もう一踏ん張りする理由がほぼないからです。しかも怨恨が残ります。不当な行為を制度化し悪習の是正を怠った企業は職場全体に及ぶ停滞感に苦しむ事となるでしょう。今いる従業員にとって良くない状況であるだけでなく、エンプロイヤーブランドや企業人気、株価にも影響が及びかねません。

 

取るべき行動

では、現在の報酬制度に存在する可能性のある格差に的確に対処するにはどうすればよいでしょうか。公平、公正な賃金によって女性を中心とした社員全体の愛社精神を高めるにはどうすればよいでしょうか。

男女格差を是正し再発を防ぐために取り組むには基本ステップがあります。

現状を評価する

組織内に今あるかもしれないジェンダーギャップ(男女格差)を総合的視点から捉えていますか?女性に男性と同じ水準の給与や賞与を得る平等な機会が与えられていますか?女性が男性と同じ給与等級に到達するために構造的障害はありませんか?解決策を考え始めるにあたって、これらの重要な問いにまず目を向ける必要があります。

根本原因を探る

組織構造上の問題が見つかった場合は、その原因を探ります。不公平な処遇の原因になっている旧態依然とした報酬制度はありませんか?女性は昇進の機会が少ないですか?先入観をもって業績評価を行わないよう、管理職の教育はできていますか?問題の原因を特定できない限り、是正策を考えることはできません。

社員から意見を募る

男女間の賃金格差の証拠が無いとしても、社員の受け止め方はどうでしょうか?女性社員が男性社員よりも過小評価されていると感じているのであれば、やはり満足度の低下につながります。多くの企業に男女間の賃金格差があるのは確かですが、すでに是正策を講じた企業でさえも過去の評判を引きずってしまうことがあります。従業員がどう認識しているかを見極め、企業が問題解決に積極的に取り組んでいることを強く印象付けることによって、愛社精神と生産性を改善できます。

メンター制度や家族サポートを提供する

女性は男性よりも育児その他の家庭の事情を抱えていることが多いため、仕事に対する意気込みが弱いと見なされることがしばしばあり、その結果、昇進、昇給の機会が限られています。実際には、勤務スケジュールや休暇について企業からの支援がもう少し必要なだけかもしれません。と同時に、女性たちの要望に会社側がきちんと応える手段として、キャリアアップに対する助言や指導も必要かもしれません。

組織全体の意識を高める

最も効果的な手段は、男女間の賃金格差問題に男女ともに積極的に取り組むことです。頻度は少ないものの企業によっては男性社員の賃金が女性よりも低いケースも発生しています。組織全体で意識を高めることによって、管理職がスタッフを同じ視点で捉え、不公平な賃金体系の危険性を認識できるようになります。

近い将来に男女間の賃金格差が是正されるのか見通しは明らかではありませんが、ご説明したステップを実行することが、企業としての役割を果たすための偉大な第一歩になると思います。

 

 

※1  http://www3.weforum.org/docs/WEF_GGGR_2018.pdf
※2  https://academic.oup.com/qje/article/133/2/611/4430649
※3 https://economics.mit.edu/files/10732
※4  https://www.pewresearch.org/fact-tank/2019/03/22/gender-pay-gap-facts/
※5  https://www.weforum.org/agenda/2019/04/gender-pay-gap-eight-countries/
※6  https://ec.europa.eu/info/sites/info/files/aid_development_cooperation_fundamental_rights/equalpayday-eu-factsheets-2018_en.pdf
※7  https://time.com/5562171/pay-gap-survey-equal-pay-day/
※8  http://www.legislation.gov.uk/ukdsi/2017/9780111152010
※9  https://insights.randstadsourceright.com/diversity-inclusion/recruiting-daily-advisor-u-s-unemployment-rate-drops-to-3-6