少しの間、オランダの労働市場とインドの労働市場が似ていると考えてみてください。
議論をしやすくするために、インドは(今なお小規模ですが)正規労働市場に限定します。持続可能なエンプロイアビリティを手に入れるための課題や努力はまったく同じでしょうか?
両者がもし似ているとすれば、オランダの人口の28%は24歳未満です。Y世代と呼ばれる若年労働者が全体の65%を構成しています。労働者の平均年齢は27.7歳(実際は41.7歳)です。本質的に世界で最も若い労働力を抱えていることになります。
なんと素晴らしい!持続可能なエンプロイアビリティに関わる私たちの問題はすべて解決、何もする必要はありません。今後2,3年、高みの見物をしていられます。
ところが、もう少し詳しく見てみると、オランダにとっても急所を突かれる問題があります。マクロレベルでも個々の雇用主レベルでもです。インド経済は人口増加に伴う雇用創出の必要性という課題に直面しています。
そのためには労働の柔軟性と管理費の抑制が求められます。そのほかにも、国の競争力を維持するために生産性と効率性の改善が極めて重要です。別の大陸の課題であるにもかかわらず、奇妙なことにどれも身に覚えがあります。
インドの雇用主は教育水準の高い若年労働者たちに苦戦しています。そうした教育の質は必ずしも最善ではなく、教育と仕事との結び付きが欠落していることも少なくありません。さらに、インドでは離職率の高さが指摘されています。個人の高い目標を目指すため、より高い賃金を求めて、あるいは役職インフレがその主な原因です。
インドの雇用主はこの問題に正面から取り組み、従業員が外の機会を探し始める前に組織内でのキャリア開発に投資する必要があります。言い換えると、一層の努力が必要です。こうした投資は従業員の意味ある能力開発を重視すべきであり、従い、昇給は組織業績に対する個人のより積極的な貢献によって補われるはずです。
これらの課題はオランダとインド、どちらの雇用主と従業員にとっても同じと考えられます。では、ますます流動的な労働市場において、ますます加速する変化の中で、ますます引き上げられる年金支給開始年齢を背景に、エンプロイアビリティを持続するためにはどうすべきでしょうか。
その答えは、エンプロイアヤビリティに対する努力、(個人の)能力開発に対する投資、そして常に組織に(負荷ではなく)価値を与えること、これらの組み合わせです。
と同時に、当面、42歳ではなく28歳のふりをしてみるのはいかがでしょうか。