コロナウィルスの流行は世界の労働力に多大な打撃を与え、何十億もの人々が制限に直面し、世界中の企業が新たに手探りの中で事業を行うことを余儀なくされました。
在宅勤務は新しい常識となり、多くの組織で解雇が続くなど、雇用の安定はこれまで以上に重要になってきています。一方人材としては、変革するデジタル経済に適応していくため、素早くスキルアップすることを学ぶ必要があります。
ランスタッドでは、年に2回、世界34の国と地域で労働者意識に関するグローバル調査「ランスタッド・ワークモニター」を実施しています。今回は2020年10月に調査を行った結果からコロナ流行中、そしてその先について労働者がどのような意識をもっているのか?日本と世界、そして各地域での数値をもとにその一部をハイライトで紹介します。
コロナ流行下の中、世界の労働者で多く人(71%)が雇用主に支えられていると感じている一方、日本ではその割合が53%と約2割も低いことが分かりました。これは、アジアパシフィック(75%)と比較しても低い数値となっています。
他方で、世界の労働者の多くは仕事を続けるために譲歩する用意があることも分かりました。雇用を維持することのために、労働者の30%は、求められた場合、社内で別の役割を果たした、または果たすと答えています。
また、デジタル化に適応するために必要な機器やテクノロジーを持っていることについて尋ねたところ、日本は54%とグローバル平均の79%よりもかなり低い数値となり、デジタル化への適応が世界に比べて進んでいないことが見て取れます。
雇用の安定は間違いなく重要なことですが、興味深いことに、この点について労働者が過度に心配していないことが今回の調査から分かりました。コロナが収束した後、自分の職務に望む項目を尋ねたところ、一番多かったのは、給与の保障で約6割となり、雇用の安定は3割強となりました。日本においても同じく給与の保障が一番大きかったですが、雇用の安定については4割を超え、世界の労働者の平均よりも高くなっており、より安定を求める傾向があるように思えます。
コロナ流行で最も好まれる働き方の形態としては、1)オフィスでの日数と自宅での日数を含むハイブリッドの作業スケジュールと、2)仕事と私生活をより良く両立させるための柔軟な労働時間の設定となりました。なお、日本については、柔軟な就業時間についてはそこまで高い数値がでておらず、世界の労働者との違いが見える結果となっています。
ランスタッド・ワークモニター労働意識調査では、仕事の満足度などに対する定期的なパルスチェックも行っています。コロナの流行により2020年の結果に大きな変化がみられると想定していましたが、驚いたことに、現在の仕事への満足度、さまざまな機会を求めている人の割合、過去6か月間に実際に転職した人の割合などに大きな変化は見られませんでした。コロナの流行でさえ、これらの数を大きく動かせていないようです。