コロナ禍で働き手の意識が変わったと言われますが、実際どう変わったのでしょうか?ランスタッドでは、働き手が求めていることを明らかにし、新しい時代に求められていることを探っていきます。
新型コロナウイルス発生後、働き手が求めるものに変化があったか、現在、何を求めているのかを明らかにするために今回の調査を行いました。また、コロナ禍で働く環境が大きく変化する中での転職意向の有無と転職を考える理由も調査いたしました。
そして、急速に普及したテレワークですが、テレワークを実施したことにより会社への満足度は上がった一方で会社へのエンゲージメントに課題が残るという興味深い結果となりました。
世界38の国と地域で総合人材サービスを提供するランスタッドは、世界の企業が取り組む「エンプロイヤーブランディング」 (勤務先として魅力ある企業)を推進し、働く人と企業の双方が真の力を発揮し労働市場の創造に貢献することを目指しています。
*2020年2月以降
ポジティブな感情としては、「家族と一緒に 過ごす時間ができた」が22.6%と最も多く、次に「通勤からの解放感」「プライベートが充実」という結果になりました。 コロナ禍の不安定な状況の中、不安を感じる人が多い一方で、在宅勤務が普及したことにより、家族やプライベートの時間が増え充実したことが伺えます。一方、ネガティブな感情としては、「不安」が29.0%と最も多く、次に「体調不良」「アルコールの量が増えた」が多くなっています。
26.2%が「変化した」と感じているという結果となりました。 新型コロナウイルスの影響で、働く環境が変化する中、仕事に対する考え方や求めるものが変化していることが伺えます。
「職場環境が快適である」が45.5%と最も多く、次に「給与水準が高く福利厚生が充実している」「勤務地の利便性が高い」の順となっています。 2020年1月調査ランキングと比較すると「職場環境が快適である」「勤務地の利便性が高い」が上昇しており、コロナ禍における職場環境、勤務地へのアクセスがより 重要視されていることが分かります。
「フレックスタイムや在宅勤務など柔軟な勤務が可能である」は、多くの企業が在宅勤務やフレックスタイムを導入したため目新しさが 減り、ランキングが下がったと考えられます。 「職場環境が快適である」には、職場での人間関係、上司との関係などを挙げていることが見受けられ、不安な感情を抱えている中で、快適に働くことができる職場環境が望まれています。
「転職・求職活動を行った」が9.7%、「考えたが活動はしていない」が26.7%、36%の人が新型コロナウイルス発生後に転職を考えたことになります。新型コロナウイルス の発生が、転職を考えるきっかけになっていることが考えられます。
「長期にわたって安定して働けなさそうだ」が34.1%と最も多く、次に「他社と比較し給与が低すぎる」「昇進やキャリアアップの機会が見込めない」「社内で大切に扱われ ていない・評価/感謝されていないと感じる」という結果となりました。 将来を見越した安定した雇用、給与、昇進やキャリアップに期待が持てないことが、不安や不満を与え転職を考える理由になっていることが考えられます。
「勤務地の利便性が高い」が最も多く、次に「職場環境が快適である」「長期にわたる安定した雇用形態である」「ワークライフバランスが実現しやすい」という結果と なりました。 金銭的なものに不満があっても、勤務地の利便性、職場環境の快適さ、ワークライフバランスなど、物理的および精神的に働きやすい環境が現職に留まる理由と なっていることが考えられます。
テレワークを「毎日実施している」人の16.7%、「週1回~数回程度実施している」人の15.2%が「転職・求職活動を行った」と答えています。テレワークの頻度が高い人程、 転職活動を実際に行った割合が高くなっています。
テレワークを実施できる人は、現職の企業に拘らず転職活動をしていることが考えられます。また、物理的な監視下におかれなくなったことにより、オンライン面接など 手軽に転職活動がしやすくなるということが考えられます。帰属意識が薄れることも考えられるため、今後、企業がテレワークを行う上で、いかにエンゲージメントを維持していくか課題となるでしょう。
今回の調査では、快適な職場が強く求められているという結果となりました。新型コロナウイルス発生後には36%の人が転職を考えたと結果がでましたが、現職に留まる理由となっているものは快適な職場であり、金銭的ではないものが転職を留まらせる理由となっております。
業績の悪化や不安定な状況が続く中で、職場の雰囲気、良好な人間関係など働き手が快適に過ごせる職場環境の提供、企業文化や企業の価値観との一致がより一層求められるでしょう。
コロナを機に急速に進んだテレワークですが、約40%が会社への満足度が上がったとしている一方でテレワークの実施頻度が高い人程、転職活動を行っている割合が高いということが分かりました。今後、テレワークの活用が加速していく中で、会社へのエンゲージメントを維持していきながら新しい働き方を推進することが今後の課題となることでしょう。