8月に日本経済新聞社より取材を受け、コロナの影響についてお話をさせていただきました(本紙インタビュー記事は、ページ内参照よりご覧ください)。
取材時には、リーマンショックとの比較や今後におけるニューノーマル(新しい常識)についてお話させていただきました。世界は現在、新しい働き方への対応を余儀なくされています。ランスタッドは、総合人材業界のグローバル・リーダーとしてニューノーマルにおける新たな働き方を後押しするための取り組みを#newways (ニューウェイズ)と題し、様々な有用な情報を発信しています。ランスタッドHR HUBでも8月にも「在宅勤務とジョブ型雇用への転換」やつい先日にも「従業員のリスキリング」についての記事を掲載していますが、コロナ禍において日本の職場環境は目まぐるしい変化を遂げています。
グローバルからの学び
オランダに本社を掲げ、38の国と地域に拠点を設けているランスタッドですが、仕事がら様々な国々におけるコロナ禍での対応を目の当たりにしてきました。コロナ禍において、グローバルで浮かび上がった課題で日本が参考にできることは、完全在宅に切り替えることへの影響だと思います。幸いなことに、ランスタッドは、日本国内でも2月より全国的に在宅勤務制度を導入しており、他社に比べていち早く完全在宅に切り替えることができました。しかしながら、コロナが拡大し、我々のお客様をはじめ多くの企業が急遽在宅勤務への切り替えを余儀なくされ、対応に苦労されたケースも多いのではないかと思われます。ランスタッドももちろん完全在宅を想定していなかった為、対応に追われました。これらは、ロックダウンによって強制的に遮断された海外事例から多くを学ぶことができました。意思決定やコミュニケーションひとつを取っても、他者事例があるのとないのとでは、スピード感が異なります。また、ロックダウンが長期化するにつれて、いかにメンバーのモチベーションを維持し、チームを管理し、鼓舞していくのかということが大きな課題として上がってきました。こういった学びも我々の#newwaysの取り組みの一環として成功事例や企業課題をコンテンツとして共有しています。
ヨーロッパにおける事例で日本が参考にできること
お客様とのコンタクト方法やコネクションの構築について、ヨーロッパが経験してきた事例は日本においても非常に参考になります。ヨーロッパでもそうでしたが、お客様をどう導いていけるか、商談をいかに効率的に進めていけるかという課題等が共通します。日本はあくまでも自粛というレベルでしたが、海外は完全なロックダウンだったので、取り組みへの温度感と危機感がまったく異なりました。日本は自粛が解除され、従来のあり方にに戻りつつありますが、ヨーロッパは、ニューノーマルとして効率的に続けられており、元の体制に戻ろうとはしていません。#newwaysにおいて、ランスタッドが掲げているのが営業活動のデジタル化です。商談や面会の機会を積極的にオンラインのツールを活用することで、お客様や求職者の皆さんとより安全且つ効率的に時間を設けることを目的としています。
コロナ後はどういった方向に向かっていくのか?
コロナの有無にかかわらず、日本の労働力は、人口構造上、将来に向かって間違いなく減少する傾向にあります。日経新聞の取材でもお話しましたが、この環境下において働き方も大きく変わってきています。労働力がなだらかに減少していく中でも、個々が活躍していける場の創出がより重視されていくのではないでしょうか。まだまだ活躍できていない女性やシニア世代、また地方の人財活躍に大きな可能性を感じ、ランスタッドも在宅派遣に特化した派遣サービス「おうち派遣」を5月にローンチしました。総合人材サービスのグローバルリーダーとして、我々ランスタッドが掲げている「2030年までに5億人のキャリアに携わること」を実現させる為にも、ひとりでも多くの方が活躍できる仕組みを作り上げていく必要があると強く感じています。
参照:日本経済新聞 8月22日(土)朝刊 16面【コロナ 異変を聞く】人材サービス、リーマン時より先読めず 雇用創出、新生活対応カギ
【筆者プロフィール】猿谷 哲 (さるや さとし)
ランスタッド株式会社 代表取締役社長 兼 COO
1975年群馬県生まれ。
高崎経済大学経済学部を卒業後、日興証券に入社し営業を担当。退職後、ランスタッド日本法人の前身であるフジスタッフグループに入社、登録型派遣の営業担当として人材業界でのキャリアをスタート。営業企画部門などを経て、2013年に首都圏本部長、2014年に取締役、2015年1月より取締役副社長、同10月に代表取締役社長に就任。